
参加者は熱心に井川氏の意見へ
耳を傾けていました |
■622の団体・個人が賛同している「全国ネットワーク」
「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」は、パルシステムなどの生協や消費者団体、企業が呼びかけ団体となり、自然環境保全や風評被害防止などといった観点から六ヶ所再処理工場の本格稼働中止を求めているネットワークです。
2008年5月現在、622の賛同団体・個人が参加し、署名活動やメッセージカードの頒布、パレードなどを実施してきました。署名活動は、44万6千筆が集まっており、今年1月と3月に開かれた院内集会で内閣府や経済産業省など関係省庁に提出しています。
■推進派言論人から意見を聴取
3回目となる今回の院内集会には賛同団体・個人の80名が参加したほか、国会議員や秘書など20名が出席しました。六ヶ所再処理工場の推進を主張する読売新聞東京本社論説委員で、経済産業省総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会委員の井川陽次郎氏を招き、講演会と意見交換会を行いました。
井川氏は「『再処理』は必要、と思う理由」と題しての講演で、世界のエネルギー情勢と今後の予測、さらにCO2排出をはじめとする地球環境問題の側面から国内における原子力発電の必要性と、原子力発電を継続させるための再処理工場が不可欠との考えを示しました。
施設の安全性や排出される放射性物質の影響については「安全性の確保はすべての前提に考えられるべきです」と前置きし、「施設は、地震や事故が発生しても放射性物質を建物内へ閉じ込め、外部へ漏れ出さないよう設計されています。放射性物質はすでに自然界にあるものを低い濃度で拡散させます」と説明しました。
また、5月に報道された施設近くに巨大な活断層が存在する可能性については「データ解釈の違いもあるでしょう。ただ専門家の発表であれば、論文で示すべきです。今後の議論を冷静に見守りたいと思います」と述べました。
■今後の論点を整理
意見交換会は、井川氏に対して国会議員が参加者を代表して意見を提出するというかたちで行われました。議員のみなさんからは「原子力施設に事故が発生した場合、国はどこまで責任取れるのか疑問です」「地震対策の指針が策定されているのに、それに基づいた点検が行われていません。それなのに稼働を優先させていいのでしょうか」などの意見が出されました。
最後に市民の参加者の意見をまとめるかたちで、原子力資料情報室共同代表・伴英幸氏が論点を提示し、活断層調査の不十分性、放出する放射性物質の拡散問題などを指摘しました。
エネルギー問題については、さまざまな考え方や意見があります。パルシステムでは、今後も各種の学習会を重ね、エネルギー問題、原発問題を考えていきます。
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