パルシステムごはん部

ごはんづくりのNEW問答No.10

2024.5.23

「夫はとにかくしっかり食材に火を通したい派。決しておいしくないわけではないのですが、くたくたの何か、パサパサなお肉といった感じです。でも『衛生的に不安』と言う人に『火を通しすぎないで』とも言いにくいし、作ってくれて助かっているのでもやもやしています。」(Yさん 30代)

A -anser-

料理って化学です。
加熱の意味にヒントがあります。

今回の回答者
料理家 樋口直哉さん

加熱するほどおいしくなる料理も

料理を作ってくれるパートナーに感謝しつつ、火の通し過ぎがちょっとだけ気になるというお悩み。確かに火を通し過ぎると料理の味わいは損なわれます。

肉のたんぱく質は60℃を超えると急激に縮み始め、肉汁を追い出してしまいます。野菜は細胞壁が壊れ、水っぽくなり、食感も失われてしまいます。

いっぽうで、火の通しすぎが問題にならない料理もあります。例えば豚バラ肉や牛スネ肉は長時間加熱することでコラーゲンが溶け、やわらかくジューシーに。

イタリア料理では、野菜をクタクタになるまで煮たり炒めたりしますが、そこに魅力があります。ポトフやみそ汁にシャキシャキした野菜が入っていたら違和感がありますよね。

そういった食材や料理を選択するという手もあります。しっかり加熱しておいしい料理をリクエストしてみてもいいかもしれません。

きちんと学ぶことで、不安を解消

個人的に気になるのは「火が通っていないと衛生的に不安」という部分です。

料理をする人は食品安全について学ぶ必要がありますが、よく知られているように細菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」が、食中毒予防の三原則。加熱では壊れない細菌の毒素もありますから、「加熱して菌を殺せば大丈夫」とだけ考えることは禁物なのです。

もちろん、必要以上に恐れる必要はありません。大切なのは事実としっかり向き合って「適切に怖がる」ということです。

加熱が足りないのはNGですが、必要以上に加熱をすることはありません。ほとんどの肉や魚は「中心温度75℃で1分間以上」を守ることで安全を担保できます。

温度は目には見えないので、客観的に判断するために中心温度計を購入してみても。肉や魚の多くは75℃程度の加熱でおいしく食べられるので、温度計を使うと加熱し過ぎも防げます。食品安全を学ぶと料理もおいしくなるのです。

知れば安心!
食中毒予防の三原則

【つけない】
たとえば鶏肉にはカンピロバクターが、牛肉にはO157が、鶏卵にはサルモネラがついている可能性があります。少量でも危険な細菌なので、まな板などは使い回さずに都度洗浄し、最後に加熱で「やっつける」。
黄色ブドウ球菌は手指に付着することがあるので、しっかり手洗いし、素手でおにぎりを握らないなど。

【増やさない】
黄色ブドウ球菌や、穀物や野菜に付着しているセレウス菌は、食品内で増殖して毒素を作るので、「増やさない」=「毒素を作らせない」。
この毒素は加熱では壊れないので、加熱調理したものはすぐに食べるか、冷蔵・冷凍保存を心がけ、炊いたごはんを常温で放置するのは避けるなど。

【やっつける】
肉や魚は中心温度75℃で1分間以上かまたはそれと同等、貝類であれば85℃~90℃、90秒間以上の加熱をしましょう。

今回の回答者
料理家
樋口直哉(ひぐち・なおや)さん

科学的な視点から、素材のおいしさを最大限に生かすレシピや失敗しない調理プロセスを提案。2005年に第48回群像新人文学賞を受賞するなど、作家としても活躍している。

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