「バングラデシュ 有機農業センター開設・運営プロジェクト」は、パルシステムが、特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド(HFW)とともに取り組んでいます。バングラデシュ西部ジナイダ県カリガンジ郡に、13ヵ村1万6000人を対象とした有機農業センターを建設し、環境にやさしい持続可能な農業を推進するプロジェクトです。
組合員のみなさまへは、パルシステムの利用によって加算されたポイントによるカンパを呼びかけています。お預かりしたカンパは、有機農業センター開設と有機農業の普及、土地や作物、農家の人たちを元気にすること、また種など生産にかかる費用を減らし、農家の生活を助けるために役立てていきます。
ハンガー・フリー・ワールドより、バングラデシュ現地の近況報告が届きましたので、報告させていただきます。
バングラデシュ 有機農業センター 活動報告書(2009年5月15日)
世界第3位の栄養不足人口を抱えるバングラデシュ。ハンガー・フリー・ワールド(HFW)は、バングラデシュ西部ジナイダ県カリガンジ郡に、13ヵ村1万6000名を対象とした有機農業センターを建設し、環境にやさしい持続可能な農業を推進します。
■進捗状況
1.有機農業センター用地計画は、専門家による最終調整が行われています
2〜3月は、711坪の土地を新たに購入することができました。難航している土地の確保ですが、これで必要な土地の約3分の2を調達することができ、地元ジナイダ県政府の土木専門家とセンターの用地計画の調整に入りました。HFWと専門家は、センター建設予定地のムンディア村で実地調査を行い、専門家は、1月に地元住民とともに作成した計画案に修正を加えた用地計画案を作成。その修正案についてHFWと専門家で再び話し合いをし、現在、話し合いを反映した形での最終案が検討されています。4月末には、有機農業センターの建設計画が完成する予定です。
有機農業センター用地計画(案)
地元農家のアドバイスを参考に、穀物、野菜の作付け場所が決められました。また、牛舎の側に堆肥プラントが配置されており、牛糞が利用しやすくなっています。センター建物近くには牛糞を利用したバイオガスプラントを配置。ガス発生後の牛糞が、堆肥として畑に活用されるようにも工夫されています。
計画案上部の池は、貯水池になると同時に養魚池となる予定です。川や沼が多いバングラデシュ。魚は貴重なタンパク源です。バングラデシュの人々は魚が大好き。カレーにして食べています。
2.成功のカギを握る住民参加
2009年2月4日、有機農業センター事業に関する住民たちの話し合いが開催されました。20名が参加した会議では、住民による農業協同組合の結成や建設用地の購入について話し合われました。そして、有機農業センター事業の成功には、農業協同組合の結成がとても重要だという認識が共有されました。また、農業協同組合のメンバーを募るためには、まず1.有機農業の利点についてセミナーや会合を頻繁に実施すること、2.有機農業訓練への参加者数を増やすこと、が必要だと提案されました。

ムンディア村のWEH会合 |

お米は、カップで量ります |
(注)メンバーが週1回ひと掴みのお米を持ち寄り、貯め、その後、くじ引きで順番を決めてメンバーが平等にお米をもらったり、換金してグループの貯金として運用します。メンバーは楽しみながら貯蓄について学ぶことができ、会合への出席率も高まります。
3.多くの住民が有機堆肥づくりなどの技術訓練に参加しました
住民たちは、有機農業へ挑戦することで自分たちの生活をよくしたいとの思いから、有機農業センターの建設に期待を寄せています。これまでは、「有機農業のよさ」を伝えることが中心だったセミナーも、住民の理解が深まるにつれて、有機堆肥のつくり方や害虫駆除の方法など実践的な技術訓練に重点が置かれるようになりました。2〜3月は、ボカシ※づくりの研修(参加者30名)、農薬を使わない害虫駆除の方法(参加者26名)といった技術訓練を実施しました。
住民の声:モナ・ミアさん(ムンディア村)
ボカシづくりの研修に参加できてよかったです。これまでは、化学肥料を使わなかったら生産量が落ちるのではないかと心配があり、実際に有機農業を行っている人から、本当のところが聞きたいと思っていました。今回の研修では、有機農業で成功している人から、具体的な肥料のつくり方や成功談を聞くことができ、安心しました。私もぜひ、有機農業に挑戦してみようと思います。
※ボカシとは、有機質を微生物によって発酵させた有機肥料です。語源は日本語ですが、いまや国際的な農業用語になっており、バングラデシュでも「ボカシ」と呼ばれます。
その他
- 土地の購入(711坪)
- 職員による訪問 週1回
- ミミズ堆肥プラント20基の設置を支援
- WEHの会合を週1回開催
■今後の予定
- 有機農業センター建設計画を最終決定
- セメントと鉄線で囲いを設置
- 建設用地の追加購入
- 農業協同組合設立に向けて住民と協議