ごはんづくりのNEW問答No.20

「今朝のこと。高校生の長女が『もう時間ない』と、私が早起きして作った朝食をほとんど手を付けずに登校してしまいました。私の努力が報われるような発想の転換、ありませんか?」(Tさん 40代)
作る側も食べる側も、
無理のないスタイルをめざしましょう

今回の回答者
文筆家・ポルトガル料理研究家 馬田草織さん
とにかく口に入ればOKと考える
こ、これは少なからずショックですね。本当は食卓で朝からバランスのいい食事をとって欲しいところですが、現実は難しい。「はー、んだよもう、忙しいのはこっちも同じだっての」、そんな風に毒づきたくなります。
その一方で振り返ってみると、かつて自分が女子高生だった頃、朝ごはんはかなり邪魔な存在だったことも事実。いつも例外なくぎりぎりまで寝ていて、頑張って起きたら登校準備もそれなりにある。
ティーンともなると、前髪とかなんとかの見た目ケアの方が、食べることの100万倍大事だったりもする。
だからですね、朝ごはんを食べろと言われても「うざっ、ムリ」と思う気持ちもよくわかる。彼女たちもきっと悪気はない。とはいえ、相手は成長期の子どもです。だからやっぱり、なにか口に入れて欲しい。栄養摂って欲しい。脳に糖分与えなきゃ。
いろいろ試みた末、近頃のわが家の朝ごはんは、キッチンカウンターにピットイン方式で平和に解決しております。

立ち食いおにぎりで平和解決
具体的には、朝炊き立てのごはん(炊飯器で予約)でお弁当を作ったら、残りのごはんでおにぎりを握る。これが娘の朝ごはんになり、自分の朝ごはんにもなる。
ついでに余裕があれば、味噌汁やインスタントスープ、果物を用意しておいても。部屋と洗面所を行ったり来たりするついでに娘がピットインしておにぎりをほおばったり、汁をすすったり、りんごをかじったりできる。
夏ならシリアルに牛乳とか、ときには甘いドーナツを買ってきたり、おいしいパン屋の惣菜パンでもいい。そうやって、立ち食いそば屋的な感じで提供すると、食べる方も短時間で解決できて、食べることを苦じゃなく感じるらしい。
あるいは食べる時間がないときなど、おにぎりをラップに包んで持たせると、通学途中や隙間時間にさっとほおばることもできる。しかもおにぎりは、余ったらそのまま冷凍できちゃう。だから仮に食べられなくてもイラッとすることなく、食材も無駄にならない。
ということで、朝ごはんのピットインスタイル、おすすめします。私も平日の朝ごはんは、立ったままの方がだらっとしなくて調子いいかも。

困ったらとりあえずおにぎりを
あれば自然と手が伸びる。おにぎりは、そんな不思議な力あり。たんぱく質不足が心配なら、具に練り物やソーセージなどを入れても。まずは脳に糖分を補給しましょう。ついでにあなたの朝ごはんにもなります。