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TPPをテーマに産地の現状を共有

農法研究会は生産者どうしが事例を報告し合い、情報を共有することで、パルシステム産直のレベルアップを目的とするものです。今回はTPP大筋合意を受けて、協定内容と国内対策の課題についての講演と、産地の代表によるパネルディスカッションを行いました。生産者、パルシステム組合員など361名の参加がありました。

開会に際し、パルシステム生産者・消費者協議会(パルシステム生消協)の大津清次生産者運営委員長(無茶々園・愛媛)は「生消協では、5~10年先を見据えた産地ビジョンづくりを方針化しました。各産地が経営の現状を把握し、今後のあり方を議論しています。TPPをテーマに産地の現状を組合員と共有し、今後の産直をともに作り上げていきましょう」とあいさつしました。

知恵を掘り起こし新たな生協産直を

講演はパルシステムの畜産事業を担う子会社(株)パル・ミートの桑島雄三取締役商品本部長が登壇し、協定内容や課題についてわかりやすく説明しました。「TPPでは多くの食品の関税が撤廃され、畜産物を中心に大きな影響があると想定されています。すぐにというわけではなく、4年、7年、10年後と段階的に広がっていくのが特徴です」とし、「投資に踏み切れないなど、担い手不足に悩む生産者には心理的なダメージも大きい」と指摘しました。

また条文が解読しづらい難解な内容であることに触れ、いまだ全容が明らかにされないTPPについて不信感を示し「日本は先進国のなかで食料自給率が最低水準である特殊な国家です。食べ物を輸入に依存するだけで本当によいのでしょうか。環境保全型農業を求める世界の動きと連動し、生産者と消費者による粘り強い事業と運動が必要です」と国内生産基盤の維持を訴えました。

パネルディスカッションでは米・青果・畜産の産地である江口聡・JAささかみ専務理事(新潟)、澤浦彰治・(株)野菜くらぶ代表取締役社長(群馬)、豊下勝彦・ポークランドグループ代表(秋田)が、またパルシステムの青果を扱う子会社(株)ジーピーエスの野村和夫専務取締役、梅原隆子・生消協消費者幹事、桑島取締役が、それぞれの立場からTPPをテーマに見解を述べました。コーディネーターを務めた谷口吉光・秋田県立大学教授は「時代背景に即した、新しい生協産直の運動論が求められています。グローバリズムによる負の要素を克服するためにも、ローカリゼーション(地域)、フードセキュリティ(安定供給)、ガバナンス(食の自主管理)について、新しい知恵を掘り起こしていく時期に来ています」と総括しました。

当日は産地ビジョンづくりの取り組み状況が、JAつくば市谷田部(茨城)、神奈川中央養鶏農業協同組合、さんまる柑橘同士会(和歌山)から紹介されました。

講演する(株)パル・ミート桑島取締役

米・青果・畜産生産者が登壇