■日本の食の知恵、食文化のゆたかさを伝える「作り梅干し品評会」

会場のジョイファーム小田原には13家族が集まりました |
パルシステムでは、2008年度から「100万人の食づくり」運動を展開しています。
また、「いのちの源である食を大切にして、自ら生きる力を高めること」を食育と考え、手間と時間をかけて「食」を自分の手で作り出すことのよろこびや、季節を楽しむ保存食など、日本の食の知恵、食文化のゆたかさを伝えていきたいと考えています。
毎年6月には、商品カタログやホームページで、「手作り梅干し」を生協組合員に提案しています。
2007年からは、組合員が手作りした梅干しの応募を呼びかけ、パルシステムの梅の生産者や職員により優秀作を選ぶ「手作り梅干し品評会」を開催しています。
■審査員は、産直産地の梅の生産者や過去の大賞受賞者

審査は梅干しの思い出など聞きながらにぎやかに行われました |
今年で3回目となる「手作り梅干し品評会」は、2月22日、梅の産直産地、ジョイファーム小田原にて行いました。当日は、今年、寄せられた手作り梅干し71点の中から、1月15日にパルシステム連合会本部(東京・文京区)で行われた1次審査(※)を通過した組合員とその家族13組を会場にお招きしました。
審査員には、会場となったジョイファーム小田原の生産者の他、梅や柿の産地としておなじみの大紀コープファーム(奈良県)の生産者、パルシステム神奈川ゆめコープの齋藤文子理事長、第1回、第2回と続けて大賞を受賞したパルシステム神奈川ゆめコープ組合員の杉山京子さんも加わりました。
審査に先立ち、審査委員長のジョイファーム小田原の長谷川功代表が「1次審査の時も、みなさんが作った梅干しのひと粒ひと粒に、こめられた家族や食べる人への想いをひしひしと感じました。
今日は、梅干しを通しての交流や梅まつりなど『梅づくし』の1日を過ごし、帰ったら梅干し作りのすばらしさを周りのみなさんにも伝えてください」とあいさつしました。
■梅干し作りのエピソードをで、交流しながらの審査
審査は、審査員が入賞者の梅干しを順々に試食しながら、梅干し作りのエピソードなどを聞いていく形で行われました。
「孫たちが30年後、大人になった時に“おばあちゃんが作ってくれた梅干しの味”を思い出してくれるよう梅作りに取り組んでいます」「夫も子どもも手伝ってくれています。家族で一緒に作ることで梅干し作りの素晴らしさを子どもや孫にも伝えられたらいいと思っています」など、それぞれの梅干しへの思いを語りあいながらの、にぎやかな審査となりました。

ほ場見学ではジョイファーム小田原の穂坂さん(右端)が説明 |
■梅ほ場見学や梅祭りも楽しみました
審査員による最終審議の間、参加者はジョイファーム小田原の梅ほ場と、近くにある曽我梅林で行われていた梅まつりを見学し、梅林散策や獅子舞鑑賞を楽しみました。梅ほ場では、参加者が生産者に梅の木の育て方を聞き、ジョイファーム小田原の生産者が「果樹は春と秋の彼岸に肥料を与えれば、間違いないといわれます」と答えるなど、梅をめぐって交流を深めました。
■感動の審査結果の発表と表彰式
その後、審査結果の発表と表彰式が行われました。発表に先立ち、副審査員長の齋藤理事長は「どの梅干も素晴らしく、選考は大変、難航しました。品評会は、ランク付けではありません。買えば、食べられる梅干しを手作りすることの意味、自ら食を手作りすることを楽しむくらしの素晴らしさを、地域の人たちに伝える『梅大使』の役割を果たしてください」と総評しました。
■応募の動機は「審査員の梅生産者に会うため」
大賞に輝いた、パルシステム千葉の斉藤美千枝さんは「商品カタログで、この「品評会」の記事を読んで、長谷川さんはじめ生産者のみなさんにお会いしてみたいと思い、今回初めて応募しました。大賞に選ばれてとてもうれしいです」と喜びを語ってくれました。
また、優秀賞は、ドゥコープの鈴木明子さん、パルシステム神奈川ゆめコープの坂元真理子さんが受賞しました。
鈴木さんは「昨年も参加した際の梅干を今もとってあり、大切に飾っています。来年もぜひ参加したいです」、坂元さんは「軽い気持ちで応募したのですが、この品評会で、みなさんの梅干し作りへの情熱が伝わり、私も胸が熱くなってきました」と話していました。

大賞の斉藤さん(パルシステム千葉) |

赤梅干し部門優秀賞の鈴木さん(ドゥコープ) |

白梅干し部門優秀賞の坂元さん夫妻(パルシステム神奈川ゆめコープ) |
■大地と食べる人、生産者と組合員のつながりを大切に
審査員を務めた杉山さんは「第1回、第2回と大賞をいただき、品評会でみなさんと語り合うことができたことで、自分の梅干し作りが日の目を見ることができ、小さな幸せが大きな幸せになりました。みなさんも梅干し作りの喜びを広げる伝承者になってください」とエールを送りました。
また、梅の産直産地である大紀コープファーム和田尚久さんは「組合員の梅干し作りへの熱い思いを知って、生産者として梅作りへの気持ちを新たにしました」、審査委員長の長谷川さんは「この品評会は、梅を出荷しておしまいではなく、それがどんな梅干しになりみなさんに食べていただいているのかが分かる貴重な機会です。私たちが育てた梅の木に実がなり、みなさんが梅干しを作るというプロセスの中で、梅が土からできて、食に結びつくこと、その一連の過程が大切だと思います。みなさんの梅干しのレベルの高さに驚きました。みなさんそれぞれ、自分の梅が日本一だと思ってください。」と語りました。
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