「スリランカ森林再生プロジェクト」は、パルシステムが、世界各国で活動している国際NGOプラン・ジャパンと提携し、パルシステム独自の国際支援活動としてスリランカで環境教育・森林再生を目指して取り組んでいるプロジェクトです。3年計画で2008年から始めたこの取り組みも、今年で2年目を迎えました。
「スリランカ森林再生プロジェクトの活動支援カンパ」には、これまでに組合員のみなさんから4回のポイント交換で、合計443万円のカンパが寄せられました。ご協力ありがとうございました。
お預かりしたカンパは、三ヵ年の計画の中で、スリランカ北中部州アヌラダープラ地域の人々の環境への意識向上や農業技術の導入、世帯収入の向上などに役立てています。
4月2回にも、組合員のみなさまが商品の購入などでためたポイントを振り替えていただく「ご利用ポイント交換」の方法で、「スリランカ森林再生プロジェクト」の活動支援カンパに取り組みます。
詳しくは、4月2回『パルシステム ポイントカタログ』(配布:3月23〜27日 お申込受付:4月6日〜10日)の裏表紙にてご案内いたします。
同回の注文用紙、オンラインパルサービス、コープ電話注文センターにてお申し込みいただけます。
【お申し込み企画回】
スリランカにおける森林再生プロジェクト 進捗ご報告書(2009年3月)
1月上旬に貯水地帯での植林活動が完了し、モデル学校のモデル庭園造りも順調に進んでいます。1月から2月のスリランカは、乾季のため気温が32〜35℃と高く、水不足が心配されます。このため、農家での苗木の維持管理がもっとも難しい時期になります。
プロジェクトでは、新たな活動として子どもたちによる絵画コンクールと視察活動、薬草園の準備を行いました。
絵画コンクールの実施
パラナ・ハルミレワ、マハディウルウェワ、アグノチヤの3つの学校で、「生態系保全の重要性」をテーマに絵画コンクールを行いました。3校から選ばれた100人の生徒たちは、現在の貯水地帯の状況、森林伐採による環境への影響、分水地点総合管理の重要性などについて説明を受けた後、テーマをもとにそれぞれが自分の考えを絵にしました。

絵画コンクール。それぞれが生態系保全への思いを絵で表現しました。アグノチヤ小学校にて |

子どもたちの作品。どれも個性豊かな絵です |

マハディウルウェワ学校の1位入賞作品 |
子どもたちによる視察活動
生物多様性保全への理解を深めるため、子どもたちを対象とした視察活動を行いました。子どもたちは、野生生物保護局が管理しているリティガラ自然保護公園を訪問。この公園には、生物多様性保全について学習できる博物館や合宿所があります。子どもたちは、保護地区の大切さやリティガラ自然保護公園が分水地として果たしている役割、また古くから保護されてきたリティガラ保護地区の価値について学びました。
また、子どもたちは、スリランカ野生生物保護基金が管理するランデニガラ森林センターも訪問し、生態学、スリランカの動植物と固有種、ごみの管理だけでなく、環境保護の推進役として必要なリーダーシップについても学びました。視察活動を通じて、子どもたちはさらに積極的にプロジェクトに参加する意欲を見せています。

リティガラ自然保護公園の博物館を訪れた子どもたち。みんな熱心に説明を読んでいました |

リティガラ自然保護公園内の森の中を歩き、生物多様性の大切さを学ぶことができました |

スリランカ自然環境保護基金が管理しているランデニガラ森林センターでの研修後、子どもたちに修了証書が手渡されました |
薬草園の準備
マハディウルウェワにある幼稚園に、薬草栽培用の土地が用意されました。土地の区分け、整地、薬草とフェンス用材料の調達など、薬草を植えつける準備は整いました。しかし、現在乾季で乾燥しており、薬草を育てることが難しいため、植え付けまでにはもう少し時間が必要です。
指導者研修
プロジェクトを一緒に進めているパートナー団体職員の、指導者としての自信とスキルを深めることを目的に、指導者研修を行うことが決まりました。この研修には、農業振興局、野生生物保護局、森林保護局、地区事務所の職員も参加する予定です。
活発な子どもクラブの活動
設立された7つの子どもクラブは、週1回の定例活動に加え、2月4日の独立記念日には、学校での記念の植樹など、各クラブが特別活動を行いました。
モデル学校のモデル庭園造り
エタカダ、マハディウルウェワ、パラナ・ハルミレワの3つのモデル学校では、引き続きモデル庭園造りを行っています。
森林農業活動
選定された70の農家に対し、家庭菜園用の種を配布しました。農家では、乾季のため苗木の維持管理がとても大変です。
現地からの声
「私はヌヴァンティカ、15歳です。マハディウルウェワ学校10年生で、“ピペナ・ケクル”という子どもクラブのメンバーです。子どもクラブのみんなと一緒に、視察活動のためリティガラ公園に行きました。視察の目的は、生物の多様性について学ぶこと。スリランカ固有の動植物、森と灌漑用貯水池がどのように関係しているかなどをもっと知りたくなりました。公園の森の中を登って進んでいくと、さまざまな気候があることを知り、森の重要性を理解しました。生物多様性を守っていくのは、私たちの義務だと感じています。だから、これからは自分たちの貯水池を適切に管理していきたいです。支援してくださったパルシステム様に感謝します。」
「マハディウルウェワ学校9年生のラクシャンといいます。世界の水の日に、僕の学校で絵画コンクールが行われました。テーマは、“貯水池の環境とその保護の重要性”でした。満足がいく絵を描くことができ、僕の絵は1位に入賞しました。絵で描きたかったことは、貯水池を保護することの重要性と貯水池から受け取る利益についてです。貯水池があることで、農業や釣りもできます。プロジェクトを通じて、僕たちはより多くの知識を得、能力を高めることができます。」
「私はカミラ・クムド・クマリです。パラナ・ハルミレワの貯水池の近くに住んでいて、森林農業活動に参加しています。支給された苗木の他に、自分たちで60本の苗木を用意して、植え付けを行う予定です。私の住む貯水池地域では、土壌荒廃が激しく、貯水池の水量減少は深刻でした。この状況が進むとどういう問題が引き起こされるか、トレーニングに参加して学ぶことができました。」
「サランガ・ジャイシンヘです。貯水池の近くに住んでいます。プランの意識啓発トレーニングに参加して初めて、土壌浸食と貯水池が沈泥でふさがってしまうことが農業にとって深刻な問題だということを知りました。土壌浸食を防ぐために土手を作り、様々な種類の木の苗木を植えました。」

子どもクラブの子どもたち |
「私は、サクンタラ・ディラニ・セナラスナ。カダワス・ランベワ コミュニティの子どもクラブの副書記をしています。以前は、子どもクラブはありませんでしたが、今回のプロジェクトで子どもクラブを設立しました。スピーチコンテスト、クイズ大会、討論会、地域の視察などいろいろな活動を通して、森林再生や分水地点管理について楽しく学ぶことができました。」
もっと知りたいスリランカ(4)「スリランカの学校」
スリランカの教育は、基礎教育(小学校5年、中学校6年)、高等教育(高校、大学)からなります。義務教育は、日本と同じ小中学校。公立学校は小学校から大学まで学費は無料です。
小学校の就学率は、97%と高くなっていますが、農村部の貧しい家庭では、畑仕事や家畜の世話、家の手伝いなどで、学校に行けない子どもも多くいます。小中学校は3学期制。1学期は1月〜4月、2学期は5月〜8月、3学期は9月〜12月です。
義務教育終了後、高校に進学するためには試験を受けなければなりませんが、合格率は受験生の30〜40%にとどまっています。大学への進学は厳しく、その進学率はわずか2%です。

小中学校の子どもたち |
【写真提供:プラン・ジャパン】