■産地へ行こう。ツアー

宮古島でサトウキビの収穫を体験 |
パルシステムでは、今年度「産地へ行こう。」ツアーも「100万人の食づくり」運動の一環として位置づけ、さまざまな形で24のツアーを企画しています。命を育む食の生まれ故郷を訪ねる「体験」と「発見」を通して、産地生産者と生協組合員が「顔の見える関係」で信頼と交流を深め、産地で食べ物の大切さを実感します。
■野菜の産直産地「さしばファーム」で、沖縄ならではの農業体験
12月13〜16日には、宮古島・伊良部島のパルシステムの産直産地「さしばファーム」を訪ねる「宮古でハルヤーになるツアー」を開催しました。「産地へ行こう」初企画の沖縄ツアーには、生協組合員とその家族14名が参加しました。
「宮古でハルヤーになるツアー」のハルヤーとは、宮古の言葉で農業をしている人のこと。ツアーでは、宮古島ならではの循環型農業を行い、にがうり、オクラなどを生産している「さしばファーム」で、サトウキビの収穫体験や「黒糖づくり」を体験、伊良部島では、安全で美味しい野菜の栽培に用いる「酵素づくり」にも挑戦しました。
■海や名所、宮古島観光を楽しみました
1日目、宮古島空港に着くと、初夏に逆戻りしたような気候の中、沖縄独特の真南風(まはえ)と「さしばファーム」の生産者が出迎えてくれました。
その日は、宮古島の名所を生産者に案内していただきました。
美しい海の景色を楽しみながら、東平安名崎から雪塩、大神島を望む池間大橋を通り、池間島を1周しました。
郷土料理店での夕食時には、三味線に似た沖縄の楽器、三線(さんしん)の生演奏を楽しむうち、お店にいた地元のみなさんと一緒に踊るというハプニングもあり、いつのまにか島になじんでいました。
■サトウキビの収穫と黒糖づくりを体験
2日目も、地元の方のガイドでの宮古島の史跡見学やサトウキビの収穫や黒砂糖作りも体験しました。
厳しい税金の取り立ての基準になったという、143センチの人頭税の石(琉球王朝では、1637〜1903年まで、143cmの石柱に身長が達すると納税が義務付けられる人頭税を宮古島と八重山地方に課したといわれています)、貴族が使ったという美しい石積みの湧水「大和ガー」、東洋一の地下ダムと資料館を見学し、宮古の水事情についても学びました。
そして、いよいよサトウキビ収穫体験です。
サトウキビには、窒素を吸収する性質があり、輪作をする際などに入れれば、畑の余分な窒素分を減らすなど有機農業、資源循環型農業に重要な役割を果たすそうです。
汗を流しながらのサトウキビの収穫も、みんなで夢中になって行ううちに、あっけなく終わってしまいました。
そして、沖縄名産の黒糖(黒砂糖)づくりも体験をしました。黒糖は、収穫したサトウキビを機械で搾汁し、煮詰めて作りました。
交流会では、生産者のみなさんの手づくりおやつや地元の野草のお料理をいただきながら、全員の自己紹介を行いました。その日の夕食交流会でも三線での民謡演奏で皆で踊り、おおいに盛り上がりました。
■生産者の農業への情熱と探究心を実感した「ほ場見学」

栽培の際、葉面に散布する
酵素づくりにも挑戦 |
3日目は、フェリーで伊良部島に渡りました。
生産者の方から、農薬に頼らない農法を実践している「さしばファーム」が野菜栽培の際、味や色艶をよくするために用いている自家製の酵素と海水で作る沖縄特産の「島豆腐」づくりを教えて頂きました。
昼食交流会では、間引きした「かぼちゃ」の漬物、生産者の方が夜明け前に海に入り取ってきてくださった「なまこ」などの珍味をいただきました。
午後は、「かぼちゃ」のほ場を見学しました。風除けなど、さまざまな工夫がされ、風の強い伊良部島での農業のご苦労を垣間見る思いでした。
さしばファーム代表の下地幸清さんから、開花時期やツルが伸びる時期、地面から何メートルのところに花をつけた「かぼちゃ」がいいか、など栽培に関するお話を伺い、下地さんの「かぼちゃづくり」への情熱と探究心に参加者はみな驚いていました。
■貴重な「かぼちゃ」の交配体験
最終日の4日目には、生産者から「かぼちゃ」の交配方法を教えていただき、実際に体験しました。「かぼちゃ」は、一本の蔓から一つの実だけを収穫するとのことで、「ちゃんと実がなるのかな?」と一抹の不安を感じつつも、貴重な体験となりました。
また生産者が、偶然2日前に見つけたという突然変異の「かぼちゃ」のツルの形に「未来のかぼちゃの姿を垣間見た」と嬉しそうに語る姿に、農業の喜びと奥深さを感じました。
その後は、地元のガイドさんに「通り池」など、伊良部島の観光名所を案内していただきました。
■“自分の目で見て体験する”ことの素晴らしさ

伊良部島の「かぼちゃ」ほ場にて |
多くの生産者と出会い、沖縄の厳しい農業環境について学び、地元のみなさんにも歓迎していただきました。出会いと“自分の目で見て体験する”ことの素晴らしさを実感できた「産地へ行こうツアー」となりました。
参加者からは「都会から遠い離島にも、私達の命の糧を一生懸命作ってくださっている人達がいることに感謝の念を感じました」「さしばファーム代表の下地さんや生産者のあくなき探求心に、農業の奥深さ、自然相手の大変さ、土に生きる人達の喜びと誇りを感じました」「ふだん、何気なく食べている野菜も、実際に生産している人のお話を聞き、直接、生産の現場を見ることで、また違ったものに見えてきました」などの感想があがっていました。
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