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掲載日:2010年11月9日

「北部九州食料自給推進協議会」調印式および設立総会を開催しました
異業種連携による商品開発、資源循環を進めます
パルシステム連合会は11月2日(火)、産直産地、メーカーなど4団体とともに福岡県筑後市のホテル樋口軒にて「北部九州食料自給推進協議会」の調印式および設立総会を開催しました。九州北部の農産、畜産、加工、流通それぞれが連携し、加工商品開発や資源循環の構築を進めます。

■産直産地とメーカー、流通、パルシステムがスクラム!

調印式後それぞれの代表が固い握手

 パルシステム連合会が設立する「北部九州食料自給推進協議会」は、農業・畜産の産地としてパルシステムの産直産地である福岡八女農業協同組合(JAふくおか八女)と株式会社すすき牧場、食品メーカーおよび流通企業の平田産業有限会社、株式会社マルハニチロ畜産が参加し、それぞれの得意分野で連携します。

 地域で生産される資源を有効に活用することで地域を活性化させ、食料自給率向上へつなげるモデル構築を目的に、各団体が連携することで、産地で生産される農産品や畜産品の加工商品開発や、食品副産物のたい肥化、飼料化など資源循環型農業の構築などをめざします。

 これにより、産地の生産品を加工食品として開発し、消費者である組合員へ届けるという一貫したフードシステムが確立します。さらに、たとえば平田産業で発生する菜種かすをすすき牧場の飼料に、すすき牧場で発生するふんをJAふくおか八女のたい肥として、JAふくおか八女で生産する菜種を平田産業の菜種油原料へといった地域内での資源循環が期待されます。


■5団体の代表による調印式が行われました

調印の様子

 調印式および設立総会は11月2日(火)、JAふくおか八女本店に近い福岡県筑後市のホテル樋口軒にて開催され、関係者65名が参加しました。開催に際して参加団体を代表したJAふくおか八女の松延利博代表理事組合長は「昨今の日本の農業をめぐる状況は厳しさを増しています。消費者とともに日本の農業のあり方を考えるためにも、ともに顔を合わせ、土に触れていきたいと考えています」とあいさつしました。

 続いて協定の趣旨を説明したパルシステム連合会の山本伸司常務執行役員は「設立する協議会は食料自給率向上という具体的な目的をもっています。単なる取引関係ではなく地域が豊かになり、それによって都市生活者である組合員も豊かになるモデルとなるよう、力をあわせてつくっていきましょう」と呼びかけました。

 その後松延代表理事組合長、薄一郎すすき牧場社長、平田繁實平田産業社長、崎島健二郎マルハニチロ畜産事業一部長、唐笠一雄パルシステム連合会専務理事による調印式が行われました。


■総会ではすべての議案が承認されました

あいさつするパルシステム唐笠専務

 総会では、各団体の代表からあいさつがありました。パルシステム連合会の唐笠専務は「食の安全を支えるのは農業であり、パルシステムでは農業を発展させる運動を強めています。今回の協議会をモデルとして、資源を有効に循環した強い農業づくりを進めていきます」と抱負を述べました。

 このほか松延代表理事組合長は「価格低迷と資材費上昇などで農業は疲弊しています。協議会を成功させ、仲間を増やしましょう」、薄社長は「パルシステムとの出会いによって資源循環や環境問題を考えるようになりました。みんなが『よかった』といえる協議会にしましょう」、平田社長は「出会いを大事にしてきて、これまで成長できました。1人ではできないことを協議会で実現できるようにがんばります」、崎島部長は「パートナーシップを深めて縁を大事にしていきたいと思います」と話しました。

 また来賓としてあいさつした八女普及指導センターの樺島良二センター長は「協議会はまさに時機を得たといえます。方向性は福岡県の農政とも合致しており、支援していきたいと考えます」。パルシステムの産直産地でパルシステム生産者・消費者協議会の幹事でもある株式会社長有研の近藤正明社長は「北部九州という名称を中部、南部へと広げられるよう発展し、産直を強めてください」と期待しました。

 総会で提案された議案はすべて承認されました。地域原料を使用した加工商品の開発や資源循環型農業の推進、パルシステムの組合員、職員と地域の交流などの事業を計画していきます。


■鈴木東大教授による記念講演も

鈴木東大教授

 総会後、鈴木宣弘東京大学教授による記念講演「日本の食料自給問題と農商工連携の取り組み」が行われ、日本の食料自給率が低下した要因と今後の課題などについて解説しました。

 政府がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を検討するなか、鈴木教授は農産物をめぐる貿易制度の現状について「日本の農産物に対する関税が高いという主張がありますが、6割を輸入に頼っているように、決して高くありません。価格が高いのは、国産農産物への農業所得への支援がないことが原因です」と指摘しました。

 フランスやイギリスなどでは農業所得に占める政府からの直接支払いは9割に達しています。農業所得への補償は、世界各国が自国の食料を確保するため戦略的に実施しているとのことでした。鈴木教授は「各国で実施している所得補償をはじめとする農業への支援制度がないまま貿易を自由化すれば、食料自給率の向上はおろか下降線をたどることは明白です」と語りました。

 ただし「日本の農業を強めるためには価格だけではいけません」とも話します。鈴木教授は、農作物の生産は土中にCO2を貯留する役割を果たしていることを活用した買い取り制度や、生産効率と品質をともに高める技術の開発、農地の多面的な機能を認知させる消費者教育の充実など課題としてを挙げました。



■選果場やほ場、工場を見学

みかんほ場の視察

 翌日は、JAふくおか八女のトマト、みかん選果場とみかんほ場、平田産業工場を見学しました。選果場では、生産者が収穫した農産物が最新の機器により1個ずつサイズや糖度、色などが判別されていました。

 みかんほ場は、生産者の作業の負担を軽減するほ場づくりが行われています。説明したJAふくおか八女の職員は「急斜面のほうが水はけがよく、品質の高いみかんが収穫できます。しかし農法の発展により緩い斜面で急斜面より品質の高いみかんがつくれるようになってきました」と話し、後継者確保への取り組みを紹介しました。

 平田産業では、パルシステムでも人気の高いPB商品「圧搾一番しぼり菜種油」の製造過程を見学しました。同社では、非遺伝子組み換えの菜種を確保するため、オーストラリア・カンガルー島などの生産者と「顔の見える関係」づくりに取り組むだけでなく、油の抽出や洗浄などで薬物を使わない製法にこだわっています。平田社長の説明に見学した参加者も感心している様子でした。


【関連リンク】

産直いきいきコミュニティ「加工原料」プロジェクト

JAふくおか八女(ファーマーズネット内)

パルシステムの産直肉「すすき牧場」

パルシステムの商品「圧搾一番しぼり菜種油」(平田産業製造)

パルシステム役職員が菜種油の産地オーストラリア・カンガルー島を訪問(2010年10月19日 ニュース)


署名終了後の記念撮影

パルシステムからの参加者とともに

懇親会会場には開発商品のサンプルも



みかん選果場の視察

女性生産者のみなさんと昼食交流

平田産業の工場見学





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