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掲載日:2008年12月26日

安井至氏講演会「環境、エネルギー、資源、食料問題の包括的解決に向けて」を開催しました
パルシステムは12月20日(土)、東京都文京区のパルシステム連合会新大塚分室にて、国連大学名誉副学長で東京大学名誉教授の安井至氏を招き、環境、エネルギー、資源、食料の各問題について、その解決策を探る講演会を開催しました。

 環境、エネルギー、食料、資源問題の現状は、早急に解決の方向を見出さなければ人類存亡の危機を招来しかねません。これら4つの問題はリンケージしており、包括的な処方箋(せん)が必要とされています。充分な解決策は、主として営利企業が営む産業活動ではなく、生活者の観点からしか出てきません。そこでパルシステムでは2008年最後の講演会として、パルシステム環境監査委員長を務め、独立行政法人科学技術振興機構の研究開発戦略センター上席フェローでもある安井至氏を招きました。


■国際情勢から生活のあり方まで幅広いテーマ

74名の役職員が参加しました

 講演会は、パルシステムグループの役職員74名が参加して行われました。安井氏の講演に先立ち唐笠一雄専務は「10月に発生した金融危機以降、消費マインドは萎縮しています。しかし生協は同じように萎縮するのではなく、くらしを変える共同購入運動を力を合わせて取り組む必要があるのではないでしょうか。講演を通じて、意思をもって何をすべきなのかを考え、今後の活動に結び付けていきたいと思います」とあいさつしました。

 「環境、エネルギー、資源、食料問題の包括的解決に向けて」と題された講演は、地球環境をめぐる国際情勢から日本の産業の方向性、さらにそれらを踏まえた生活のあり方まで幅広い分野におよびました。


■先進国は将来CO2排出量がゼロに

講演する安井氏

 安井氏はまず、地球温暖化と各国のCO2削減について「地球の温暖化は1800年ごろから連続的に上昇しています。その原因は、太陽活動のゆらぎなど必ずしもすべてが人類の活動にあるわけではありません。ただし人類がすべきことは、それほど変わりません。今年の洞爺湖サミットで、日本はCO2排出量を長期的に半減すると発表しましたが、先日、ノルウェーは排出量ゼロを宣言しました。先進国は、おそらくその方向で足並みをそろえることになるでしょう」と推論を披露しました。

 排出量ゼロとは、技術的、社会的な変革はもちろん、発展途上国からの排出枠購入を含みます。「技術革新でエネルギー消費量を50%削減できれば、CO2排出量は70%減らせます。残りはカーボンオフセットでカバーすることで排出量ゼロを実現するのです」。また、日本人の環境問題への認識について、シロクマやツバルを想起するなどを典型に挙げ、「センチメンタルに語られやすいですが、実際の原因は温暖化だけではありません。流布された“常識”を疑い、真実をみる必要があるのではないでしょうか」と、日ごろ聞くことのない指摘を行いました。


■“セントラルヒーティング型”から“こたつ型”の社会へ

参加者からは質問が相次ぎました

 続いて、CO2排出を抑えるための技術開発や社会のあり方について論点を進めました。「1973年のオイルショックから1987年のバブル経済到来までの間、日本の1人あたりエネルギー使用量は横ばいを続けながら、1人あたりGDPを伸ばしています。また、つい数年前までの10年間ではエアコンの省エネ技術が飛躍的に向上し、エネルギー効率はおよそ倍に高まりました。しかし、近年は、エネルギー価格が下がりすぎたことや、技術水準がある程度確立されたことから、日本の電子産業は目標を失った商品開発となっています」と、日本の基幹産業が危機にあることを説明しました。

 こうした状況を踏まえ、安井氏は「さらに効率を高めるためには、文明の転換が必要となります。現在の西洋型文明をセントラルヒーティングにたとえるなら、今後の日本型はこたつ。全面サービスではなく、必要なときに必要なところへ、必要なものを提供するサービスでなければなりません」と提案しました。その象徴として自動車を取り上げ「将来的には電気自動車が主流となるでしょう。その場合、基本は夫婦2人乗り、子どもができれば連結する、さらに遠出するときはバッテリーを搭載する。エネルギー使用を減らすためには、自動車に限らず、そのようなライフスタイルが必要なのではないでしょうか」と述べました。

 講演後には、参加者との質疑応答が行われました。質問は、石油以外のエネルギー確保や排出権取引、パルシステムが取り組んでいるリユースの今後など、多く出されました。

 安井氏は、それらの質問に答えながら、食品供給の事業について触れ「日本の水資源を踏まえれば、自給率100%とするには人口が多すぎます。事業者は消費者へ、食品をすべて検査することは可能なのか、本当に中国製食品はリスクが高いのかなど、そろそろ真実を伝えるべきではないでしょうか。世間でうたわれる『よいものをより安く』ではいけません。『よいものを適正価格で』という姿勢が、求められているのです」と提言しました。




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