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掲載日:2008年7月17日

六ヶ所再処理工場の問題からエネルギーについて学ぶ
第2回「エネルギー・原発問題学習会」を開催しました
パルシステムは7月10日、アカデミー茗台(東京都文京区)にて第2回「エネルギー・原発問題学習会」を開催しました。パルシステムでは、六ヶ所再処理工場本格稼動反対を求める活動を進めています。これまでに2回、六ヶ所再処理工場の視察を行い、4月に再処理工場を運営する(株)原燃から講師を招き、第1回「エネルギー・原発学習会」を開催いたしました。第2回となる今回は、自然エネルギー推進の立場からの講師を招き、今後のエネルギー政策の展望をうかがいました。

 学習会には、パルシステムグループの役・職員や組合員など約70名が集まりました。

 冒頭のあいさつで、パルシステム連合会の唐笠一雄専務理事が、「六ヶ所再処理工場の問題は、環境汚染の問題だけでなく、広く言えば、原発を含むエネルギー政策をどうするか、にもつながっています。パルシステムでは、エネルギー問題を考えていくことを2008年度方針でうたっています」と、学習会の趣旨を述べました。


■講演「2050年 自然エネルギービジョン」実現に向けた政策提言

講師の飯田哲也氏

 続いて、講師の飯田哲也氏(いいだ てつなり:特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長)より、『「2050年自然エネルギービジョン」実現に向けた政策提言』と題する講演をいただきました。

 飯田氏が所長を務める環境エネルギー政策研究所では、国際社会の主要国として日本が自らどれだけ温室効果ガス排出を減らすことに貢献できるかについて、自然エネルギー団体や研究者と協力し、自然エネルギーをエネルギー供給の中心に据え、2050年までに日本がめざすべきエネルギー政策の方向である「2050年 自然エネルギービジョン」をまとめました。同「ビジョン」を実現するため今年6月に発表したものが、今回の講演テーマの『政策提言』です。

 気候変動の原因や影響について、評価や助言をおこなっている国際機関IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、「地球全体の温室効果ガスが次の10年から20年の間にピークアウトし(頂点に達し)、2050年には少なくとも半減しなければならない」と警告を発しています。それを受け、福田首相は、今年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で、主要国首脳会議「北海道洞爺湖サミット」の議長国を務める立場から、国連に「ピークアウトと温室効果ガス排出半減の方策を至急検討するように要請」する演説を行いました。


■化石燃料のピークと原子力代替の有効性

 講演は、急速に危機感の高まる気候変動、地球温暖化の問題から始まりました。

 「2007年の北極は、史上最小の面積を記録しました。このままでは、2015年には北極が消失するかもしれません」と飯田氏は語りました。また、急速に融解するグリーンランドの氷床について触れ、今世紀末の海面上昇への危惧を説明しました。

 こうした気候変動の問題に加え、石油や石炭といった化石燃料の枯渇の可能性について言及し、「地球温暖化」と「現状の主要エネルギーの不足」という複合的な問題を提起しました。加えて、原子力エネルギーが石油の代替エネルギーとして有効か、地球温暖化防止にどの程度役立つかについて述べ、人類が立脚すべきエネルギーを、石油や原子力から自然エネルギーへと転換を図るよう、政策の方向を指し示しました。

<「2050年 自然エネルギービジョン」を組み立てる上での基本前提>

  • 水力、太陽光/熱、風力、地熱、バイオマス等の自然エネルギーによる供給を最大限利用する。
  • 自然エネルギー比率を50%以上とし、CO2排出量を70%以上削減(2000年比)する。
  • 化石燃料(石炭、石油、天然ガス)および原子力の利用は必要最小限に限定する。

■持続可能なエネルギーとは

学習会の模様(アカデミー茗台)

 「自然エネルギー」へのバランス転換と並んで、「省エネルギー」が持続可能なエネルギーのもう一つの原則であることが語られ、自然エネルギーの割合を増やすことと、エネルギー利用を減らすこと(無駄を減らす、効率化、低エネルギー商品・サービスなど)を柱としてこそ持続可能なエネルギー政策の展望が開けると述べられました。

 また、現状の日本は「省エネ先進国・環境先進国とは呼べない」として、「産業や電力といった上流側を放置し、下流側である国民生活だけに焦点を当てた温暖化政策は有効ではない。日本の産業界がエネルギー効率がよいという認識は正しくありません。CO2発生の肝である石炭火力発電の急増に対する歯止めがないまま、地球温暖化対策とは無関係に増設が進められてきました」と、正確な現状認識を持つことを強調されました。

 今後の日本のあり方として、「化石燃料フロー社会」から「自然エネルギーストック社会」へ変わっていくことが求められるとし、自然エネルギー活用の先進国であるドイツなどヨーロッパの事例を紹介されました。 ドイツは2000年に導入した自然エネルギー法が成功し、自然エネルギーによる電力供給量を向上させ、CO2削減に加え、産業経済効果、雇用効果、地域活性化効果をもたらしています。

 スウェーデン、デンマークなどのEU諸国では、自然エネルギーへの移行が政策的に進められています。市民出資による協同組合の風力発電施設、エコ・ファンドによる資金づくり、「地域環境エネルギー事務所」(デンマークで発祥)による環境普及啓発活動など、地域が支える仕組みが作られてきました。世界全体での自然エネルギーへの投資額は2007年には1,480億ドル(約16兆円)規模になっています。


■自然エネルギーの可能性

 「欧州各国が自然エネルギー推進の高い普及目標を掲げる中、日本の目標数値は2014年で1.63%にすぎません。日本は、エネルギー事業者側の施策から、地域や市民の視点を取り戻して生活者のためのエネルギー政策を推進する必要があります」と、政策の転換の必要性を飯田氏は訴えました。

 欧州各国との比較では規模は小さいけれども、日本でも2004年から始まった環境省モデル事業や、自治体のグリーン電力事業、市民出資の地域の自然エネルギー事業といった事例を紹介され、「地球温暖化という人類の前に立ちはだかる大岸壁をどう登るかが、今、大きな課題となっています。正しいルートを見極め、具体的な段取りをつけ、着実かつ迅速な実行をすることで、乗り越える手がかりは見えてきます」と力を込められました。

 最後に、会場から日本での自然エネルギーの取り組みの具体性について質問が出されました。化石燃料や原子力だけではない、自然エネルギーの持つ可能性に多くの参加者が関心を新たにした学習会となりました。 エネルギー問題については、さまざまな考え方や意見があります。パルシステムでは、今後も各種の学習会を重ね、再処理問題、エネルギー問題、原発問題を考えていきます。


パルシステムのエネルギー・原発問題に対する取り組みは下記をご覧ください。

パルシステムはエネルギー・原発問題を考えていきます

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