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政府は4月から、生活困窮者自立支援制度を導入しましたが、さまざまな課題を抱えており、制度によってさらに生活が苦しくなる家庭も出てきています。学習会は、これらの現状を知り生協としてできることを考える機会として開催され、パルシステムグループの役職員や関係者などおよそ40名が参加しました。

急速に広がる自治体間の支援格差

認定NPO自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長からは、制度導入による全国の自治体の対応について紹介しました。制度では、各自治体が生活困窮者から相談を受け、自立へ向けたプランを作成することとなっています。それに対し大西さんは「対応をめぐり自治体間の格差が急速に開いています」と指摘します。

政府が発表したことし7月における支援状況によると、神奈川県横須賀市などは人口当たりの相談件数の割合が多く、それにともないプランも高い割合で作成されているのに対し、相談を受けてもプランを作成しなかったり、相談を受け付けずプランも作らなかったりする自治体もありました。

大西さんはその要因として、プランを作成した場合の就労率が指標のひとつとして評価される点を指摘します。「制度は就労が可能な人に焦点を当てており、さまざまな要因で就労できない人を対象としていません。就労率を上げるために自治体はプラン作成に消極的となり、その結果、将来的に予算がカットされていくことが危惧されます」と話し、地元自治体をチェックしていくことを呼びかけました。

「お住まいの自治体の対応をチェックして」と呼びかける大西さん

地元行事への参加で社会復帰促す

NPOPOPOLO(ポポロ)の鈴木和樹事務局長は、静岡県内で実施している支援活動を事例として紹介しました。同NPOは、富士市を中心とする7市から共同で支援事業を受託し、生活困窮者への住居や食事などの提供や、共同生活を通じた社会復帰などを支援しています。入居者は、派遣切りにあった若い失業者も少なくないそうです。

シェルターと呼ばれる共同住宅を設置するにあたり、周辺住民からの反対運動が起きなかったそうです。その要因として鈴木さんは「ごみ収集日のネットかけや、地元商店街で行われる催事の手伝いなど、地域の活動に積極的に参加しています。それが社会との接点づくりにつながり、支援を受ける人と地域住民が良好な関係を構築できています」と話しました。

また、食を含めた共同生活の利点を挙げ「フードバンク活動でも感じますが、食べ物を通じて相談ごとに乗ると、本音が引き出されやすいです。『同じ釜の飯』ではありませんが、生身の人間同士で交流することで、社会復帰への道をいっしょに考えています」と述べました。

鈴木さんは具体的事例を基に自立支援の現状を紹介