2010年7月
スリランカ 森林再生プロジェクト 進捗報告(2010年4月-2010年5月)
降雨量の少なかった雨季とそれに続く乾季の影響で、1月以来この地域は水不足に見舞われていましたが、4月中旬頃から予期せぬ豪雨により、水不足の状態が解消されました。この大雨は、生育不良であった稲にとっては恵みの雨となりましたが、一方で、収穫目前であった稲には被害をもたらしました。この時期に稲の収穫を予定していた農家は、被害を受けた稲の埋め合わせをすべく、二期作として新たな稲の作付けを開始しました。
プロジェクトは、作付けに忙しい地域の人々のスケジュールを調整して、害虫・病気対策に関するトレーニングと食物の栄養価についてのワークショップを引き続き行うとともに、新たに農場への視察活動などを行いました。
害虫・病気に対処するトレーニング 2月に引き続き、農作物の害虫や病気に関するトレーニングを、5月3日エタウェラゴレワ コミュニティで家庭菜園を行っている34人の住民(男性9人、女性25人)に対して行いました。講師は、アヌラダープラ地域自治体の農業担当官が務め、トレーニングは一方的な講義ではなく受講者参加型のより実践的な方法で行いました。参加者は、農作物の害虫被害を防ぐための適切な技術を身につけること、モデル農家としてふさわしい技術を学んで自信を深めることなどといったトレーニングの目的を実現すべく、実技のセッションなどでは積極的に意見を交換しあい、意欲的に学びました。

フェロモンを使ったしかけの使用方法を実演する講師。 このしかけを使うことでミバエの雄の個体数が減るため、受精される卵の数が減り、有害な成虫の増加を抑えることができます。 |

油脂が塗られた黄色いポリエチレン製の布を木枠に被せた害虫用のワナは、飛んできたハエなどを捕えることができます。トレーニングによって、農家の人々の間に、ハチ類などの益虫を増やすためには害虫の個体数を減らすことが重要だという理解が広がりました。 |
農場への視察活動 5月21日、パラナ・ハルミレワ コミュニティの農家の人々131人(男性77人、女性54人)が地域自治体の担当官とともに、パルウェヘラにある農場を視察しました。参加者は、参加者同士で経験を共有するとともに、持続可能な家庭菜園作りや、商業的な農業システムについて学び、苗の管理や養豚、淡水魚やエビの飼育管理に必要な技術と知識などを習得しました。また、土壌サンプルの検査を通じて、その土地にあった微量元素肥料のアドバイスを行いました。

フェロモンを使ったしかけの使用方法を実演する講師。 このしかけを使うことでミバエの雄の個体数が減るため、受精される卵の数が減り、有害な成虫の増加を抑えることができます。 |

農場担当者による採種栽培についての説明の様子。栽培する作物の選定から収穫、種の保管までの全プロセスが詳細に説明されました。 |
食物の栄養価に関するワークショップ
- 新年を祝うお祭り
カダワス・ランベワ コミュニティの協力のもと、4月20日に、カダワス・ランベワ コミュニティの子どもクラブが学校で新年のお祭りを行いました。このお祭りを自ら行うことで、子どもたちは活動を計画・実施する能力や、チームワーク・責任感・コミュニケーション能力などを高めました。
- ヴェサック祭り
5月の満月の日は、ヴェサック祭りと呼ばれ、仏陀の誕生、悟り、涅槃を祝います。ルヌペヒクチャワ、カダワス・ランベワ、パラナ・ハルミレワ、エタウェラゴレワ コミュニティの子どもクラブが集まって、信者に花を無料で配るなどの活動を行い、結束力を一層高めました。
- 小学校におけるモデル庭園の維持管理
エタカダ、マハディウルウェワ、パラナ・ハルミレワの3つのモデル学校のモデル庭園では、今年も数種類の作物を収穫しました。収穫後は、薬用や食用の緑葉野菜や山芋などを栽培するために、区画を整備しなおしています。現在、パンディガマ小学校も新たにモデル庭園の導入を希望しており、同校から提出された計画書を吟味しているところです。
もっと知りたいスリランカ(12)「スリランカの言葉」
スリランカでは、シンハラ語とタミル語が公用語です。人口の74%以上を占めるシンハラ人がシンハラ語、18%を占めるタミル人がタミル語を使用しています。どちらの言語も、文字が独特の形をしており、とてもよく似ています。街中で見かける看板は、シンハラ語とタミル語の両方で書かれていることが多いです。

シンハラ語文字 |

タミル語文字 |
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