■世界的に関心が高まる「水田の生物多様性」

昨年実施した田んぼの生きもの調査 |
パルシステムは2004年から、田んぼの生きもの調査を行っています。翌05年度には、活動を発展させ、JA全農や農協、農事組合法人、NPOなどとともに、「田んぼの生きもの調査プロジェクト」を結成しました。
消費者と生産者が協力ともに生物多様性を活用した環境創造型農業に取り組むことを目的としており、4年目の昨年度は、20道県100産地あまりに活動が広がりました。
昨年8月には、栃木県で「第8回韓・中・日環境保全型稲作技術会議」「第2回日韓田んぼの生きもの調査交流会」が開催されるなど、東アジア地域でも活動が広がっています。
昨年7月には農林水産省が初めて「生物多様性戦略」を策定しました。今年10月に韓国で予定しているラムサール条約締結国会議では、水田は米を生産するだけでなく水鳥にとっても大切であるという「水田決議」を採択する予定となっているなど、世界的な関心の高まりをみせています。
■さらに幅広く連携、協働していくネットワークへ

総会後に行われた記者会見 |
こうした情勢のなか、農に根ざした地域の伝統文化を守り、地球環境問題に取り組む人々をさらに支援するため「田んぼの生きもの調査プロジェクト」は、新たにNPO法人「生物多様性農業支援センター」へと発展させることとなりました。
引き続き、生きもの調査を通じた生物多様性農業を支援していくほか、農業を通じて環境保全の役割を果たす生産者へその対価を支払う「民間型環境直接支払い」制度の形成をめざします。生産者や生協、企業、自然保護団体、環境NPO、行政などが幅広く連携、協働していけるよう、ネットワークの核として、各方面へ参加を呼びかけていく方針です。
設立総会では、設立趣旨が確認され、定款や事業計画、予算、役員の選任などについて審議し、いずれも賛成多数で承認されました。
総会の直後に行われた第1回理事会では、役職の人事が検討され、パルシステムからは若森資朗理事長が副理事長に、田崎愛知郎さんが常任理事に就任しました。
■環境保全型農業のナショナルセンターとして大きなうねりを
今後は、「田んぼの生きもの調査」の活動運営にかかわる人材を育成する研修会の開催や調査データの蓄積・活用、インストラクターの派遣などを通じて活動の広がりを支援していきます。また、田んぼの豊かな生態系の世界を伝える映画「田んぼ」の制作にも参加します。
総会後には記者会見が行われ、代表に就任した原耕造さん(JA全農)は「政府も、“農業から地球の環境を守る”方向へと大きく梶を切ろうとしています。『田んぼの生きもの調査プロジェクト』を『生物多様性農業支援センター』へと衣替えすることで、民間の立場によるナショナルセンターとして環境保全型農業の大きなうねりをつくっていきたいと思います」と、抱負を語りました。
「生物多様性農業支援センター」は、本設立総会を受け、NPOの設立申請を行います。
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