代表挨拶
近年、私たちのくらしを取り巻く環境は、甚大な被害をもたらした1月の能登半島地震をはじめ、感染症拡大や人権の抑圧、気候変動など、さまざまな困難を抱えています。これらは多くの人々に政治的、経済的な影響を与え、将来への不安を生じさせました。社会には不寛容の傾向が強まり、あらゆる階層で対立や分断が相次いでいます。私たちは、いまこそともに助け合い、寄り添う役割が不可欠であることを強く感じています。
国内では、急速に進む少子高齢化で労働力不足がさらに顕在化しました。賃金上昇は物価高に追い付かず、人々の暮らしは厳しさを増しています。これら生活課題だけにとどまらず、気候変動やプラスチック海洋汚染をはじめとする環境対策や、軍事侵攻や市民の抑圧による平和・人権問題など、私たちが抱える諸課題はいずれも重要な局面を迎えています。
こうした社会課題解決の要請にこたえるべく、パルシステムグループは「パルシステム2030ビジョン」で定めた5つのキーワード『たべる』『つくる』『ささえあう』『きりかえる』『わかりあう』に基づき、持続可能な社会の実現に挑戦しています。
その一環として2023年9月「一般財団法人パルシステム若者応援基金」を設立しました。家庭環境や経済困窮などさまざま事情で進学や学業の継続が困難な若者へ学びを支援します。奨学金給付だけでなく生活や進路の相談により精神的にもサポートする伴走型であることが特徴で、組合員からの募金は年間5千万円を超えています。
組合員の力は、能登半島地震でも役立っています。緊急募金は17万人超から2億6千万円が寄せられ、義援金のほか支援団体や産直産地へ贈呈し、各地で活用されています。職員も、生協や地元支援団体と協力しながら宅配や生活再建、介護福祉などの支援に派遣し、地域の復旧と復興の一助となっています。
いずれの取り組みも、多様な分野から多くの共感と感謝が寄せられています。こうした助け合いの組織である協同組合への期待の高まりは、国連が2025年を2回目の「国際協同組合年」にすると宣言したことにも表れています。これからも事業と運動の両輪の下、地域に根をおろし、心豊かなくらしと共生の社会をめざす決意です。
課題を解決する機能として、また社会的インフラの機能として、みなさまとの強固な信頼関係の下、資源循環型の持続可能な社会づくりをさらに力強く進めていかなければなりません。誰もが安心してくらせる社会づくりへ、ともに進んでまいりましょう。