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掲載日:2009年7月9日

「食」と自然環境とのつながりを理解する
フード・マイレージ学習会を開催しました
パルシステム連合会は6月26日(金)、茗荷谷本部にて農林水産省の中田哲也氏を招き、フード・マイレージ拡大学習会を開催しました。学習会の第2部では、「フード・マイレージ・プロジェクト」についての報告と「パルシステム フード・マイレージキャンペーン」の説明を行いました。

■フード・マイレージとは

あいさつをする若森パルシステム連合会理事長

 フード・マイレージとは、英国の消費者運動家ティム・ラングが1994年から提唱している概念("Food Miles")で、「生産地から食卓までの距離が短い食料を食べた方が輸送に伴う環境への負荷が少ないであろうという仮説を前提として考え出されたもの」(農林水産省)で、「食品の重量×輸送距離」で表現されます。生産地と消費地が遠くなると輸送にかかわるエネルギーがより多く必要になり、地球環境に大きな負荷をかけることになりますので、フード・マイレージは、できるだけ小さい方が「環境負荷が少ない」ことになります。「食料品は地産地消(生産地と消費地が近いこと)が望ましい」という考え方に基づいています。

 農林水産省農林水産政策研究所による2001年のフード・マイレージ試算では、日本が約9,002億t・km(トンキロメートル)であるのに対し、韓国は3,172億t・km、アメリカは2,958億t・kmでした。日本は他国に比べるとフード・マイレージが大きく、環境に負担を与えているということになります。

 学習会のはじめに、パルシステム連合会新農業委員会の齋藤文子委員長(パルシステム神奈川ゆめコープ理事長)から、「私たちが食料をどう選択し、どう食べるか。それを一人ひとりが考えることが大切です。フード・マイレージは環境問題の側面もありますが、食料自給率の問題にもつながります」とあいさつがありました。つづいてパルシステム連合会・若森資朗理事長が、「パルシステム連合会は、大地を守る会、生活クラブ連合会、グリーンコープ連合と共同して、消費者を巻き込んだフード・マイレージ運動を進めていきます。環境的な側面だけではなく、地産地消の視点から食の消費の問題として取り組みます」と、今後の取り組み方についての報告を含めあいさつをしました。



■日本の食と農の今

講師の中田哲也氏

 学習会の第1部は、「私たちの食とフード・マイレージ」と題し、中田哲也氏(農林水産省北陸農政局企画調整室長)が講演を行いました。

 「日本人ほど食生活を大きく変化させた国民はいません。畜産物と油脂類が増えて洋風化し、逆に米の消費量が減少しました。食の外部化、簡便化が原因であり、その結果、栄養バランスの崩れや食料自給率の低下を招いてしまいました」

 食料需給のバランスを決める要因のうち、近年、大きな影響を与えているものとして、需要面では「バイオ燃料向け等農産物の需要増加」「中国等の急激な経済発展」、供給面では「砂漠化の進行、水資源の制約」「家畜伝染病の発生」と、従来の要因に加えて投機的要素、経済成長バランスの変化、気象の変化などがあがっています。また、世界の飢餓状況は、「約10億人が栄養不足」(国連世界食糧計画・2002年ワールドハンガーマップ)にあります。世界的な食糧需給の変化の激しさや食料不足が進む中、「日本は6割の食料を海外から買っていることになり、まさに食の自立性が問われています。一方で、日本の食品廃棄物発生量は、2004年度で約1,900万トンという、大きな矛盾を抱えた状態です」と、中田氏は現状の厳しい認識を示しました。

 中田氏は、さらに日本の農業が直面する問題について言及し、農業所得(純生産)の減少、基幹的農業従事者の年齢構成高齢化、農地面積の減・耕作放棄地の増などを資料に挙げました。「こうした問題が、農地や灌漑用水の海外依存、輸送部門のCO2排出量増など、地球の資源・環境への負荷につながる」とし、日本の農政改革の必要性と「3つの再生」について述べました。

<3つの再生>

  1. 農業の産業としての持続力の再生・・・経営意欲を持った担い手の参入、生産性向上、有効な土地利用、農業による所得確保 等
  2. 安定的な食料供給力の再生・・・食料供給力の向上、生産の持続性の維持 等
  3. 農村の活力の再生・・・所得機会・就業機会の確保、環境保全、地域コミュニティの維持 等

■食・農・環境とフード・マイレージ

新農業委員会はじめ多数の参加者が見られた

 「伝統野菜の普及が輸送に伴う環境負荷提言に及ぼす効果を、3つのケースをフード・マイレージ等の計測で試算してみました」と、中田氏は、野菜を多く材料に使用した「和食メニュー」をモデルとして、(1)地元産食材を使った場合(地産地消)、(2)市場で国産食材を調達(国産のみ)、(3)市場で輸入野菜も含め調達(輸入品を含む)の3ケースのフード・マイレージとCO2排出量の比較を行った結果を報告しました。

 「できあがったメニューでは、それぞれ見た目は同じです。しかし、比較すると輸入品がフード・マイレージも、輸送に伴うCO2排出量も、数字は桁違いに大きくなります」と、フード・マイレージを指標とすることで環境負荷の違いが明確になることが述べられました。

 中田氏は、「フード・マイレージという指標は、輸送機関による環境負荷の違いや、生産・加工・消費・廃棄面での環境負荷が考慮されないという限界がある一方で、概念や計算方法が分かりやすいというメリットがあります」と述べ、「地産地消といった具体的な取り組みを行っている生協等の活動は先駆的です」と評価しました。

 「重要なのは、自分の食生活が自然環境につながっていると消費者が意識すること。フード・マイレージが気づきのきっかけになってもらいたい。私たちにできることは、輸送の問題を意識して、地産地消・旬産旬消を心がけ、なるべく食べ残しをしない日本型食生活を実践することです」と、中田氏は生協と組合員への期待を述べて、講演を終えました。


■パルシステム フード・マイレージキャンペーン

 第2部では、パルシステム連合会・山本伸司常務執行役員より、大地を守る会・パルシステム連合会・生活クラブ連合会・グリーンコープ連合の4団体で結成した「フード・マイレージ・プロジェクト」の報告と取り組みの概要説明が行われました。また、パルシステムが取り組みを予定している「フード・マイレージキャンペーン」の企画内容の説明が行われました。キャンペーンは、「食料自給率向上を目指し、環境保全に貢献するためにも国内農業を守り発展させる」ことを目的として取り組まれます。2009年9月から具体的に組合員に向けての呼びかけか開始されることが、報告されました。





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