ホーム > ニュース一覧 > ニュース
ここからメインコンテンツです

放流モニタリング事業に組合員が参加

パルシステム連合会は、2013年にうなぎの産地である大隅地区養まん漁業協同組合と「大隅うなぎ資源回復協議会」を設立し、資源対策について検証しながら多角的に取り組んでいます。その一環として、2002年から取り組んできた放流効果を検証するために、今年9月「放流モニタリング事業」を立ち上げました。11月27日(金)には、9月に設置した石倉かご4基を一旦引き上げ、その際放流したうなぎの生育状況や河川環境を確認する作業を鹿児島県・肝付町の波見地区和田川で実施しました。パルシステムからは組合員、職員ほか16名が参加しました。

モニタリング事業に参加したみなさん

うなぎの未来を育むために私たちができること

これまで、放流効果については学術的に検証し切れておらず、資源回復の効果については、専門家によってさまざまな意見があることから、調査結果には多方面から期待が寄せられています。今回のモニタリングでは、石倉かご近辺に天然うなぎが2匹、石倉かごの中からは9月に放流したうなぎとは別の養殖(放流)うなぎ2匹と、その他カニ、魚、エビ、さらには絶滅が危惧されている「チワラスボ」など多数の生き物が捕獲されました。

参加者一同で捕獲した生き物を仕分け

今回は9月に放流したモニタリング用うなぎを確認することはできませんでしたが、石倉かごの設置が、うなぎをはじめとする多様な生き物の資源回復や河川環境の改善につながることが期待されます。参加した組合員からは「実際に参加することで、資源回復の意義を実感し、生産者の真摯な姿勢に共感しました」、またこの活動を「多くの方に体感していただくことが、うなぎの未来を育むことにつながるのではないでしょうか」といった意見が寄せられています。

調査した九州大学・望岡典隆准教授は「遊泳禁止などの影響により、子どもたちが河川で遊ぶ機会が失われ、自然や生き物への関心も減っています。以前、県内の河川で地元小学生を招待してモニタリングを行ったところ、生き物を見た子どもたちの顔はとても輝いていました。市民が河川へ関心を傾けることで行政も動き、環境改善が行われるようになるかもしれません。パルシステムは学び、議論し、悩みぬいた末に『食べながら守る』という道を選択しました。この取り組みを通して、うなぎに関心を持ち続けて欲しいです」と話しました。

データを記録するようすに参加者も興味津々

パルシステムでは、うなぎの資源回復に向けて2013年から「ニホンウナギの資源回復のためのポイントカンパ」を組合員より募集しています。放流モニタリング事業には、大隅地区うなぎ資源回復協議会を通して、これまでにパルシステムの組合員から寄せられたカンパ金などの支援金が充てられます。ほかにも、学習会や、鹿児島県ウナギ資源増殖対策協議会事業である石倉かごを応用した魚道の設置・調査などに支援金を振り分け、行政や研究者とともに、資源回復活動に取り組んでいきます。

観測後、石倉かごは再度設置し次回5月に引き上げ予定