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6次産業化や後継者育成など評価

環境保全型農業推進コンクールは、農林水産省が地域社会の発展と理解促進、普及を目的に実施しているものです。今回は農林水産大臣賞に「有機農業」「環境保全型農業」両部門からそれぞれ1点、農林水産省生産局長賞6点の計8点が選ばれました。やさか共同農場は、有機農業部門で最高賞にあたる農林水産大臣賞を受賞しました。

選評では受賞理由として「農薬や化学肥料に頼らない大豆などの農産物生産や味噌加工などの6次産業化に取り組み経営を安定化」「後継者育成体制が整備されており(中略)多数の有機農業者が定着」などが挙げられました。

パルシステム産直産地による農林水産大臣賞受賞は、昨年の庄内産直ネットワーク(山形県)に続き、2年連続です。

佐藤英道農水政務官から賞状を手渡されるやさか共同農場の佐藤代表(左)

就農支援で40人近くが定住

授賞式後のシンポジウムでは、取り組み発表として佐藤大輔代表が事例を報告しました。やさか共同農場は1972年、当時の弥栄村(現浜田市)に若者4人が入植して活動をスタートさせました。田畑を水稲、大豆、大麦による輪作で土の力を保ったり、畜産農家との連携でふんをたい肥として利用したりすることで、地域の資源循環と農薬や化学肥料に頼らない農業を実践しています。

新規就農希望者への支援にも積極的で、研修生が生産する農作物を共同で販売することで収入を確保。庭先の畑で少量多品目を生産する地元生産者の農作物も扱うことで、新規就農者が孤立しない地域社会づくりにも貢献しているそうです。産直交流も、社内に交流部門を常設し、農業体験などの企画を実施しています。

こうした取り組みから、有機認証やエコファーマー認定の取得者は100人を超え、39人が新たに同地区へ移住して定着するなど、地域産業の柱となっています。今後は、西日本のほかの産地と連携し、複数産地で研修できる体制をつくるなど、新たな仕組みづくりにも着手しています。

佐藤代表は「今回の受賞は有機農業に理解のある県をはじめ、関係者全員によるものです。今後は、イベントにとどまらず、生産者が食卓まで足を運び、食育を日常化したいと考えています」と抱負を語りました。

また、基調講演では同じくパルシステムの産直産地であるマルタの佐伯昌彦社長が「持続可能な経営を目指して」と題し、青果物をめぐる需要の変化とそれに対応した商品開発について、事例を交えながら紹介しました。生産物をそのまま販売するだけでなく、加工品など6次産業化へのチャレンジで消費者とコミュニケーションを確立し、需要を把握することの重要性が語られました。

シンポジウムでの発表のようす