■大流行時に発生するに事業継続上の問題を洗い出す 新型インフルエンザの国内の感染者数は、7月17日現在、3,638人となっており、依然として増え続けています(厚生労働省確認分)。パルシステムでは、新型インフルエンザの流行に対応して対策本部を設け、感染予防、感染拡大の防止、組合員のみなさんへの情報提供などに取り組んできました。
生活協同組合は、生活に不可欠な食料品や生活必需品などをお届けしています。このため、「社会機能の維持に関わる事業者」にあたり、新型インフルエンザの流行時にあたっても、事業を継続していくことが求められています。
今回の訓練は、新型インフルエンザ大流行時に、生協が地域のみなさんや職員の健康を守りつつ、事業を継続していくことをめざし、事業継続に関わる問題点の洗い出し(影響分析)を目的として開催されました。
■BCPの実効性の向上させる重要性

BCP策定上の留意事項について説明した講師の伊藤繁氏 |
前半は伊藤繁氏(株式会社野村総合研究所)を講師に、「新型インフルエンザに備えた生協BCP(事業継続計画)のあり方」をテーマに講演を行いました。
「新型インフルエンザの脅威は、感染経験が無いため、免疫が備わっていないので、多くの人が罹患しやすい点にあります。ウィルスの種別により危険度は異なりますが、特にH5N1型ウィルスは強毒性と想定されています。」
大流行が起きた場合、特に人に依存する業種(第一次産業、輸送、小売、保守業務など)の社会機能が著しく低下します。職員の安全を図りつつ、かつ出勤率が通常の状態を保てなくなった場合でも、できるかぎり事業を維持継続するためには、事前のBCP(事業継続計画)が重要になります。
「今回の新型インフルエンザは弱毒性でしたので、強毒性だけを想定したBCPを手順どおりに対応しても、若干過剰となる場合がありました。この経験を活かして見直し、調整を行い、さらにBCPの実効性を向上させなければなりません」と、伊藤氏は実施結果に基づく見直しの重要性を強調しました。
■演習でさまざまな問題を直視
後半は、職種別に12のグループ(経営層、人事、間接部門、商品、基幹物流、生活物流など)に分かれ、付与された条件化(職員が30%欠勤した場合)で発生すると思われる影響を抽出するBIA(影響度分析)演習を行いました。
大流行時(パンデミック)に平時レベルの業務ができなくなり、その状態が中長期に続いて、業務を縮小したり休止したりしてしまうまでのケースを想定して、活発に意見が交わされました。
最後にグループ別の代表報告が行われ、自らの業務に照らした視点で、実態に即して想定されるさまざまな影響が発表されました。
パルシステムでは、今回の演習で出された影響分析を、秋に向けて立案を進めていくBCP(事業継続計画)に反映させていく予定です。

職種別の班に分かれて演習を行いました |

活発な意見交換で多くの問題が浮かび上がりました |

職種ごとに分析結果を発表 |
|