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政府は4月から、生活困窮者自立支援制度を導入しましたが、さまざまな課題を抱えており、制度によってさらに生活が苦しくなる家庭も出てきています。学習会は、これらの現状を知り生協としてできることを考える機会として開催され、パルシステムグループの役職員や関係者などおよそ40名が参加しました。

生きづらさ抱え社会に出られない若者

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人の綿貫公平さんからは、社会に出られない子どもたちの居場所づくりを中心に事例報告しました。綿貫さんは2012年に公立中学校の教員を定年退職後、三鷹市の認定NPO三鷹文化学習協同ネットワークなどで就労支援活動に取り組んでいます。

綿貫さんは「生きづらさを抱えて社会に出られない若者が多くいます。それは、自己責任でなく社会が貧困を見えづらくしていることも大きな要因です」と話しました。政府の自立支援制度についても、短期間でどれだけ就労につなげたかという指標でしか評価されない点を指摘し、社会復帰以前の居場所づくりの重要性を訴えました。

また、地域における学校の役割について「以前は長期にわたって同じ学校に赴任する教師がおり、地域に関わらなければ仕事になりませんでした。現在は異動も頻繁で、家庭訪問もできる状況になく、必然的に地域からの視点が欠落しています」と話しました。

生協への期待については、阪神・淡路大震災後に兵庫県で行われた生徒の職場体験で、コープこうべが全面的に支援したことを例に挙げ「地域に根差し、子どもが社会を重層的に体験できる機会を提供してくれれば、貧困の『見える化』にもつながるのではないでしょうか」と提案しました。

綿貫さんは元教員の立場から地域の問題を提起

勉強したいのに教えてくれない――

NPO豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林知絵子さんは、遊び場の提供を契機にした子どもの居場所づくりを紹介しました。同NPOでは、公園で自由に遊ぶ「池袋本町プレーパーク」のほか、無料の学習支援、母子家庭などを対象とした「子ども食堂」などの活動を実施しています。

学習支援のきっかけとなったのは、ひとり親家庭で育った中学校3年生の生徒が「進学できないかもしれない」と漏らしたひと言だったそうです。勉強を教えてくれる人がいないため、勉強したくても学力を向上させる機会がなかったといいます。母親からも後日「相談できる人がいなかった」と打ち明けられたそうです。

また、同じ生徒を家での食事に誘ったところ、家族と会食する習慣もなかったことから、困惑されたことがありました。そこで「子ども食堂」を開始し、現在ではひとり親家庭や、地域で困っている子どもたちの居場所になっています。栗林さんは「来る人を拒まないことも大事です。自分の住む地域にも貧困があることを知ってもらい、支援者を増やすことにもつなげています」と話しました。

活動を明るい雰囲気で紹介する栗林さん