パルシステム連合会は、11月5日(水)パルシステム連合会新大塚分室(東京・文京区)にて「2008年度根釧地区酪農生産者 女性部会交流会」を開催しました。
パルシステムの人気商品「こんせん72牛乳」の産地、根釧地区のJA釧路女性部の生産者12名をお迎えし、パルシステムグループの組合員や役・職員など総勢45名が、酪農の現状や、女性生産者の生活、商品について学び、意見交換をして交流を深めました。
■「こんせん72牛乳」の生産者、メーカー、消費者が集まり交流

酪農家の1日について説明する生産者 |
開会にあたり、「こんせん72牛乳」を製造している、よつ葉乳業(株)の太田順治取締役営業本部長は、「飼料や穀物相場の高騰により、酪農家は厳しい経営状況に置かれています。牛乳生産量も前年比99.6%となっています。酪農家とメーカーは車の両輪、この状況をともに乗り越えていきます。今年度、再度の値上げをいたしますが、消費者のみなさんのご理解をお願いします」とあいさつしました。
生産者を代表して釧路太田農協の市川登美江さんは「タオルを贈る運動(*)には、本当に感謝しています。酪農の現状は確かに厳しくなっていますが、完全栄養食品をつくっているという誇りを持って日々仕事をしています。今回、2泊3日の研修旅行で家を空けることも大変でしたが、この交流会で消費者のみなさんのニーズを学び、より喜ばれる牛乳生産をめざします」と話されました。
パルシステム連合会の野村和夫産直部長は、「先日、水鳥の飛来する湿原を保護する国際条約、ラムサール条約に、日韓共同で初めて水田決議が提案されました。ツルの舞い降りる根釧原野は、パルシステムも取り組んでいる生物多様性保護にとっても重要な地です。この条約の登録地である釧路湿原で、ますます自然と調和した酪農に励んでください」と述べました。
会員生協を代表し、ドゥコープの坂本美春理事長は、「畜産の現場は大変だと思いますが、組合員も応援しています。今年6、7月、組合員のみなさんに畜産生産者へのカンパを募ったところ、パルシステムグループの役・職員も含め約2800万円ものカンパが寄せられました。組合員の応援の気持ちが、生産者のみなさんに届いたのではないでしょうか」と述べました。
■酪農生産者の生活と「こんせん72牛乳」の特徴
その後、生産者から、酪農生産者の平均的な1日と季節ごとの作業について説明がありました。朝5時半頃から搾乳、子牛の哺乳が終わるのが19時頃とのことでした。また、春には牧草の種付けや肥料散布、夏秋に収穫、気温マイナス20℃の真冬にも搾乳作業があるとのお話でした。大きなラップで飼料をくるむラップロールサイレージのラップ代は、ここ2、3年で1個あたり600円と40〜50%も値上がりしたとのことでした。
よつ葉乳業(株)根釧工場の木村武靖酪農担当課長からは、「こんせん72牛乳」の製造工程が説明され、パルシステムの商品担当からは、「100万人の食づくり」運動など現在の取り組みに関する説明、また「こんせん72牛乳」について、おなじみの「こんせんくん」キャラクターは、元々組合員のイラストレータが考えたものであること、72℃15秒で殺菌する高温短時間殺菌法によって生乳に近い風味が保たれ、水溶性たんぱく質の熱変成率も少ないことなど説明がありました。
■酪農を取り巻く状況について意見交換と発表

グループに分かれ意見交換 |
その後、生産者、組合員、メーカーのみなさん、パルシステムの職員はそれぞれ7つのグループに分かれ「酪農を取り巻く状況を踏まえ、生産者が組合員に伝えたいこと。またそれにパルシステムの組合員や職員はどう答えていくのか」をテーマに話し合う懇親会と発表が行われました。
各グループの代表者による発表では、生産者から「高校生の酪農体験の受け入れをしていますが、毎回、新鮮な発見があります。消費者との交流を大切にしながら、消費拡大をしていきたいと思っています」、また組合員からは、「年間エサ代だけで、800万円かかると生産者の方に聞きました。生産者のお話を聞いて、値上げもやむをえないと思いました」などの意見が挙がっていました。
参加した女性生産者は、翌6日、パルシステムの相模セットセンター(神奈川県愛甲郡)を訪れ、「こんせん72牛乳」が組合員に届くまでの、物流システムと商品セットの様子を見学しました。
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