■パルシステムの公開確認会と監査人講習会

フィールドワークの様子 |
パルシステム連合会は、1999年より、消費者である生協組合員自らが生産者とともに農畜産物の安全性を確認する「公開確認会」に取り組んでいます。
また、公開確認会を充実させるものとして生協組合員、役職員、生産者を対象とした「公開確認会監査人講習会」を2001年より毎年開催し、中級講座の開設やほ場でのフィールドワーク(監査、確認の実技講習会)、を行い監査人のレベルアップを図っています。2009年度は米、豚、野菜で各1回、合計3回の「公開確認会中級監査人講習会」を実施しました。
■公開確認会の事前学習会として42名が参加

あいさつする五十野代表(中央)と生産者のみなさん |
中級監査人講習会フィールドワークは、野菜の産直産地、千葉県のちば風土の会にて2010年1月22日(金)に予定している「ちば風土の会公開確認会」の事前学習を兼ねて行われました。当日は、監査人予定者を含む組合員や役職員のほか、アドバイザーとして招かれたオーガニック検査員など42名が参加しました。
開会にあたり有機農法ギルドの五十野節雄代表は「組合員のみなさんが来てくれることで、産地は活気づきます。講習会を通じ、有機野菜がどのように栽培されているかを知ってください」とあいさつしました。
■農業を取り巻く情勢や商品基準について学びました

受講者のみなさんも熱心に耳を傾けていました |
続いて、パルシステム連合会産直事業部の野村和夫部長から「生協の産直を取り巻く情勢と公開確認会」、子会社ジーピーエスの高橋宏通常務から「監査マニュアル・監査シートの説明と書き方」についてそれぞれ説明がありました。
野村部長は、有機JAS法や有機農業推進法といった国内の有機農業をめぐる法制度から、近年の資源高騰、2010年に名古屋で開催予定の生物多様性条約締結国会合(COP10)などの世界的情勢などについて説明。「生物多様性、環境、温暖化が社会的課題とされている点からも、有機農業はさらに広める必要があります。商品そのものの価値を超えた価値を知り、それを消費者や生協が支えるためにも、公開確認会の意義は小さくありません」と話しました。
高橋常務は、パルシステムが独自に定めている「コア・フード」商品の基準や、監査マニュアルについて説明しました。有機農業の特徴として、農薬や土壌の管理、雑草対策などを挙げ「有機農業は化学農薬を使わないため、栽培記録に書かれていることは少ないですが、その前に規定など膨大なルールづくりをしなければなりません。ふだん日の当たらない部分ですがそこに光を当て、有機農業のすばらしさや生産者の思いを理解してください」と期待しました。また、コア・フード商品の基準を踏まえて、監査の仕方について、具体的に説明しました。
■フィールドワークを通じて模擬監査を行いました

ビニールハウスで栽培するトマト |
その後、参加者は4グループに分かれてフィールドワークを行いました。模擬監査として視察したのは、トマト、小松菜の2ほ場と、商品を包装するパックセンター、たい肥センターの4カ所です。受講者はオーガニック検査員のアドバイスを参考に、生産者に質問しました。
受講生代表による発表では「農薬も使わず雑草がない美しいほ場を維持しており、苦労が感じられました」「ほ場に棒を刺すと、するすると1m以上埋まるほど、フカフカの土でした。長年の土作りの成果を、実感をともなって理解できました」などの感想や所見が寄せられました。
オーガニック検査員からも「自分のところで堆肥を作り、これだけ土づくりがされているほ場は、全国を見渡してもあまりありません」「生産者の意欲を感じることができるほ場でした」など高く評価し、「受講生の発表もしっかりしてびっくりしました。生産者と消費者が近づく講習となったのではないでしょうか」と所見について述べました。
所見を受けた生産者からは「有機農業に関心を持っている組合員がこんなにいることが分かり、励みになりました」「ふだん気づかない点を再認識し、農業の原点に戻れたような気がします」などの感想がありました。
<参考>
パルシステムの公開確認会

パックセンターでは別の規格品と混ざらないよう管理されていました |

たい肥は発酵熱で80度にもなるそうです |

ほ場に棒を刺すと1m以上するすると入りました |
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