1月20日(火)、23日(金)、28日(水)の3回に分けて、しいたけ原木栽培用の原木約1万本が岩手県軽米町から茨城県のJAつくば市谷田部に届けられました。パルシステムと青果の子会社潟Wーピーエスが仲立ちすることで実現したものです。
■飼料米の産地、岩手県軽米町の原木を「JAつくば市谷田部」へ

軽米町から到着したトラック |
パルシステムと25年におよぶ産直取引を続けているJAつくば市谷田部は、毎年秋に開催している「収穫祭」でもおなじみの産地です。コナラやクヌギの原木に菌を植え込む昔ながらの方法で栽培された「原木栽培しいたけ」は、肉厚で美味しいと生協組合員からご好評をいただき、年々供給量が増えています。
その一方で、林業従事者の不足などから原木となるコナラやクヌギの量が減少しており、原木の確保が課題となっていました。
一方、原木の産地である岩手県軽米町は、パルシステムの「までっこチキン」の鶏ふんをたい肥として活用したお米や青果、「日本のこめ豚」(※)の飼料米を栽培するなど資源循環・環境保全型農業に取り組んでいます。林業も盛んで木炭生産は日本一の規模を誇っていましたが、エネルギーの電気やガスへの転換で需要は激減していました。
そこで両産地と産直関係にあるパルシステムが、(株)ジーピーエスとともにJAつくば市谷田部と軽米町および森林組合へ呼びかけ、今回のしいたけ原木取引が実現しました。
■1月21日、23日、28日、原木1万本が、JAつくば市谷田部へ届きました

原木には軽米町の雪が残っていました |
しいたけ栽培用の原木約1万本は、3日がかりで納品されました。
23日(金)の納品には、軽米町からも2名が立会いました。原木が納品された、なかのきのこ園(茨城県つくば市)の飯泉孝司さんは、届いた原木を手で触って確かめてから「しいたけの原木としては最高です」と顔をほころばせていました。しいたけ原木1本からは、平均およそ700gのしいたけが収穫されます。今回の1万本の原木からは、およそ7tのしいたけが生産できる計算になります。
今年度の取引本数は1万本でしたが、JAつくば市谷田部では年間46万本の原木を必要としています。今回、1万本の原木のために軽米町では2〜3ヘクタール分の樹木を伐採しました。軽米町には8千ヘクタールもの里山が広がっています。25年サイクルで里山を維持するとしても、年間320ヘクタール、実に100倍以上の樹木を供給できる能力が軽米町の里山には備わっています。

積み上げられた原木 |
軽米町産業振興課の兼田英明さんは「しいたけ原木に必要な枝伐採の方法や育ちやすい形状など、勉強しながら原木取引を増やしていきたいですね」「この原木取引をきかっけに、木を切ることが里山を守り、資源の循環や山村の活性化につながることを、広く皆さんに知ってほしいと思っています」と、抱負を述べていました。
(株)軽米町産業開発の木下侃(つよし)事務局長は「パルシステム組合員のみなさんに原木栽培しいたけの美味しさや品質のよさ、さらに軽米町の里山の景観や森林保全の取り組みを知ってもらい、この取り組みを支えてください」と呼びかけています。
パルシステムでは、今後、両産地の原木取引の量を増やし、しいたけ原木栽培を継続し、岩手北部の里山保全を図っていきたいと考えています。
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