■海の環境保全や安全追求などを定めた水産方針

記念撮影する(左から)パルシステム連合会原常務執行役員、富栄海運有限会社竹内廣行取締役統括本部長、全漁連田口昭博常務理事 |
水産業をめぐる環境は、世界的な需要の増加で日本が外国に“買い負け”しつつある状況にあります。一方、国内では漁業者の減少や日本人の魚食離れなどにより、漁獲量は低下の一途をたどっています。
また日本の周辺水域では環境の変化やそれにともなう水産資源の減少も進んでおり、水産業を持続可能とする水産資源を保全する取り組みが不可欠となっています。食料自給の観点からも、日本人が昔から親しんでいた魚食文化を守ることで自給率向上につながります。
パルシステムは2009年1月に「水産方針」ならびに「水産物管理基準」を制定しました。水産方針は(1)海の環境を保全し、水産資源を持続的に利用する取り組みを行います(2)日本の水産業再生に取り組みます(3)水産物の安全を追求します(4)日本の魚食文化を大切にします――の4つの柱としました。水産物の産直を通じ、海の環境保全や水産物の持続的な利用を実現する事業や運動に取り組んでいきます。
■自然環境や水産資源保護に取り組みます

産直会議ではそれぞれの組織の取り組みが報告されました |
産直会議は12月8日(火)、佐賀県唐津市の唐津シーサイドホテルで行われ、パルシステムグループと富栄海運有限会社唐津営業所シーボーン昭徳(シーボーン昭徳)、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の3者から15名が参加しました。シーボーン昭徳は、パルシステムオリジナル商品「九州産塩さばフィレ」「九州産天日干しあじひらき」などを製造している加工メーカーです。
調印された協定書および覚書では、さば、あじを対象に漁獲の方法や資源保護、環境保全の対策を遵守することが確認されました。パルシステムは、シーボーン昭徳の取り組みを適切に評価するとともに、協力して自然環境と水産資源の保全などに取り組み、生産地と消費地がともに豊かになる地域社会をめざします。
環境に配慮した取り組みは、発光ダイオード導入による照明エネルギーの削減や、現在5隻で構成している船団を4隻への削減、適正速度による運行などを検討します。また、産地ツアーなど組合員と交流する場を設け、漁業や魚食文化への理解を深める活動も計画します。
産直提携に際してあいさつしたパルシステム連合会原常務執行役員は「パルシステムでは漁業者といっしょに考え、行動する必要性を感じ『水産方針』を制定しました。これからも継続的に魚を食べていけるよう、互いが連携、評価し、その取り組みを全国に伝えていきましょう」と呼びかけました。
■市場や工場などを視察しました

水揚げされた魚の品質を確認します |
翌9日(水)は、さばやあじなどが水揚げされる唐津港および唐津市場、シーボーン昭徳の加工場などを視察しました。
唐津港では、ちょうどシーボーン昭徳が所有する船2隻が水揚げのため寄港していました。自社船で水揚げされた魚は1度市場で競り落とす必要があるため、職員はその場で何尾かさばき、身のしまりや脂ののりなど品質を確認します。そのなかで、旬と呼ばれる3〜4カ月のなかでも10日ほどしかない「旬のなかの旬」といえる魚を見極め、市場で買い付けます。漁場によっても魚の質は大きな差があるそうです。
工場では、冷凍設備や品質管理体制、干物の干し場などを視察しました。通常の冷凍庫では長期間の保存で脂が酸化してしまうため、シーボーン昭徳ではマイナス60度の超低温冷凍庫も備えて品質を管理しています。干し場は、あじが1度におよそ1万1千尾を天日干しでき、最盛期には1日4万枚以上の干物を製造することができます。「外はかりっ、中はふんわりとした食感は、天日干しでなければ楽しめません」との説明を受けました。

水揚げの様子 |

船内も見学することができました |

活気ある市場のせり |

海域によってさばもこれだけ違います |

天日干しの干し場 |

あじやさばの試食 |
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