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掲載日:2011年3月10日

パルシステム生産者・消費者協議会通常総会フォーラムを開催
TPPに負けない産直の関係づくりをめざします
パルシステム連合会は3月3日(木)、東京・千代田区のサイエンスホールにて第22回通常総会およびフォーラムを開催しました。総会では2010年度報告および2011年度方針などの議案が承認されたほか、フォーラムではTPPをテーマにした講演や産地からの決意表明などが行われました。

 パルシステム連合会の取引産地生産者と生協、組合員でつくるパルシステム生産者・消費者協議会(生消協、141団体、代表幹事・香取政典佐原農産物供給センター常務理事)は3月3日(木)、東京・千代田区のサイエンスホールで、第22回通常総会とフォーラムを開催しました。当日はパルシステムの産直産地の生産者、生協組合員など約500人が集まりました。


■大きく変わる農業、さらに活発な活動へ

多くの参加者が集まりました

 開会にあたりあいさつした香取代表幹事は「2010年度は異常気象や政府のTPP参加検討など、あらゆる意味で農業への社会的関心が高まる年となりました。農業のあり方が大きく変わろうとするなか、さらに活動を活発になるよう大いに議論してください」と期待しました。

 来賓あいさつでは、パルシステム連合会の若森資朗理事長が「取り巻く環境が厳しいですが、2011年度は生協の原点に戻り、地に足をつけて広がりをつくります」、パルシステム協力会の三澤孝道会長(共生食品社長)が「パルシステムが日本になければならない生協となるよう、支えていきましょう」と、ともに今後の協力を呼びかけました。


■4プロジェクトを中心に活動します

 通常総会では、2010年度活動報告と2011年度活動方針などが審議され、いずれも拍手にて可決承認されました。2010年度は、青果を専用の温度で届ける物流改革やそれにともなう「産直いきいき品質」のスタートに対応し、62カ所の全配送センターで産直青果をテーマに学習会を開催しました。すべての学習会に組合員が講師として訪問し、配送車両へ同乗するなど組合員、職員との交流を進めることができました。

 また「産地点検プロジェクト」「産直加工原料プロジェクト」「交流政策プロジェクト」「政策提言プロジェクト」を立ち上げ、それぞれのテーマに沿った活動を展開しました。これまで実施してきた農法の研究や学習会「産直連続講座」、料理教室なども積極的に開催し、よりレベルアップした産直を目指しています。

 2011年度は、上記の4プロジェクトを中心に、交流活動や産直加工品の開発、環境型農業の普及・研究、自主点検の強化などに取り組みます。質疑応答では「TPP(環太平洋経済連携協定)への活動をもっと明記すべきでは」「ホームページの活用などはどう考えていますか」などの意見、質問があり、活発に議論しました。

 任期満了にともなう役員改選では、推薦された役員全員が承認されました。その後に開かれた幹事会では、前期に続いて香取政典代表幹事が就任しました。最後に東北・北海道ブロックからの特別アピール「TPPに反対し、国内自給率を上げ、産直提携をもとに持続的な農業生産を進めよう」(※)が阿部均ブロック長から読み上げられました。


■日本が「開国」でもたらされたもの

 続いて開かれたフォーラムでは、宇沢弘文東京大学名誉教授を招き「TPPとこれからの日本農業」をテーマに講演が行われました。宇沢名誉教授はまず、TPPへの日本の参加について「21世紀に入り、米国の国力は低下しています。日本に圧力をかけ参加させることで、極東への影響力を維持させることが狙いです」と話しました。

宇沢名誉教授

 その後、政府が唱えている「第3の開国」になぞらえ、これまでの開国の経緯を説明しました。「第1の開国」(安政の開国、1858年)は、日米通称修好条約が結ばれ、治外法権、関税自主権の放棄、最恵国待遇の付与といった不平等な条約を結ぶこととなりました。「明治期以降の発展に傷を残し、その反感は、軍国主義の台頭につながるメンタリティを形成してしまいました」と分析しました。

 「第2の開国」(昭和の開国、1945年)は、第2次世界大戦敗戦による米国を中心とした占領政策を指します。公職追放などにより占領軍の考えにあわない官僚を排除し、戦勝国側に有利な国づくりが進められました。宇沢名誉教授は「その結果、日本は朝鮮戦争やベトナム戦争に関与し、東アジア地域の平和を乱すことになりました」として、「第3の開国」が新たな摩擦を起こしかねない危険性について示唆しました。

 また、TPPについて「公共的なものまで市場で取引しようという『新自由主義』と呼ばれる考え方に基づくものです。英国では健康保険までも民営化し、医師不在が社会問題化しました。日本がTPPに参加すれば、農業はもちろん医療、教育など社会的共通資本にとどめを刺すことにつながります。私も最後の力を使って、戦いたいと思います」と力強く語りました。


■生産者、消費者から決意表明と問題提起

 講演後、パルシステム連合会の山本伸司常務執行役員から、検討を進めている「TPP交渉参加に対する見解および農の再生に関する提言」のとりまとめに向けた報告がありました。次に各部会からの決意表明と、生協代表からの行動提起が行われました。

 決意表明、行動提起では、農法の研究や産地研修、小学校での出前授業など、それぞれの取り組みを紹介しながら、生産者と消費者がつながることの大切さや安全性やおいしさを伝えることの意義を共有し、産直のより深い関係づくりを訴えました。

 最後に香取代表幹事は「農業は国土を守る責任、自覚、覚悟が必要だと、あらためて感じました。これからも利害を超えて活動し、より広く、深く理解してもらえるよう、取り組んでいきましょう」と締めくくりました。


■県別交流会は最多の生産者が訪問

 また、翌4日(金)には9カ所の会場に分かれ、県別交流会が開催されました。過去最多となる600名の生産者がそれぞれの会場を訪れ、あわせて1,343名が参加しました。生産者と組合員がお互いの考えなどを語り合い交流を深めました。


※特別アピール

「TPPに反対し、国内自給率を上げ、産直提携をもとに持続的な農業生産を進めよう!」

日本の食をめぐる危機的な状況は、食料自給率が40%を切り、また食を支える農業という仕事を担う農民がこの20年で約半分に減ったという数字に端的に表れています。

しかし、考えても見ましょう、世界はすでに食料不足の時代に突入しています。食料輸出国が、不作などを理由に、輸出制限に踏み切った例は数えきれません。食料とは、毎日毎日食べ続けなければ人の命を支えることができないものです。この食料の60%以上を外国に依存している日本という国の脆弱さは、世界の中でも異常というしかありません。

しかも、これを回復するための具体的な政策は未だに示されないままです。国は昨年3月、農業政策の基本となる「食料・農業・農村基本計画」を見直し、これまでの農業政策の誤りを認めつつ、自給率50%達成を打ち出したばかりです。しかし、そのための具体的な政策が動き出してもいない昨年秋、菅首相は突然TPPへの参加検討を言い出しました。

私たちは、このような状況の中で、TPPに参加することには断固反対します。TPP参加によって、米をはじめとする農産物の価格は下落し、ただでさえ高齢化に苦しむ日本の農業は、自給率の向上どころか壊滅的な打撃を受けるに違いありません。

私たちが国の農業政策に求めるのは、国の土台としての農業が、これからも国民の食を支え続けるとともに、農民が農業という仕事に誇りを持って、家族や地域の人々とともに暮らしていけることです。

また、農業生産額はGDPの1.5%などと言われていますが、関連産業を含めると地域経済にとっても、地域の自然環境を守るためにも、農業は単なる生産金額では測れない大きな存在であります。

農業は地域の自然とともにあります。東北や北海道の地で、1年にお米を2回も栽培しようとしてもできないし、水のないところで水稲を栽培しようとしてもできません。これらを無視して、経済合理主義を当てはめ、日本の農業を変えようとしてきたのが農業基本法制定以来の規模拡大合理化政策でありました。菅首相は、失敗を繰り返してきたこれらの政策を、「強い農業つくり」と称してまた繰り返そうとしています。そのあとに喜びや誇りを持って農業に取り組む農民がどれだけ残るのでしょうか。

私たちはこれまで産直提携により、消費者組合員の皆さんに支えられながら、単純な規模拡大や合理化だけには頼らないもう一つの方向、つまり、地域の自然環境や生物多様性に配慮し、農薬や化学肥料に頼らない、持続可能な農業を進めることで、安全な食べものを供給し、自らは老人や子どもたちも大切な農業の担い手として参加できる有機的な農業を追求してきました。日本の、特に東北や北海道の自然は多様です。そして多様な自然の中でそれぞれに地域に合った多様な農業が展開されています。

また私たちは、生産者と消費者の信頼関係のもと、農産物の生産とともに自ら工夫し加工や販売することで経営を豊かにしてきました。これらの努力をさらに積み重ね、雇用や新規就農者を生み出しながら、地域の経済に貢献していくことができると考えています。

私たちは自立的な家族経営を主体に、必要によっては共同の組織を持つことが「日本型の腰の強い農業の形」と考えます。従って、過剰な競争を煽る規模拡大一辺倒の企業型農業経営とは一線を画すものです。

これらの状況を踏まえ、パルシステム生産者・消費者協議会の総会において、私たちの思いを次のように訴えます。

一、私たちは家族や地域の人々とともに、地域の自然環境を守りながら、持続的な農業を続けます。

一、私たちは地域の自然とともに、適地適作を進め、豊かで安全な食べものを生産し続けます。

一、私たちは今後も、生産者と消費者の提携を大切にし、日本の国民の命の源である食料と農業振興の問題を最重要政策として取り組むよう政府に求めていきます。

一、私たちは、世界のそれぞれの国が、自国の食料自給率を上げることが国の安全と世界の平和に貢献する道だと考えます。従ってこれに逆行する動きには断固反対します。

2011年3月3日
パルシステム生産者・消費者協議会
東北・北海道ブロック会議
ブロック長 阿部 均




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