■地域活性化が期待される農商工連携
農林水産省と経済産業省は、農林漁業者と商工業者との連携による取り組み「農商工連携」を、新たに地域経済の再生を図る重要施策として推進しています。地域ブランドの育成や地域固有の特産品などを活用し新たな商品開発やサービスを連携により生み出すことで、地域活性化を促すことが狙いです。
「農商工連携ベストプラクティス30」は、全国の成功事例をモデル的に紹介し「農商工連携で地域を活性化するポイント」として継続的に事業展開できているポイントを分析しています。その1つに、パルシステム連合会が新潟県のJAささかみ、阿賀野市と連携した「ささかみモデル」が取り上げられました。パルシステムではこうした産直産地と取り組む地域協議会が14あり、産直品を原料にした商品開発などを通して安全・安心なフードシステム構築を推進しています。
■取引だけにとどまらないパルシステムの「ささかみモデル」
パルシステムは「食」と「農あるいは漁」を軸に、行政を含む産直産地と基本協定を結び、それに基づく14の協議会を設立しています。産地と組合員との交流事業や産直品を活用した加工品の開発などを進め、地域経済の活性化に寄与しています。その原型モデルが、JAささかみ、阿賀野市と取り組む「JAささかみ食料と農業に関する推進協議会」を中心とした産直活動です。
JAささかみとパルシステムは、1981年からおよそ30年にわたって産直活動に取り組んできました。当初は食管法などの理由で米の直取引はできませんでしたが、現在では産直米の取引だけでなく組合員と生産者が相互に訪問する交流事業や、環境保全型農業の実践による生物多様性の保全、減反による転作大豆を活用した豆腐(「うめてば豆腐(ブロー豆腐)」)の製造などを進めています。
これらの農商工連携により地域では、地域資源循環・環境保全型産業の創出と雇用機会の拡大、生産者の生産意欲向上などが実現しました。「農商工連携ベストプラクティス30」では「食品の生産、加工、流通、消費、廃棄までの安全・安心のフードシステムを構築」したとしています。
■発表の記者会見で事例を報告しました

記者会見に臨む志波職員 |
発表のあった4月2日(金)、経済産業省で記者会見が行われました。「農商工連携ベストプラクティス30」を代表して、パルシステム連合会と株式会社生産者連合デコポンの2団体が発表しました。
会見したパルシステム連合会の志波早苗職員は「ささかみモデル」について「“米なし交流”から始まった関係は、生産者・事業者・生協の日常的な交流で育まれた信頼が『WIN−WIN』の関係を構築しました。
青田刈りした稲わらの活用を目的に商品化したしめ飾りは、高齢者に現金収入が得られる機会と生きがいをつくり、それは30年後の現在も続いています。」と紹介しました。
さらに「こうして長期に渡る安定した取引形態を追求し、組合員の欲しい商品を生み出します。地域資源循環・環境保全型産業を創出していくのが、パルシステムのめざす農商工連携、6次産業の姿です」と説明しました。
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