戦後の食生活の変化により、肉や油を多く消費するようになった私たち日本人。そして日本の食料自給率は現在約41%(カロリーベース自給率、2008年度概算値。以下同)。
「そうは言っても、買い物に行っても国産のものが多いし、自給率がそんなに低いように思えない」という方もいるかもしれません。自給率が低いのは、私たちには見えない部分(外食や加工品など)に外国産が多く使われていることも理由のひとつですが、もうひとつ、あまり知られていないのが、畜産品(肉、卵、乳製品など)の飼料(えさ)の問題です。
たとえば豚肉に限ってみると、日本で消費される量の約半分は一見、国内産ですが、その飼料は9割を輸入に依存しているため、“飼料を含めた豚肉の自給率”はたったの5%ということになります(右図参照)。
この飼料自給率の低さは、食料自給率全体を下げる大きな要因のひとつと言えます。つまり、肉を食べれば食べるほど自給率は低下する――そして、輸入なしでは肉の生産そのものが成り立たない。そんな現実に直面しているのが、日本の畜産なのです。
近年、穀物のバイオ燃料への転用や、異常気象による不作、新興国での穀物需要の急増などによって、穀物の価格が高騰。2009年にはやや下がったものの、3年前に比べるとまだ高めです。飼料を海外に依存する多くの畜産生産者がこの穀物価格の高騰にふりまわされ、経営を圧迫されるなか、「海外依存型の畜産を変えなければ」という思いは急速に高まりつつあります。
一方、米産地では、減反政策や担い手の高齢化によって、耕作されないままに放置されている土地の増加が深刻な問題に。「輸入していた飼料を、国内で作ることはできないか」「これ以上、荒れた土地を増やしたくない」。パルシステムは、そんな畜産産地と米産地の思いを結び、“自給飼料米”の取り組みをスタートさせました。
米が作付されなくなった田んぼは耕されないまま荒れていきます
*本ページの内容は2009年9月時点の情報です。