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掲載日:2010年1月26日

パルシステムの産直を組合員、職員、生産者が報告を通して共有
「公開確認会報告会」「農法研究会」を開催しました
パルシステム連合会は、1月13日(水)、グランドプリンスホテル赤坂(東京都千代田区紀尾井町)において「2009年公開確認会報告会」及び「第17回 農法研究会」を開催しました。全国のパルシステムの生産者、組合員、職員が集まり、産直活動の報告を行いました。

 パルシステム連合会は、食料自給率の向上に向けて、有機農業を主流にした農業の取り組みと環境保全型農業の実現などを生産者と消費者が共に考えながらすすめています。取り組みの一環として、「公開確認会報告会」と「農法研究会」を毎年開催しています。パルシステムの産直産地の生産者と消費者である組合員が集まり、産地の取り組み共有と新たな農法の学習などを行う機会として継続し取り組んでいます。

 今回は1月13日(水)、グランドプリンスホテル赤坂において、前半を「2009年公開確認会報告会」(主催:パルシステム連合会新農業委員会)、後半で「第17回農法研究会」(主催:パルシステム生産者・消費者協議会、以下「生消協」)を開催しました。会場には、全国のパルシステムの生産者や組合員、職員など290人が集まり、活動報告発表、専門家の講演などを行いました。


■「2009年公開確認会報告会」では産地と監査人の両者が報告

パルシステム連合会新農業委員会・齋藤文子委員長

 食の安全の確保と、環境保全型農業の推進に向け、産地での栽培や生産履歴を生協組合員と生産者が共に公開の場で確認しあう「公開確認会」を1999年より行っています。

 この公開確認会は、商品が基準どおりに作られているか透明性を持って組合員に公表することにより、産直関係の絆をより強固なものにしてきました。また産地にとっては、内部の栽培管理体制を整え、農法のレベルアップを促す契機となるものです。

 開会に当たり、パルシステム連合会新農業委員会の齋藤文子委員長は、「私たちの産直の取り組みは、組合員が組合員へとしっかり伝え合うことが大事です。100万人の食づくり運動をきっかけとして組合員が伝え合い、パルシステムから社会に発信し、日本の農業のさらなる発展に寄与したいと思います。その推進の役割を、パルシステムの公開確認会が担うことができるようにしていきたいと思います」とあいさつしました。

 続いて、2009年度に計画された6回の公開確認会の中から、開催が終了した4回の公開確認会の報告をそれぞれの産地が行い、その後、監査人として参加した組合員、職員から参加した感想や意見が報告されました。


● 庄内産直ネットワーク公開確認会 (対象品目/米  日時/6月25〜27日 開催地/山形県 参加者/150名)

【参考】

産直米の栽培状況を150名が互いに確認 「庄内産直ネットワーク公開確認会」を開催しました(2009年7月6日パルシステムニュース)

庄内産直ネットワーク公開確認会の報告

報告者:庄内ふーど米生産者協議会 会長 五十嵐良一

「公開確認会を経験することで、持続可能な農業の可能性が見えてきました。また、参加した多くの組合員のみなさんとお会いしたことで、よりよい生産地にしなければいけないという使命感や環境意識が高まりました。私たちの産地では、コア・フード米に取り組む機運が盛り上がっています。これからの活動につなげていきたいと思います」

報告者:パルシステム千葉 組合員 石原文絵

「生き物が多くて、安全な田んぼであることを実感しました。やはり産地の現場を見た方が、パルシステムが安全であることを素直に受け止められます。お米は全部食べきりたいです。確認したことを周りに伝えていくのが、監査人の務めだと思いました」



● JA新いわて公開確認会 (対象品目/米 日時/7月30日〜8月1日 開催地/岩手県 参加者/120名)

【参考】

耕畜連携による資源循環型農業を実践「JA新いわて公開確認会」を開催しました(2009年8月11日パルシステムニュース)

JA新いわて公開確認会の監査人報告を行うパルシステム福島・高野理事

報告者:JA新いわて 北部営農経済センター 米穀園芸課長 岩崎実

「監査人である組合員のみなさんからは、かなり専門的な質問もいただき、熱心に勉強されていると感じました。こうして確認を受けると、生産者にも責任感が出てきます。また、交流を重ねることで、農家も変わります。今後は消費地との連携強化で、利用の拡大を期したいと思います」

報告者:パルシステム福島 理事 高野祐子

「生産者は、本当に真面目で努力を惜しみません。チャレンジ精神旺盛で、積極的です。ぜひ、組合員のみなさんには、監査人として公開確認会に参加してほしいです」



● ナカショク公開確認会(対象品目/豚肉 日時/10月28〜30日 開催地/新潟県 参加者/63名)

【参考】

2009年度唯一の畜産を対象とした公開確認会「ナカショク公開確認会」を開催しました(2009年11月9日パルシステムニュース)

報告者:株式会社ナカショク 食肉加工部 斉藤裕也

「これからも産地とタイアップしながら、パルシステムでの取り組みを実感してもらえる交流をしたいと考えます。事業的には、飼料米とこめ豚の取り組みに力を入れていきます」

報告者:パルシステム山梨 長田浩和

「情報公開の姿勢が徹底されていた点が、素晴らしいと感じました。豚の生育と併せて食味も敏感に追及されています。組合員や職員の監査人が公開確認会に参加することは、産地への刺激となり、お互いのモチベーション向上につながると思いました。」



● フィリピンATC公開確認会(対象品目/バランゴンバナナ 日時/11月12〜15日 開催地/フィリピン 参加者/28名)

【参考】

バランゴンバナナ産地で生産と地域自立を確認「フィリピンATC公開確認会」を開催しました(2009年12月3日パルシステムニュース)

現地の写真でフィリピンATC公開確認会開催の様子を報告

報告者:株式会社オルター・トレード・ジャパン 広報室長 幕田恵美子

「バランゴンバナナは産地が分散していることや、一産地の中でもバナナの樹が点在していて、収穫の仕組みを構築するところから始まりました。生産者に記録をつけてもらうことも大変だったのですが、記録シートを改善して生産者の負担を軽減したので、レベルアップすることができました。生産者からは、この間の天候不順がバナナの生育に影響を見せているとの報告を受けていますが、協同の力で対応していきます」

報告者:パルシステム神奈川ゆめコープ 理事 秋元京子

「生産者のみなさんは、自立への取り組みに意欲的であると思いました。改めて自立と協同について理解を深めることができました。バナナを通して、生産者の努力に私たちの食が支えられていると感じました」

報告者:パルシステム東京 府中センター長 坂本浩行

「現地へ行って、改めて国情の厳しさを知りました。生協の活動を伝えていく上では国際産直・民衆交易はとても重要です。バナナの取り組みを知ったことで加入した組合員も多くいます。今回参加したことで、職場でフェアトレードについて話す機会を得ることができ、学習会も開催する予定です。ぜひ職員の方にも公開確認会に参加していただきたいと思います」


● 「2009年度公開確認会のまとめと2010年度について」

パルシステム連合会産直事業部長 野村和夫

「2009年は、生物多様性、耕畜連携、アニマルウェルフェアなどのテーマをもって進めました。それぞれ非常に内容の濃い公開確認会でした。公開確認会は、参加して、感動することで、生産者の情熱が伝わります。2009年も組合員、職員がたくさん参加して、とても心強く思いました。2010年は、会員生協が主催する公開確認会を提案していきます」


● 講演「公開確認会の意義と可能性」 講師:秋田県立大学 教授 谷口吉光

「公開確認会の持つ可能性に期待します」と講演する谷口教授

 「公開確認会の意義は、次の4点が挙げられます。

1)産地の自覚を促す
 産地自身が、単なる販売組織ではなく理念を実現する組織であるか、そのことが共有されているか、を再確認できます。

2)産地の自己点検のマネジメントが高度化する
 消費者からは、基準と記録と検証システムに基づく確認が求められるように変わっています。産地の内部監査システムづくりが基本となり、その発展した形が公開確認会となります。

3)組合員、職員の農業理解を促す

 組合員と職員は、普段は見られない産地の運営を知って、単なるお客さん・取引先ではなくパートナーであることが理解できるようになります。

4)産地の問題解決への支援
 公開確認会で生産者、組合員、職員の意識が深まることで、産地が抱える問題を解決する新しい行動が生み出される可能性が期待できます。

 たとえば産地側から消費者を巻き込んだ提案が出され、取り組みの背後にある課題の解決に向けて地域を越えた共通のノウハウなどが生み出されるなど、さまざまな可能性を公開確認会は持っています」

 最後に、パルシステム連合会の山本伸司常務執行役員が、「生産者と消費者が共に仕組みを作り、学び合い、その成果を可視化して社会に問いかける。社会改革につながる公開確認会の役割を再確認しました」と総評を述べ、報告会を終了しました。


■「農法研究会」で中期的な研究の成果と課題を発表

生消協・香取政典代表幹事

 休憩を挟んで、後半の農法研究会が開催されました。

 はじめに、生消協の香取政典代表幹事から、「農と食の間の距離が遠くなっていると感じます。パルシステムでは、産地と組合員が交流することで距離を近づけていますが、改めて産地が自己を見つめなおし、農と食のあり方を考えたい。市場に対して価格が高くても、取り組みを理解して利用してくださる組合員のみなさんに感謝いたします。組合員のみなさんと、顔と顔を見合わせて、“美味しい、パルシステムで良かった”と喜び合う関係を築いていきましょう」と、あいさつがありました。

 続いて、5つのテーマで研究報告がありました(以下、概要)。


● 野菜・果物おいしさプロジェクト 報告/生消協野菜部会長 小川保、サンドファーム旭 加瀬千吏、ユーアイコープ 理事 小林道子

  • 生消協野菜部会を中心に、株式会社ジーピーエス、ユーアイコープサポーターグループが協力。2007年から3カ年計画で、パルシステムならではの美味しい野菜、果物の提供を追及したプロジェクト。
  • 野菜については、土壌診断と連動した美味しい野菜つくり基準(処方箋)を提示し実践することを、果実は、株式会社ジーピーエスの光センサー導入、糖度保証企画と品質のレベルアップとバラつきをなくすことをめざした。
  • パルシステムの産直青果の高いレベルでの農薬削減を維持しつつ、「味の濃い、美味しい野菜、果実つくり」へ技術発展を図る可能性を確認した。
  • ユーアイコープサポーターグループ「べじたべ〜る」が、食味についての学習会、食味検査、試食活動などを実施協力し、消費者の立場から生産者へ提言を行った。

● 光センサー導入経過と課題 報告/生消協幹事 大津清次

  • 柑橘類の産直産地である無茶々園の光センサーによる選果の取り組みの報告。光センサーによって一定の糖度・酸度を選別し、美味しさを保証することで無茶々園ブランドの維持、利用の拡大を図る。
  • 併せて、生産履歴・出荷履歴の記録、生産技術の向上と農家経営改革、人の能力とITの能力を共に生かした経営確立をめざした。
  • 成果として、ほ地評価ができるようになり、改植指導が可能に。共同選果体制が確立され、クレーム率が改善された。課題としては、光センサーデータを活用した肥育管理の進捗、費用対効果問題、出荷不適果の処理などが残されている。

● 化石燃料に頼らない施設園芸 報告/生消協野菜部会 青谷清一

  • 「化石燃料資源の枯渇」「生産コストの改善」「環境にやさしい農業の追求」を取り組むに当たってのキーワードとした。
  • 次世代も継続できる農業をめざし、消費者が継続して購入できる商品価格と農薬削減以外の環境改善取り組み方法を探った。生消協の各産地、パルシステム連合会共同環境推進室との協同で取り組んだ。
  • 取り組み事例
    サンドファーム旭「きゅうりハウスでの重油ボイラーとハリーヒート(電気式加温機)の併用」
    野菜くらぶ静岡農場「ヒートポンプ設置による空気中の熱エネルギー利用(ハウス加熱・冷却)」
    茨城産直「ボイラーの改造」「二重カーテンの検証」「木質ペレットストーブと重油ボイラー併用」
    栃木元気会「ウォーターカーテンの導入」
  • 今後の課題として、「各取り組みの二酸化炭素削減量調査」「農業分野における排出量取引の検討」「県境に負荷を与えない農業研究」が挙げられた。

● 野菜、果物のおいしさの追求について 報告/株式会社ジーピーエス 高橋宏通

「土づくり味じまんトマト」のチラシをもとに取り組みを説明するジーピーエス・高橋宏通常務

  • 野菜、果物のおいしさ追求し、利用強化を図るため、品揃え、価格政策を全面的に見直す取り組みを報告。
  • コア・フード、エコ糖度保証企画を組み合わせることで、パルシステムでしか扱えない農産品を作り上げる施策にチャレンジした。
  • 取り組み事例
    「土づくり味じまんトマトの実験供給」
     有機肥料80%以上使用。時間をかけて味が濃くなるように栽培。今季(2009年5月)は実験販売とし、2010年度以降の本格供給をめざす。従来品の受注を落とさずに、新たに1万7000人のトマト購買層を獲得した。

● ふーど米研究会3ヵ年の歩み 報告/生消協米部会 志藤正一

  • 有機栽培の米の供給量が2006年の「504トン」から2009年には「千トン」となるように、2007年3月に生消協「ふーど米研究会」が発足。
  • 現在までに、パルシステム米産地のうち12産地が参加。合鴨農法、紙マルチ、機械除草、冬期湛水等の栽培法で挑戦し、供給量は2009年実績で「820.97トン」となった。
  • 収量、品質、価格ともに目標を高くして、技術向上と経営安定をめざす。また、自然環境を生かした農業技術と地球温暖化ガスの抑制を掲げる。


 研究会の最後に、生産者運営委員会・加瀬千吏委員長から、「大変厳しい経済状況ではありますが、私たち生産者は思いと一緒においしい商品を届けたいと思います。みなさん、一緒に頑張りましょう」と呼びかけがあり、生産者と消費者の協同の深い絆で連携していくことが確認されました。


【資料】

パルシステムの公開確認会

パルシステム生産者・消費者協議会


このほか2009年度に予定されている公開確認会

日程 開催地 対象品目
2010年2月19日(金)、20日(土) 紀ノ川農協(和歌山県) 果樹(柑橘)



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