
討論会では、ステージと会場参加者が熱い議論 |
■生物多様性農業支援センター主催のシンポジウム
パルシステムも支援するNPO法人生物多様性農業支援センター(BASC)(※)は、2月21日(土)、東京大手町JAホール(千代田区大手町)にて、「田んぼの生物多様性表現のためのシンポジウム」を開催しました。
当日は、農業や環境問題に関心を持つみなさん、関係行政や市民団体などさまざまな分野から390名を越す多くの参加者が集まり、会場は熱気に包まれました。
宇根豊氏(農と自然の研究所)は「人間が生きものだった頃のまなざし」をテーマに講演を行い、「お金になる農作物しか作らないという考えは、現代社会の利益最優先の価値観の反映にすぎません」と語り、多くの生きものの住む田んぼが環境保全に果たす役割の大きさを訴えました。
また「誰もが自然の大切さを口にしますが、人間が生きものや自然に向ける愛情のある『まなざし』こそ大事なのです」と生きものや自然に意識的に目を向け、ていねいに向きあうことの大切さを語りました。
■生物多様性への関心の高まり、壇上と会場で熱い議論
引き続き、「田んぼの生物多様性はどうなっているか」をテーマに討論会が行われました。「水路の改良工事」に話題が及ぶと「環境によくないと分かっていながら、なぜコンクリート化の工事が行われるのでしょうか?」との参加者の問いかけに対し、パネリストで水田環境専門家の岩渕成紀氏が「地域で工法のアイデアを作りあげるべきではないでしょうか」と語り、参加者の行政関係者から「コンクリート化工事は、水を効率よく田畑に届けるためのものです。現在では、環境に配慮しつつ、効率的な水路にできる工法もあるのです」と話すなど、壇上と会場の参加者間で熱い議論が交わされていました。
■「田んぼの生きもの全種リスト」と「田んぼの生きもの指標」発表

桐谷圭治氏は、生きもののバランスで害虫被害を低減する「IPM理論」などについて講演しました |
また、このシンポジウムに向け生物多様性農業支援センターとNPO法人「農と自然の研究所」をはじめ、専門家らによる企画委員会が制作した「田んぼの生きもの全種リスト」と「田んぼの生きもの指標」が発表されました。「田んぼの生きもの全種リスト」は、水田やあぜ、ため池の生きものを網羅した全国初のリストで約5,500種の生きものを掲載しています。また、「田んぼの生きもの指標」には、自然の豊かさ、文化など多彩な視点から集めた指標種240種を掲載しました。
今後、生物多様性農業支援センターでは、これらの「全種リスト」「生きもの指標」をどう活用するか、生物多様性の世界をどう表現していくか議論を続け、次の活動に生かしていくとのことでした。
●2/21「田んぼの生物多様性表現のためのシンポジウム」(東京会場)
【主な内容】(敬称略)
第1部「田んぼの生きもの全種へのまなざしは可能か」
・映画田んぼ上映
・講演(中筋房夫、桐谷圭治、城所隆、市川憲平)
第2部「田んぼの生きもの指標って何か」
・講演(森本信生、新井裕、宇根豊)
第3部 討論会「生きものへのまなざしは有用か」
・座長(宇根豊)
・パネリスト(藤瀬新策、岩渕成紀、森本信生、市川憲平、林賢一)
・講演 伊藤一幸
主催:NPO法人 農と自然の研究所、NPO法人 生物多様性農業支援センター
共催:NPO田んぼ 民間稲作研究所 環境稲作研究会 むさしの里山研究会
協賛:パルシステム生協連合会 生活クラブ生協連合会 全国農業協同組合連合会 (株) アレフ
後援:農林水産省 全国農業協同組合中央会 農村環境整備センター
※3月7日(土)には、同テーマのシンポジウムが福岡市で開催されます。
【福岡会場 シンポジウム】
日時:3月7日(土)午前10:00〜午後4:30
場所:福岡市ももち文化センター(福岡市早良区百道2-3-15)
参加費:1000円(「全種リスト」と「田んぼの生きもの指標」も配布)
主催:農と自然の研究所 生物多様性農業支援センター
このイベントにつきまして詳しくは、下記をご覧ください。
田んぼの生物多様性表現のためのシンポジウム(新しいページで開きます)
●お問合せは
生物多様性農業支援センター
本部 TEL:042-711-7015
新大塚連絡事務所 TEL:03-6273-9571
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