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掲載日:2009年4月17日

成立目前の消費者庁設置関連法案を学ぶ
「消費者庁設置関連3法案の学習会」を開催しました
パルシステム連合会は4月14日(火)、東京・文京区のパルシステム連合会新大塚事務所にて「消費者庁設置関連3法案の学習会」を開催しました。「衆議院消費者問題に関する特別委員会」で与野党の修正協議が続いていた同法案と、対案である民主党の「消費者権利院」法案の主旨を学び、意見交換しました。

熱心な意見交換がなされました

■成立目前といわれている消費者庁設置関連法案

 消費者行政の一元化を目的とした消費者庁設置関連3法案は、衆議院「消費者問題に関する特別委員会(以下、特別委員会)」で、「消費者庁」として内閣府に設置する政府案と、内閣の外に「消費者権利院」を新設する民主党案について、与野党による修正協議を続け、4月16日(木)に合意に達し、「修正法案」が特別委員会を全会一致で通過しました。

 パルシステムグループはこれまでも、全国消費者団体連絡会や、消費者が主役となる消費者行政の実現を求める「消費者主役の新行政組織実現全国会議」(略称:ユニカねっと)へ参加し、学習会の開催、街宣・要請行動などの活動をしてきました。

 学習会は、東京・文京区のパルシステム連合会新大塚事務所にてパルシステム連合会の役職員など50名が参加して行われました。一橋大学法学研究科の松本恒雄教授を招いて、政府と民主党の両法案の骨格の相違、両法案の修正・強化すべき点などを講演いただき、質疑応答を通じて今後の課題を学びました。新消費者行政組織が骨抜きの機関設置にならないよう、政府法案と民主党案の主旨を正しく理解し、消費者団体として今後どのように消費者運動を強化していくべきか、広く意見交換していくことを目的とした開催です。


■産業保護の付随だったこれまでの消費者行政

講演する松本教授

 学習会に先立ちあいさつしたパルシステム連合会若森資朗理事長は「私たちが求め続けていた消費者行政一元化の実現が、一気に近づいてきました。しかし、現在提出されている両法案および論議されている修正案は、完全な形ではありません。さらによい法案とするためにも問題点を知り、次のステップへ結び付けていきましょう」と参加者に呼びかけました。

 講演した松本教授は、消費者行政の歴史としくみから、政府、民主党両案の内容、法案成立後の社会のあり方と生協に期待する役割まで、多岐にわたる内容を語りました。まず、これまでの消費者行政について「行政機関は産業保護を目的としており、消費者保護は産業保護に付随したものでした。公正取引委員会についても消費者の安全確保を目的とした機関ではなく、『ヨコ割り』的規制が必要な消費者行政は弱かったと言わざるを得ません」と指摘。2008年1月に当時の福田康夫首相が、施政方針演説で消費者行政の一元化について触れたことについて「政治のトップが消費者行政の一元化に着手した意義は大きいものです」と評価しました。

 次に消費者行政を(1)各種規制による「規制行政」(2)地方の消費生活センターなどが担っている「支援行政」(3)リスクコミュニケーションを支援する「協働行政」(4)消費者被害の救済に行政が直接関与する「救済行政」――の4タイプ別に分類し「従来の行政は、国による『規制行政』と地方自治体の『支援行政』が中心で、消費者被害にあった際に業者からの返金などを求めることができる『救済行政』については、日本にほとんどありません」と指摘しました。


■社会的な価値行動を評価できる消費者社会へ

 これらを踏まえて松本教授は、政府、民主党の両案を説明しました。政府案は政策立案と規制の一元化、情報の一元化、相談窓口の一元化を「3つの柱」として、「規制行政と支援行政が主となっています。基本的方向性は支持できますが、消費者庁設置後の運用状況のチェック体制、地方への財政支援などについて課題が残ります」と改善すべき点を示しました。その上で、民主党「消費者権利院」法案の行政監視機能の考え方や地方への財政支援、「救済行政」の検討などを政府案に取り込むことにより「政府案の課題を解決できるでしょう」話しました。「政府、民主党両案とも、基本的な方向性は同じです。「消費者庁」が設立され、早急に広い視野に立つ検討を継続する必要があります」としました。

 最後に、今後の消費者社会のあり方や消費者教育へと話題を移し「賢い消費者とは、商品の価格や品質を評価できる『だまされない消費者』だけではいけません。環境問題などにも取り組む企業姿勢を評価し、社会的な価値行動を意識する消費者であるべきです」と問題を提起しました。こうした消費のあり方について「最近、欧州では『participatory consumption』(参加型消費)という言葉が使われ始めています。社会的責任を果たしている企業を評価し、その活動にこたえることが『消費者の社会的責任』といえるのではないでしょうか。生協は、事業者性と消費者性を併せ持つ、日本特有の組織です。平成20年度版国民生活白書で提案されている『消費者市民社会』の実現のため、大いに役割が発揮できる組織だと考えます」と生協に期待しました。


■消費者目線の消費者行政 今こそ生協の出番

 その後、質疑応答では「消費者庁は有効に機能するのでしょうか」「2008年のギョーザ事件が発生したときに消費者庁があった場合、どのように機能したのでしょうか」などの質問があり、松本教授は「どのような消費者庁になるかは、今後の動向にかかっています。少しでも有効に機能するよう、消費者団体として監視し、働きかけていくべきでしょう」など回答しました。

 最後のまとめとして「消費者庁」設立対応チームの平野都代子パルシステム千葉理事長(パルシステム連合会理事)は「新消費者行政組織は設置して終わりではありません。その運用を監視し、消費者目線の消費者行政にするためには、私たち消費者団体が主体性をもって自らの運動を強化することが不可欠です。日本で最大の消費者団体でもある生協は、今こそ出番だと考えています。活動を通してよりよい社会づくりを実現しましょう」と参加者へ呼びかけました。

※学習会開催の同日、「衆議院消費者問題に関する特別委員会」の理事懇談会で、与野党の修正協議が合意に達し、4月17日(金)には衆議院本会議で可決される見通しです。その後、参議院での議論を経て、修正協議された消費者庁関連3法案は成立し、年内の消費者庁発足が予想されます。




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