■栽培方法などを生協組合員が確認する公開確認会

報告会の様子 |
パルシステムでは、食の安全の確保と、環境保全型農業の推進に向け、産地での栽培や生産履歴を生協組合員と生産者がともに公開の場で確認しあう「公開確認会」を1999年より行っています。これまでの8年間で、海外を含め77カ所の産地をのべ約6,100名の生協組合員が訪れました。
■インドネシアで行われた確認会の内容が報告されました
今年、8月18日から23日にかけて、海外産地としては5カ所目、水産品では初めての「エコシュリンプ公開確認会」を行い、インドネシア第2の都市であるスラバヤ近郊の養殖エビ産地および加工工場などを訪れました。
11月1日には、この公開確認会に参加した監査人の報告会「エコシュリンプ公開確認会報告会・講演会」を開催しました。
報告会にはパルシステムグループの役職員、組合員、関係者などおよそ40名が参加しました。
開会に際しあいさつしたパルシステム神奈川ゆめコープの齋藤文子理事長は「ここまで心のつながりを深めたのは初めてといっていいくらい、笑顔あり涙ありの交流を図ることができました。一方で現地では課題もたくさんありました。解決へ向けた私たちの思いが届くよう、報告者にはお願いします」と、期待の言葉を述べました。
■2産地2工場の状況がそれぞれの監査人から発表されました

近所のスーパーで購入した
市販のエビとエコシュリンプ
の“食べ比べ”も行った |
報告は、シドアルジョ、グレシックの各産地と工場の様子がそれぞれ報告されました。シドアルジョの報告はパルシステム茨城の赤羽敦子理事が、300年近く養殖を続けていることや、「粗放養殖」と呼ばれているものの多くの手間をかけていることといった背景から、産地では養殖場特有の生臭いにおいがなかったこと、稚エビの確保が難しくなっている現状などについて紹介しました。「なかでも『先祖から受け継いだ土地を次世代へ引き継がせることが責任』という生産者の言葉をうれしく受け止めました。多くの人がそこに生活していることを感じることができました」との感想を述べました。
グレシックについて報告したコープやまなし吉岡初枝理事は、シドアルジョでは、池主1人ひとりと契約を交わしているのに対して、グレシックでは、信頼関係で成立している状況を紹介し「不正があれば地域一帯が連帯責任を負うという暗黙の信頼関係が大前提になっていると説明を受けましたが、契約を交わすことも大事と考え改善をお願いしました」と発表しました。2カ所の工場を確認したパルシステム東京の丸二美子理事は「全体的に衛生管理も行き届いていました。ただし天井が高く充分掃除ができるのか指摘したところ、すでに改善が予定されていることが確認できました」と説明しました。
■村井教授はエビをめぐる現状と問題を提起

講演する村井教授 |
続いて、村井教授による講演会「エビの向こうに見えるもの」が行われました。村井教授はまず、ダイエットブームや食品事故など日本社会を取り巻く状況を挙げ「世界各地で高所得者が現れている反面、依然エビは年数回しか食べられない人もいます。そこまでひっくるめた問題として考えてください」と問題を提起しました。
現在、世界的に行われている「集約養殖」といわれる養殖方法は、1970年に台湾で導入されて以降、世界へ普及しました。1ヘクタールに30万匹ものエビを育てる環境は、数年でウイルスが発生してしまうため池を新設し続けなければなりません。近年ではブラックタイガーが育たず、バナメイなど他品種のエビを養殖するようになりました。
村井教授は「台湾を視察したとき、3代目となる経営者が『もう継がせたくない』と話していました。稚エビ養殖では親エビの目を切ることで抱卵量を増やすといったエビの生理に反することが行われるなど、エビを取り巻く環境は年々ひどくなっています。エビだけでなく、たとえばトビコを取るためにヤシの葉がまったくなくなる地域もあります。台所の向こう側でなにが起きているのか、想像してください」と訴えました。
最後に会場近くのスーパーで購入したエビとエコシュリンプを同じように殻ごとゆでて試食する“食べ比べ”を行いました。どちらがエコシュリンプかを伏せて行われましたが、参加者からは「食感がぜんぜん違う」「甘みがある」と、食べた瞬間に判明した様子でした。
閉会のあいさつをしたパルシステム連合会産直事業部の野村和夫部長は「エコシュリンプ公開確認会は、現地の生産者との別れ際に涙を流すほど、すばらしい交流のある公開確認会となりました。今日、配布された報告集をすべて読んで、公開確認会の空気を少しでも感じ、多くの方へ伝えてください」と述べました。
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