
今年も実りの秋を迎えたJAささかみの
田んぼ |
■「産地へ行こう。」ツアー
パルシステムでは、今年度「産地へ行こう。」ツアーも「100万人の食づくり」運動の一環として位置づけ、さまざまな形で24のツアーを企画しています。命を育む食の生まれ故郷を訪ねる「体験」と「発見」を通して、産地生産者と生協組合員が「顔の見える関係」で信頼と交流を深め、産地で食べ物の大切さを実感します。
■30年の交流の歴史。パルシステムとJAささかみ
パルシステムグループとJAささかみ(新潟県阿賀野市)は1978年から30年間にわたって都市と農村をつなぐ産直の事業と交流を続けています。
JAささかみでの「産地へ行こう。」企画は、春の「田植え」、初夏の「草取り」、夏の「サマーキャンプ」、秋の「稲刈り」と、年間を通した交流を続けています。
9月27、28日には、パルシステムの組合員とその家族70名、JAささかみの職員と生産者約40名ほか約120名が参加し、1年のささかみツアーの集大成「稲刈り体験ツアー」を行いました。
■貴重な手刈りでの稲刈り体験と「刈上げ交流会」

手刈りでの収穫体験は貴重な機会 |
27日、組合員が5月に田植えをした圃場に着くと、たわわに実った稲と、6月の草取りツアーで豊作を祈ってつくったかかしが出迎えてくれました。JAささかみの清水組合長と、田主の青木さんは「今年も順調にお米が収穫の時期を迎えることができました」と話されていました。しかし、ツアー前日の大雨で、足場が悪かったため急遽、別のほ場で稲刈り体験をさせていただくことになりました。
生産者のみなさんから、稲刈りの方法や稲刈り鎌の使い方を教えていただき、稲刈りのスタートです。雨の影響で倒れてしまった稲を起こしつつ、根元から鎌を使ってザクザクと稲を刈っていきました。持ち慣れない鎌に、初めは危なっかしい手つきだった子どもたちも、次第に一人前の働き手となり、農作業を体験することができました。
まるで田植えのときのように泥だらけになりながらも、夢中になって貴重な体験を楽しみました。刈った稲は、束ねられ、ささかみの皆さんが次々と“はさ”にかけてくれました。
機械化がすすんだ今では、手刈りはあまり行われていないとのことでしたが、生産者から「やはり、手で稲を刈り、“はさがけ”をすると、ゆっくりと自然の力で乾燥されていくので、お米が美味しくなる」と教えていただきました。
その夜の「刈上げ交流会」では、“おにぎりバー”と称して、新米を自分で握っておにぎりを作り、女性部の方が用意してくれた煮物、和え物など、地元の素材を使った郷土料理などで収穫の喜びを分かち合いました。参加者の男の子は「はじめて自分で握ったおにぎりはおいしい!」と、満足気におにぎりを頬張っていました。
■オプションで「生きもの調査」「しめ飾りづくり」「お寺でヨガ」体験

しめ飾りづくりに挑戦 |
翌28日は、食と緑の交流センター「五頭山麓 うららの森」で野菜や特産品の買い物を楽しんだ後、オプション体験をしました。
オプション体験は3つの班に分かれて「生きもの調査」「しめ飾り作り」「お寺でヨガ」などを体験しました。
1班は「生きもの調査」です。近くのじゅんさい池や田んぼ周辺で、トンボやカエル、タニシ、イナゴなど、数え切れないほどの虫をつかまえていました。見たことのない昆虫の名前を地元の人に教えてもらい、一生懸命メモをとっている姿もありました。
2班は「しめ飾りづくり」に挑戦しました。先生たちは、毎年パルシステムの商品カタログに登場する「ささかみのしめ飾り」を作っているおじいちゃん、おばあちゃんです。慣れてくると縄も上手になうことができるようになり、無事にお正月用のお飾りを作ることができました。地元の皆さんにも「お正月に飾るのが楽しみ」と喜んでいただけました。
3班は、今回初めての企画で、出湯温泉にある華報寺で「お寺でヨガ」を体験しました。呼吸法が大切なヨガを、ささかみのきれいな空気の中で体験することができて、「体の中からきれいになった気がする、心が落ち着きました」などの声をいただきました。
■「ささかみエコ食堂」での昼食交流会

収穫後の田んぼ |
思い思いの時間を過ごした後、ささかみのみなさんが手づくりで用意してくれた“ささかみエコ食堂”で昼食交流会でした。今回は食べ残しやゴミを減らそうと、手づくりのカレーと、マーボ豆腐、そして新米を、自分が食べられる分だけいただくことにしました。
食器もリユースができるレンタル食器をお借りする徹底ぶり。食や環境の意識の高い組合員のみなさんには、この取り組みに喜んで協力してもらうことができました。温かで心のこもったお昼ごはんは、何よりのごちそうでした。
最後に、今年からはじめたフォトコンテストの表彰式とお別れ会を行い、ささかみを後にしました。
■お米が田んぼでできることを初めて知りました!?
参加者のみなさんからは、「生産者の方々が、みなさん自信をもってお米を作っていらっしゃることを知りました。自然が相手の農作業の大変さを知って、頭の下がる思いでした」
「生産者や地元の多くの人に支えられて、食することができるということへの感謝の念を大切にしようと思いました」「自分で刈ってみて初めて、ふだん何気なく食べていたお米がとてもありがたいものに思えました」など、たくさんの声をいただきました。
なかには、「お米が田んぼでできることを初めて知りました」という子どももいました。
田植えから稲刈りと、お米の成長をささかみのみなさんと一緒に見守りながら、年間の交流をしてきましたが、今回、初めての稲刈り体験をした方も多く、新鮮な体験に満ちた2日間の産地ツアーとなりました。
【資料】
パルシステムとJAささかみ
パルシステムとJAささかみは1978年から産直の事業と交流を続けています。都市と農村をつなぐこの事業と交流は、環境を保全し持続可能な食料生産をめざす環境保全型農業、資源循環型農業へと発展し、「ゆうきの里ささかみ」からは首都圏の消費者、生協組合員に安全でおいしい農産物が届けられ、また首都圏からは田植えや稲刈り、田んぼの生き物観察等のツアーとして、たくさんの生協組合員や家族が「ささかみ」を訪れています。
また2000年5月、(旧)新潟県笹神村、JAささかみ、パルシステム連合会の三者で「食料と農業に関する基本協定」を締結し、これにもとづく「食料と農業に関する推進協議会」を設置し、産直に関わるさまざまな事業をすすめています。この協議会では、交流事業をさらに進めるため2004年4月からNPO法人「食農ネットささかみ」を立ち上げ地域活動を推進しています。 |
|