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掲載日:2008年8月6日

日韓の生産者と消費者が協同
「第3回日韓田んぼの生きもの調査交流会」が開催されました
8月2日(土)、3日(日)の2日間、JAささかみ(新潟県阿賀野市)にて「第3回日韓田んぼの生きもの調査交流会」が開催されました。NPO生物多様性農業支援センターなどで構成する実行委員会が主催し、日韓の生協、農協、生産者団体など約250名が、田んぼの生きもの調査を通じて水田と生物多様性農業への理解と共感を深めました。

 パルシステムは、2004年に「田んぼの生きもの調査」をスタートさせ、2005年には「田んぼの生きもの調査プロジェクト」を立ち上げました。そして今年5月には、プロジェクトを発展的に解消し、JA全農やNPO法人田んぼなどの団体と協力して「NPO法人生物多様性農業支援センター」(略称:BASC)(※1)を設立しました。生産者や消費者、行政、地域といった幅広い連携により、生物多様性農法の普及へ向けた支援活動を進めています。


■韓国からの30名を含め合計250名が参加しました

ほ場で行われたラインセンサス調査

 「日韓田んぼの生きもの調査交流会」は、「田んぼの生きもの調査プロジェクト」として活動していた2006年からスタートし、今年で3回目を迎えました。

 今回は、BASCや会場となったJAささかみ(※2)のほか、「NPO法人食農ネットささかみ」「ラムサールCOP10のための日本NGOネットワーク」(略称:日本ラムネット)、「ラムサールCOP10のための韓国NGOネットワーク」(略称:韓国ラムネット)で構成する「第3回日韓田んぼの生きもの調査交流会実行委員会」の主催として実施しました。

 当日はパルシステムの理事、役職員など約20名、韓国から生産者と消費者、約30名、地元JAささかみの生産者など、約250名の参加がありました。


■生きもの調査を通じ日韓の生態系の類似性が分かりました

 2日(土)は、JAささかみ田んぼを5枚お借りして、日韓の参加者がともに田んぼの生きもの調査を行いました。1列に並んで田んぼ一面を調査するラインセンサス調査、生きものがいる場所を探すランダム調査を実施した後、今回初めて植物調査も行いました。

 調査では、韓国側参加者と日本側参加者が生きものの名前を教えあうなど、交流を深めました。お互い生きものを見ただけで名称が分かり、日本と韓国の田んぼの生態系に大きな差がないことも分かりました。

 笹神ふれあい会館で行われた調査のまとめでは、BASCの原耕造代表が、試験導入へ準備している民間型環境直接支払いの概要について、岩渕成紀副理事長が田んぼの生きもの調査の意義を説明しました。生きもの調査の結果報告では、さほど離れていないほ場間でも観測された生物に違いがあることが分かりました。

 「日韓生産技術意見交換会」「日韓生きもの調査意見交流会」に分かれた分科会でも、参加者の関心は高く、さまざまな質疑応答が交わされました。韓国側参加者からは「市民生態開設講座」という活動が紹介され、日本側参加者の関心を集めていました。


■「ゆうきの里農業者大会&生きもの調査シンポジウム」は立ち見が出るほど盛況

 3日(日)の「ゆうきの里農業者大会&生きもの調査シンポジウム」では、来賓としてパルシステム連合会の若森資朗理事長があいさつしました。「日本の農業を取り巻く現状をみると、もう一度食のあり方、農のあり方を考えなければいけないと思います。美しい田園風景を取り戻すためにも、自然や生きものに親しむ機会が必要です。日本と韓国の子どもが“農”に親しむ充実した時間としましょう」と期待しました。

 記念講演は、呉地正行日本ラムネット共同代表により「東アジアの水田農業とラムサール条約COP10での『水田決議』採択に向けて」と題して行われました。呉地代表は、今年10月に韓国で開催される「ラムサール条約締結国会議」(COP10)(※3)で提案予定の「水田決議」について説明し、採択によって日本の農政が転換される可能性と水田文化の理解を世界に求めていく姿勢を示しました。

 続いて、岩渕副理事長をコーディネーターとするパネルディスカッション「田んぼの生きもの調査と生物多様性農法の現状とこれから」が催されました。韓国i−coop生協連帯のクォンミオク理事とNPO法人食農ネットささかみ粟生田忠雄事務局長がパネラーとして出席しました。

 クォン理事は、韓国は鳥インフルエンザの影響でアイガモ農法ができなくなり、代わりにジャンボタニシを有機農法の1つとして使用したところ、繁殖力の強さで在来種に大きな影響を与えているとのことでした。また粟生田事務局長からは、今後の課題として科学的な土壌調査と学生および農村の交流活性化、生きもの調査のさらなる普及が挙げられました。


【資料】

※1 田んぼの生きもの調査とNPO生物多様性センター

パルシステムは、“食は自然の循環、生きものとの共生のなかにあり、多様な生態系のある水田づくりこそが、安心な米づくりに繋がる”との考えから2004年に「田んぼの生きもの調査」をスタートさせ、2005年には「田んぼの生きもの調査プロジェクト」を立ち上げました。そして今年5月には、プロジェクトを発展的に解消し、これまで参加していたJA全農やNPO法人田んぼなどの団体と協力して「NPO法人生物多様性農業支援センター(BASC)」を設立しました。生産者や消費者、行政、地域といった幅広い連携により、生物多様性農法における情報集約と普及へ向けた支援活動を進めています。


※2 JAささかみ

JAささかみは、循環型農業、生物多様性農業の先進地のひとつ。有機農法での米作りに積極的に取り組んでおり、今年度からは農作業のひとつとして、生きもの調査を組み込んでいく方針としました。また、地域の田んぼ学童農園へは、稲作農業体験の一部として田植えから稲刈りまでの農業体験とともに生きもの調査を行い、5年後には地域の「ささかみ生きものマップ」をつくるなど、生物多様性農法を積極的に取り入れている産地です。パルシステムとの産直交流は、今年で30年になります。


※3 「2008年ラムサール条約締結国会議」(COP10)

ラムサール条約は、1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」において採択されました。水鳥をはじめ多様な生物の生息地として国際的に重要な湿地を保全するための条約で、1975年12月21日に発効しました。現在、「2008年ラムサール総会COP10会議」(韓国昌原市開催)に向け、生物多様性を育む水田農業を土地・資源の「賢明な利用」として確認する「水田決議」採択の準備が進められています。


交流会で初めて植物の調査も行いま
した

日韓の参加者が合同で調査
し互いの土地の生態系を学び
ました


確認できた生きものは記録します

多くの参加が集まったシンポジウム




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