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掲載日:2008年11月28日

2008年度最後の公開確認会
福島県「あいづグリーンネットワーク公開確認会」を開催しました
パルシステムは11月19(水)、20(木)の2日間、青果の産直産地「あいづグリーンネットワーク」(福島県会津)で、公開確認会を行いました。複数のJA等で構成され団体の枠を越えて、品質や栽培技術の向上などに努める「あいづグリーンネットワーク」の雪下キャベツ、みしらず柿を対象品目として、生産や管理の方法、組織についても確認しました。

■栽培方法や生産履歴を生協組合員が産地で確認

公開確認会の様子(11.18 会津若松市
の御宿東鳳にて)

 パルシステムでは、食の安全の確保と、環境保全型農業の推進に向け、産地での栽培や生産履歴を生協組合員と生産者がともに公開の場で確認しあう「公開確認会」を1999年より行っています。

 これまでの8年間で、海外を含め77カ所の産地をのべ約6,100名の生協組合員が訪れました。

 2008年度は、米やりんご、牛肉などの産地で合計7回の「公開確認会」を予定しています。

 その7回目、今年度最後の公開確認会を11月19、20日、パルシステムの青果の産地、福島県会津若松市の「あいづグリーンネットワーク」にて開催しました。


■対象品目は「雪下キャベツ」と会津名産「みしらず柿」

ほ場周辺の風景

 「あいづグリーンネットワーク」(以下:AGN)は、JAあいず、JA会津みどり、JA会津みなみ、JA会津いいで、会津出荷協議会を生産団体(GPS出荷登録者)とし、丸果会津青果(株)(以下:会津青果)とJA全農福島会津事務所が事務局機能を担う、青果の生産、流通グループです。

 パルシステムとの産直事業は11年前、会津青果との取引から始まり、2005年には、パルシステム・パルシステムの青果の子会社(株)ジーピーエス・「あいづグリーンネットワーク」として3者で産直協定を締結しました。


会津名産「みしらず柿」

 「雪下キャベツ」と会津名産「みしらず柿」を対象品目とした今回の公開確認会には、生協組合員20人、パルシステムグループの役・職員、関係者20人、JAつくば市谷田部、和郷園など他産地の生産者9人、あいづグリーンネットワーク関係者52人、合計101人が参加しました。

 「みしらず柿」は、福島県会津地方、安達郡で古くから栽培されている名産品です。名前の由来は、「あまりの美味しさに我が身も考えず食べ過ぎてしまうから」、「“未だかかる美味しい柿を知らず”と将軍が大いに賞味されたから」などと言われています。

 「雪下キャベツ」は、雪の下で、一定の温度で保存することにより、ゆっくりと熟成され、外葉の栄養分が内側に運ばれ、芯近くが甘くなるため最近、消費者にも人気が高まっています。


■確認のポイントは、産直で目指すものと地域農業への貢献

あいづグリーンネットワークの佐藤
会長

 18日から19日の午前にかけては、パルシステムの青果の子会社、(株)ジーピーエスや監査人による事前監査が行われました。

 19日、午後からは一般参加者も合流し、会津若松市内のホテルにて公開確認会が行われました。

 開会にあたり、パルシステムの野村産直事業部部長は「AGNの特徴は、会津青果という卸売会社がネットワークに入っていることです。この確認会のポイントは、会津青果が産直で何を目指しているのか、地域の農業にどのように貢献しているのかを見極めることだと考えます」とあいさつしました。

 この公開確認会は、パルシステム生産者消費者協議会のブロック推薦で実現しました。生消協の香取代表幹事は「現在できていない事も改善点として前向きに捉えればよいので、それも正直に伝えてください」と述べました。


祝辞を述べる菅家会津若松市長

 組合員を代表し、生消協の岸消費者幹事は「食への信頼がゆらいでいる今だからこそ、自身の目で圃場を見て確認する場として公開確認会の意義を認識し、多くの組合員に監査人となって欲しいと思います」と述べました。

 これを受けて、産地を代表し、あいづグリーンネットワークの佐藤会長は、「各地に野菜の直売所ができ、スーパーも産地と直接取引するようになるなど、今、青果の流通は大きく変化しています。私たちは、消費者と生産者を繋ぐ有機的ネットワークとして販売を強化し、地場の風土や特徴を生かした新しい流通の形を作っていきたいと考えます」とあいさつしました。

 来賓の菅家会津若松市長からは「正直に真面目に働いている農家に光を当てる公開確認会というシステムを高く評価します。トレーサビリティがしっかりすれば、地域の農業の発展につながります。公開確認会の成功を祈ります」と開催へのお祝いの言葉をいただきました


■基本理念の前提は「安心はあたりまえ」

帳票類を確認する参加者

 産地のプレゼンテーションでは、AGNの事務局と営業を担う会津青果の舟窪常務から全体説明がありました。複数のJAと会青出荷協議会をGPS出荷登録者(個別の生産者、出荷者との協議により、情報公開を前提として事務局に対し栽培に関する記録等に提出することに合意した生産者)としていることが紹介されました。

 基本理念は「安心はあたりまえ」。そして流通、情報提供、リスク管理、トレーサビリティの確立。生産者、JA、会津青果が、それぞれ役割分担、協力するネットワークとして環境保全型の農業を行い、地域の農業発展への貢献を図っているとのことでした。

 また、10年余に及ぶパルシステムとの産直取引のなかで、規格の簡素化、コンテナ流通のノウハウ、農薬削減が実現できたとのことでした。

 産直事業やパルシステムと取引開始当初は、産直事業や減農薬に難色を示していた生産者にも、現在は理解が広がっているというエピソードも紹介されました。


■直接対話で生産者への理解と共感を深めました

焼酎での渋抜きについて説明する
生産者の山浦氏

 生産者の報告を受けての質疑応答では、生産者と直接、話しができる貴重な機会とあって、公開確認会対象品目以外にも質問がおよびました。

 「野菜、特にトマトは、供給回によって味のバラつきがあるのはなぜですか」という問いに、生産者は、「トマトは気温の高いと糖度が上がらないため、涼しくなる9月、10月に甘くなります。何度も食味テストを行い、味の一定化に努めていますが、気候や自然条件には勝てません。味の違いは季節や時期によるものです」との回答でした。

 「エコ栽培では土作りに留意しているのでは?」との質問には、10年前から無農薬かぼちゃを栽培している生産者から「無農薬栽培では、うどんこ病(※1)対策にもっとも気を使います。うどんこ病対策には、土作りと土壌分析が欠かせません。鉄やマンガンを含んだ堆肥を使い、野菜がしっかり根をはる畑作りを心がけています」とのことでした。また、「雪下キャベツがおいしくて参加した」という声や、「みしらず柿の脱渋」(※2)方法についてなど、時間いっぱいまで意見や質問が相次いでいました。


■ほ場やみしらず柿の脱渋、選果場を見学

雪景色の柿ほ場

 翌20日には、みしらず柿のほ場と選果場、雪下キャベツのほ場を見学しました。会津でも山沿いの小山地区でみしらず柿を栽培している南御山果樹研究会のほ場を見学しました。昔ながらの焼酎での柿の渋抜きの方法を、生産者が目の前で実演して見せてくれました。

みしらず柿の選果場を見学


「2週間ほど日数はかかるが、焼酎だと柿が柔らかくなりみしらず柿本来のトロッとした甘みが出ます。焼酎の銘柄も地元のものに決まっています」との説明に参加者は熱心に聞き入っていました。


 続いて、JA会津みどりの「みしらず柿選果場」を見学しました。持ち込まれた柿は、炭酸ガスで一度に大量に脱渋し、傷や汚れをチェック、重量、大きさにより選別され、規格ごとに箱詰めされます。すべての箱には、箱詰めの日時がわかるよう表示されます。


■後継者問題に他産地からアドバイス

雪のなかで雪下キャベツのほ場を見学

 公開確認会最後のまとめ報告会では、他産地の生産者から、積雪のため年間3分の1しか農作業ができず、参加した20人の生産者の内、一人しか専業の後継者がいないという問題について「若い人に魅力のある=収入の安定する農業の体制作りが必要だと思います。市場が中心となり、生産者をまとめ計画的な作付け、栽培を推進することは大変とは思いますが、さらに体制を整え、農業の素晴らしさを次世代へ伝えていってください」「雪下キャベツのほ場を見て、この地の農作業の大変さを実感しました。椎茸の原木栽培など、他の農産物の栽培も検討することもよいのではないでしょうか」などの意見やアドバイスもありました。

 監査人所見では、「みしらず柿では、見た目の悪いものは廃棄するというジーピーエスの規格の厳しさを感じました」「会津青果のトレーサビリティ体制を確認できました。今後の課題として、個人単位での生産者の把握、部会や総会の開催による情報共有など事務局機能をさらに充実させることだと思います」「会津青果が4つの農協をつなぎ、さらにパルシステムと生産者をつなぐ珍しい形の事業体であることが分かりました」などの所見が述べられました。



■新たな流通と農業の仕組み作りへの情熱を実感

まとめ報告をする会津青果
の舟窪常務

 これらの所見を受けて、会津青果の舟窪氏は、「生産者の高齢化、価格の下落などにより農業が衰退し、市場の取扱量が減るなど窮地に立たされた12年ほど前、地域の農業に貢献したい思いから、市場外流通、パルシステムとの産直事業もスタートしました。長い道のりでしたが、公開確認会の開催で私達の取り組みがパルシステムや組合員に受け止めてもらえていることが分かり、方向性も正しいことを確認できました。ご指摘事項は真摯に受け止めながら、新たな農業の仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えます」と述べ、3日間に渡った公開確認会が終了しました。

 雪の会津の自然の厳しさと豊かさ、そして市場での役割を超えて産地を形成し、地域を活性化しながら流通も含めた新たな農業の形を模索する「あいづグリーンネットワーク」のみなさんの情熱を身を持って感じた公開確認会となりました。


【資料】

(※1)うどんこ病

全体がうっすら白くなり、次第に濃くなりうどん粉をまぶしたようになる症状が葉や花首に発生します。葉の表面が覆われると光合成が阻害されたり、葉から栄養を吸収されるので生育不良になり、花が咲かない、野菜では食味が低下する、果実が肥大しない、ひどい場合には枯死するなどの被害があります

(※2)みしらず柿の脱渋

福島県の主要品種である会津身不知、蜂屋、平核無などはいずれも渋柿で、脱渋処理(渋ヌキ)が必要です。柿の脱渋処理はアルコール(焼酎)による方法が一般的です。他に炭酸ガスによる短期脱渋法などがあります。アルコール脱渋法に比べ短期間に脱渋できる利点がありますが、反面、炭酸ガス処理中の追熟が望めません




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