ごはんづくりのNEW問答No.09
「魚料理のレパートリーが少なく、肉料理が多くなりがちです。小さな子どもも食べられて、仕事から帰ってきて簡単に作れる魚メニューにいつも悩んでいます。」(Pさん 40代)
魚は栄養豊富な時短食材。
忙しい現代人の味方です。
今回の回答者
料理家 樋口直哉さん
強みと弱みを知って、
魚料理を攻略
魚料理は、価格が高い、内臓などの処理が必要、焼き魚や煮魚など決まりきったメニューになりがち、しかも子どもたちが喜んで食べてくれない……といろいろ言われてしまいがちです。
せっかく作ったのに反応が悪いとがっかりなので、攻略法を伝授しましょう。
料理を攻略するには、弱みと強みを知ること。魚の弱みは「骨」です。骨があると食べる気がやや削がれてしまいますが、それ以上に「おいしさ」に関係します。
じつは人間は、おいしく感じるひと口の量がだいたい15g〜30gと決まっています。大ざっぱに言うとスプーン1杯が目安。
例えばしょうが焼きやカレーライスであれば適量を作れますが、箸を使って骨を避けながら焼き魚を食べると、ひと口あたりの分量はそれよりも小さくなりがちに。そのため物足りなく感じやすいのです。
お手軽、下処理済み素材
ある民間企業のWebアンケートによると、小学生の子どもが好きなメニューの3位は堂々の寿司でした。
子どもは魚の味が苦手ではないのです。寿司のいいところはひと口で安心して食べられることですよね。
魚料理は骨を気にせず、かぶりつける環境を作る必要があるわけです。しかし、骨を抜くのは意外と大変。
そこでおすすめなのが、「下処理済みの魚」です。骨抜き、あるいは骨とりという表示がある切り身や、パン粉を付けた状態まで下処理されているカツなども便利です。
味付けは肉と同じように考えてください。豚の代わりに魚の切り身をしょうが焼きにしてもいいですし、ほたてをにんにく風味の唐揚げにしてもいいのです。肉と同じ味付けを意識すれば、レパートリーも自然と広がります。
魚は肉と比べると「調理時間が短時間で済む」のが強み。生の状態で食べられる刺身はもちろん、加熱をする場合も肉と比べてたんぱく質の凝固温度が低いので、加熱時間は短くて済みます。そして栄養も豊富。じつは魚料理は、忙しく食生活が偏りがちな現代人の味方なのです。