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掲載日:2010年7月28日

緊急集会「今こそ産直の底力めざせ『日本型畜産』」を開催しました
食料自給率向上ための畜産のあり方について考えました
パルシステム連合会とパルシステム生産者・消費者協議会、JA全農の3団体は7月23日(金)、都内で「―食と農による世直し運動で、日本の農業を成長させる緊急集会―今こそ産直の底力めざせ『日本型畜産』〜口蹄疫とたたかう畜産生産者を応援しよう」を開催しました。

■開会前には試食を通じて理解を深めました

300名以上が集まった会場内

 パルシステム連合会は7月23日(金)、東京・千代田区の科学技術館サイエンスホールにてパルシステム生産者・消費者協議会(パルシステム生消協)、JA全農とともに「―食と農による世直し運動で、日本の農業を成長させる緊急集会―今こそ産直の底力めざせ『日本型畜産』〜口蹄疫とたたかう畜産生産者を応援しよう」を開催し、生協組合員や関係者など321名が参加しました。

 開場から開会までの間、参加者へはパルシステムの畜産品が試食として提供されました。参加者は飼料に米を配合して育てたたまごや肉などを口にしながら、飼育の工夫やおいしさの秘けつなどを生産者と話していました。


■「タオルを贈る運動」贈呈式も行われました

タオル贈呈式での記念撮影

 集会に先立ち「タオルを贈る運動」の贈呈式が行われました。贈呈式は毎年、組合員が産地を訪れる「産地へ行こう。」企画のなかで実施していますが、今年は口蹄疫が発生し防疫上都合からこの集会での開催となりました。

 組合員代表は「家計は切り詰めたいですが、安全なものには替えられないとパルシステムの牛乳を飲ませています」など寄せられたメッセージを読み上げ、目録を生産者代表へ手渡しました。生産者からは「朝の搾乳を家族に任せ、朝一の新幹線で来ました。いただいたさまざまな絵柄のタオルからは日々、組合員のみなさんの気持ちを感じています」などの言葉が述べられました。


■篠原農水副大臣「取り組みをぜひ続けてください」

篠原農水副大臣

 開会に際し、主催の各団体と来賓からあいさつがありました。パルシステム連合会唐笠一雄専務理事は「農業は生命維持産業と言われているなかで、主業農家の生計が成り立つしくみは充分つくれていません。えさの産直をはじめ日本の農業の再生に向けてチャレンジしていきましょう」と呼びかけました。

 JA全農の秋田俊毅常務理事は「日本の農業人口は300万人を切っています。再生には消費者の尽力が不可欠です。今回の集会が生産者のみなさんへ元気を与えるものにしましょう」。パルシステム連合会新農業委員会の齋藤文子委員長は「畜産が危機にあり、耕畜連携の重要性を再認識しています。この循環の輪をさらに大きくするためにも、利用の輪を広げていきましょう」とそれぞれあいさつしました。

 さらに来賓として来場した篠原孝農林水産副大臣からは「パルシステムから多額の口蹄疫カンパが寄せられたと聞き、畜産農家のみなさんも非常に喜ばれると思います。農業は“自然”に働きかけてめぐみへ変えるものです。日本でえさをつくる畜産は、方向としてまったく間違っていません。


■信岡東京農大准教授「えさの産直は課題解決の1つ」

信岡准教授

 続いて東京農業大学の信岡誠治准教授による基調講演「日本型畜産の課題」が行われ、飼料米の栽培試験や家畜への給餌試験に基づく実践などについて研究報告しました。報告では、採卵鶏にモミ米そのままを給与したところ砂肝など筋肉がよく発達したことなどが紹介され「玄米は常温保存ができないなど制約があるため、モミ米で与えたほうが合理的で、栄養価保持も可能です」と述べました。

 現在の飼料米をめぐる課題については「水田農業との結びつきの再構築が必要です。農協も飼料米の農家には稲作担当でなく、畜産担当をつけてください」と提案しました。さらに「現状の飼料米は、食用米と同レベルの物流保管コストがかかります。コストダウンには飼料として別の体系をつくる必要があり、えさの産直が実現すればそれがクリアできます」と期待しました。


■各産地、組合員からの報告に高い関心

までっこチキン生産者連絡協議会による報告

 次にパルシステムの産直産地から耕畜連携や日本型畜産に向けた事例報告がありました。

 岩手県の「までっこのこめ鶏」産地では、飼料米の取り組みをきっかけに米農家と鶏生産者の交流ができるようになったとのことでした。パルシステム千葉が企画した「パルシステム千葉のこめ豚」は、県内で収穫した飼料米を県内で育てる豚に与えた商品です。予約登録制として募集したところ3427名から注文があり、約7tの豚肉を供給となりました。

 福岡県のすすき牧場では、飼育している4200頭のえさの一部におからや菜種油のしぼりかすを発酵させたエコフィードを使用しています。山形県の米沢郷牧場は、有機農業と畜産を組み合わせた「有畜複合経営」などを実践し「消費者が遠く離れていても田んぼの中の生きものです。いっしょに地域を守ってくれたらうれしいです」と呼びかけました。

 青森県の常盤村養鶏農協は、5年前から飼料米の使用を開始し「スズメが飼料米をねらって田んぼから離れないくらい、年々米の甘みが増しています。オレイン酸の変化は米の作り方にもよるかもしれません」と報告。北海道の「コア・フードの牛肉」産地は、自給粗飼料(牧草)、食品副産物を使って飼育しており、2007年10月から輸入穀物の不使用を実現しました。

 組合員の報告は、2009年7月に実施した「JA新いわて公開確認会」について、パルシステム千葉の徳島まどか理事が「耕畜連携で生まれるいろいろな循環のなかで息づき、育ちあうものたちを感じました」との感想を述べました。


■大井獣医による口蹄疫の緊急報告

大井獣医

 パルシステム連合会の畜産子会社パル・ミートの顧問獣医でもある大井宗孝獣医からは口蹄疫対策についての緊急報告が行われました。大井獣医は口蹄疫発生後の5月4日から2週間にわたり宮崎県へ自費で滞在し、殺処分のボランティアに携わりました。

 大井獣医は現地での殺処分の様子を語り、処分の理由について「汚染国になると、同じ汚染国から畜産品の輸入を受け入れなくてはなりません。日本の畜産を守る上でも、清浄国として認められる必要があるのです」と説明しました。生産者への支援については「お金も必要ですが、地元紙などで掲載している応援のメッセージが大きな励みになっています」と紹介しました。


■利用の輪を広げることが日本の畜産の応援に

 最後に行動提起と決意表明、全体のまとめが行われました。行動提起したパルシステム連合会食料農業政策室の高橋宏通室長は「耕畜連携の呼びかけに生産者が応えてくれたおかげで、価格に代えられない価値が生まれています。生産者を誇りに思い、運動の輪を広げていきます」と話しました。

 決意表明でパルシステム生消協の香取政典代表幹事は「生産者はパルシステムのトラック同乗体験などで聞いた組合員の声を生かし、努力しています。たくさんの組合員に食べてもらうことで自給率や安全性、おいしさなどにつなげていきたいと思います」。全体のまとめとして山本伸司常務執行役員は「企画開発から営農連携まで踏み込んでいる生協はほかにありません。稲作と畜産の連携で日本に農業革命を起こしていきましょう」と呼びかけました。




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