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掲載日:2008年11月5日

学習会「パルシステムの今後の食料自給率向上の取り組み」を開催しました
パルシステム連合会は、10月24日(金)、家の光会館(東京・新宿区)で「パルシステムの今後の食料自給率向上の取り組み」と題して、山下一仁元農林水産省農村振興局次長・現(独法)経済産業研究所上席研究員をお招きし、学習会を開催しました。

 現在、日本の食料自給率は40%、穀物自給率は27%まで低下しています。資源・エネルギーに加え、食料価格も全世界的なレベルで投機・投資の対象となり、高騰している昨今、食料自給率の向上は、国民生活の安定、つまり日本の食料安全保障のためにも必須です。産直を柱に運動や事業を行ってきたパルシステムが、この食料自給率の向上のために何が出来るのか、どのような政策方針を今後に向けて策定していけば良いのか。この学習会を皮切りに、グループ内で農業政策の検討を行い、具体的な実践につなげるための端緒として、役・職員約100名が参加し議論を深めました。


■山下一仁氏(経済産業研究所上席研究員)の講演

講演する山下氏

 まず、日本農業の危機の本質の指摘から始められ、「現在の農業政策を続ける限り、日本農業の衰退に歯止めをかけ、再生を成し遂げることはとうてい無理です。日本農業の危機とは生産基盤の超劣化であり、具体的には、農業人口の超高齢化、耕作放棄地の拡大・耕作面積の減少を意味し、この結果が、超低レベルの食料自給率と極めて脆弱な食料安全保障体制なのです」と解説されました。

 その上で、日本農業再建の処方箋を提案、「農業を再建するには、税金と消費者の負担で農産物の価格を維持する現在農政をやめ、EU型の『直接払い所得補償制度』を導入することです」と、農業政策の転換を求められました。

 同氏は、同「制度」導入の効果について、「農業の構造改革を行ない、規模拡大と生産性向上を実現し、これにより生産コストと商品価格を下げる一方農家所得の確保を図ることが出来ます。同時に、国際競争力が高まり関税を引き下げてWTO等国際貿易交渉をクリアすることを可能とします。また、統計的にも、環境保全型農業は規模の大きい農家の方が進めているのです」と述べられました。

 また、これを大きく阻害している要因を、「米の生産調整、いわゆる減反政策です。早急に段階的にではありますが、減反政策を廃止することが不可欠となります。減反補助金と米農家への所得補償直接支払い金の額は同額なので、財政的負担はありません」と指摘されました。

 さらに、事故米問題の根本的原因についても言及され、「米の輸入を阻止するために政府は高関税を維持することを選択しており、この代償措置としてミニマム・アクセス米の輸入を余儀なくされます。この米が事故米なのです」と分析されました。

 最後に、消費者の組織である生協への期待を述べられ、「『直接払い所得補償制度』の財源は国家の財政負担となります。国民全体が環境・国土保全と食料の安定的確保を担う農業の価値を認めることで可能となります。これが真に消費者重視の政策と呼べるものでしょう。消費者の団体である生協は、この農政転換の先頭で頑張れるはずです」と、熱意をこめて訴えられました。


■唐笠専務、山本常務によるパルシステムの現状と今後の方向性

会場の様子(家の光会館)

 山下氏の講演を受けて、パルシステムの取り組みの現状と今後に向けて唐笠専務理事、山本常務執行役員両名から報告がなされました。

 唐笠専務理事は、パルシステムの基本方針に基づき、「安心安全で安定した食料を獲得するために、生協自らが作り出す産直・農業へのチャレンジを具体化しよう。そのためには、現農政、特に米政策の抜本的な改革を行い、耕作放棄地を少なくし、日本の農業を再生することが必要です」と訴えました。

 具体的な取り組みや提案としては、1.米作の構造改革に取り組む 2.農業生産に一歩踏み込み産直運動を強める 3.飼料の自給率を高める 4.水産分野の取り組みを強化する 5.行政、農業団体、食品企業と連携して、生産物の加工・業務用モデル事業を形成・拡大し、新しい産業の創出と地域の再生を図る 6.「パルシステムの100万人の食づくり運動」を通じて「食のあり方」を見直す、と話されました。

 山本常務執行役員からは、「資源枯渇、食料争奪時代の生協運動の展開」について発言がありました。その中で、 1.「生消協」と連携して産直の取り組みを強める 2.耕作放棄地をなくするとともに、農業の担い手を育成する 3.食づくり運動を展開し、自然と共生するライフスタイルを創造することが述べられました。


■3産地から現状報告

産地の状況報告をする
香取氏(上)、五十川氏(中)、
加瀬氏(下)

 講演と報告のあと、パルシステムの3産地の生産者から現場報告がありました。

 佐原農産物供給センターの香取代表からは、地域の子供たちが農業の大切さを学ぶ活動に取り組んでいることが披露され、今後もパルシステムに刺激を受けながら成長していきたいと決意を述べられました。

 北海道・大牧農場代表の五十川さんは、政府による品目横断別の補助金のあり方を批判し、「過去3年の実績で補助金が支払われるので、新規就農者などやる気のある人が所得を確保出来ない構造になっており、結果、農業の世代交代が抑制されてしまう」と述べられました。

 サンドファーム旭の加瀬さんからは、ハウス栽培で石油に依存する現状を打破しCO2を削減するための研究会を立ち上げ、ウオーターカーテンで温度調整をするなど環境に配慮した農業にチャレンジしている事が報告されました。

 最後に会場からの質疑応答を受け、問題を共有化しました。農家のインセンテイブは所得保障などの金銭面だけなのか、農産品を加工する食品メーカーは中小企業が多くかつ国外に工場を移しており、産地の近くに無いのも問題であるなどの指摘がなされました。

 さまざまな食の問題が騒がれるなか、改めて日本の農業・食料の置かれている厳しい状況とパルシステムが生協として何が出来るのか真剣に問われている事を参加者が自覚する学習会となりました。



【資料】

内容

主催者あいさつ パルシステム連合会 理事長
若森 資朗
講演  「グローバル化と人口減少時代の農政改革」 産業経済研究所 上席研究員
山下 一仁
「パルシステムの食料自給の取り組みについて」 パルシステム連合会専務理事
唐笠 一雄
「食料自給率モデル、飼料対策等の検討」 パルシステム連合会執行役員
山本 伸司
生産者からの報告 佐原農産物供給センター
代表 香取政典氏

大牧農場
代表 五十川勝美氏

サンドファーム旭
加瀬千吏氏
質疑応答

(※1)「100万人の食づくり運動」主な取り組み

・2007年度は10万人が登録「予約登録米」(4月3回〜5月5回の受付)

2007年産予約登録米(受付は終了しております。)

・お米が育つ様子を身近に感じる「バケツ稲」企画(5月3回)

・田んぼを守ることが多様な生態系の保全につながることを学ぶ「ごはんおかわりシールブック」企画(6月1回)

・「ごはん+汁物」スタイルの提案(9〜10月、カタログ紙面にて)

・「おにぎりキャンペーン」(通年)

・7つの商品を通して商品づくりへの思いを伝え、「選ぶ」を提案(通年)などを予定しています。


詳しくは、以下のページをご覧ください

「100万人の食づくり運動」キャンペーン

おにぎりキャンペーン「100万人のおにぎり大調査」




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