産直のこと

地域の元気を つくる、育てる

#「食べる」が地域興し #地域づくりの輪を広げる

食卓はいつも必ず
どこかの産地と
つながっている。
「食べる」の先に
町があり、畑があり、
くらしがあるから
誰でも、いつでも
地域をつくる一員です。

「楽しい」を生み出す
みかん香る段々畑

#無茶々園(愛媛県)
#みんなの笑顔が地域のパワーに

愛媛県の南西部にある産直産地、無茶々園(むちゃちゃえん)。西予市の明浜(あけはま)の曲がりくねった海岸沿いに、柑橘の段々畑が広がっています。パルシステムとの関係も長く、有機農業の先駆者ともいえる産地のひとつです。

昭和30年代、各地の農業が「大量生産」「もうかる農業」に向かうなか、最初はたった3人で有機農業に挑戦。そもそも、機械はとても入れない急斜面にある段々畑で、「効率的にたくさん作る農業」はむずかしいことでした。

そこでめざしたのが、「もうからなくても、地域で安心してくらせること、楽しい農業をすること」。化学合成農薬や化学肥料を使わない有機栽培は、目の前の海も豊かにし、やがて地域全体の環境保全につながっていきます。

無茶々園では、ちりめんじゃこや真珠の生産、青のりの栽培も行っています。柑橘を活用した加工品や化粧品、梅干しやはちみつ、有機農産物で作った乾燥野菜……。海と山の恵みを余すことなく、自分たちの手で価値をつくり出しています。

そして、2013年に立ち上げた福祉事業。高齢化が進むこの土地で、みんなで100歳まで笑って過ごしたい、と取り組んだ新しい挑戦でした。「やっと本当の意味で『地域組織』になれた」と、代表の大津清次さんは話します。

産地としての営みが地域を元気にし、地域の活力が産地の可能性を広げていく。そんな循環の一端を、食べる側の私たちも担っています。産直の先には、そこで生きる人たちの思いと、地域の未来があります。

農業×福祉で
みんなニッコリ

#ちば風土の会(千葉県)
#畑は人が成長できる場所

千葉県の成田空港からほど近い場所に、障がいがある人たちがいきいきと農作業をする有機農場「夢のカタチふぁーむ」があります。運営しているのは、2017年から産直産地・ちば風土の会と協働し、障がい者の自立支援を行う(株)夢のカタチです。

農場で働いているのは、身体の障がいや知的障がいなど、さまざまなバックグラウンドがある人たち。和気あいあいとした雰囲気のなか、畑での農作業や、収穫した野菜の袋詰めなどを日々行っています。

夢のカタチの代表の二階堂すみ子さんは、長く障がい者の就労支援に携わるなかで、彼らが働く環境に疑問を感じていました。縁あってちば風土の会と出会い、「農業なら、がんばったぶんだけ成長できる」と、農場を立ち上げました。

周りとコミュニケーションをとりながら、太陽の下で体を動かす農作業。働くうちにどんどん元気になり、能力も引き出されていくそう。地元企業への出張販売や、収穫体験に来る学生たちとの交流など、地域に根づいたつながりも広がります。

ちば風土の会の事務局である山下司郎さんは「ここは、障がいがあろうとなかろうと、働く人すべてが自立をめざしている」と話します。二階堂さんの「自立」への思いが、協働の決め手にもなりました。

ちば風土の会から届く『おまかせ有機野菜セット 8品』には、夢のカタチふぁーむで作られた野菜が毎週1~2品入っています※。手元に届いたその野菜は、おいしいだけじゃなく、誰かの自信につながり、地域を笑顔にしています。

※天候不順時は入らない場合があります。

ひと口食べたら
もう「やさかびと」

#やさか共同農場(島根県)
#小さな町とだってつながれる

島根県の市街地から、いくつも山を越えた標高550mの山あいにある、産直産地・やさか共同農場。人口1,000人ほどの浜田市弥栄(やさか)町は、8割以上が森林に占められ、すれ違えば全員が顔見知りという小さな集落です。

1972年に、関西から弥栄の地に移り住んだメンバーで設立されたやさか共同農場。「よそもの」からのスタートでしたが、「消費地から遠いこの場所で、どう生き残っていくか」を、町と一体となり考え続けています。

有機の小松菜、ほうれん草、鷹の爪などを栽培しながら、有機米の米こうじで作ったみそや甘酒、塩こうじなど、土地の水や空気が育む加工品も生産しています。そこには、県外から移住してきた若手のメンバーの姿も。

大切にしているのは、彼らに農業以外でも、どんどん地域に登場してもらうこと。カフェで働く、シェアハウスを運営する。吹き込んだ新しい風が地域の人たちと溶け合い、町の未来を一歩ずつつくっていきます。

設立メンバーのひとりである父の跡を継ぎ、農場の代表を務める佐藤大輔さん。「今の自分たちがあるのは、この農村や有機農業という選択を、前の世代が残してくれたから。次世代にも生き方の選択肢を残していきたい」。地域興しの根底にある思いを、そう語ります。

そして、「地域興しは、その地域だけではできない。交流がある都市部の人たちの存在があってこそ」という言葉も。食べることは、それが作られた土地の「地域びと」になること。「産直」は、人と人をつなぎ、支え合いの輪をつくり出していきます。

Eat & Support

食べるとイイコト

『やさかの有機塩こうじ』

原料の有機米の一部がやさか共同農場産。塩けも甘みもまろやかで、料理に使いやすいペースト状です。

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