
会場の様子(大田区産業プラザ)
パルシステム連合会のお取引先メーカーのみなさんによって組織された「パルシステム協力会」(*1)は、9月11日(火)、大田区産業プラザにて「品質管理学習会」を開催しました。
開会にあたりパルシステム協力会の岩井菊之品質管理部会部会長は、「私達の最重要課題である食の安全問題に対し、今日の講演で最新の品質管理手法を学び日々の業務にお役立て下さい」とあいさつしました。
講演ではまず、日本生活協同組合連合会(略称:日生協)商品本部長スタッフの佐藤邦裕氏から「日生協商品製造委託先への工程管理調査から管理帳票類の点検・見直しのすすめ」と題してのお話がありました。2000年に発生した大手乳業メーカーの大規模食中毒事故以来、消費者の食への信頼は揺らぎ、最近では中国産野菜の残留農薬問題など、食への不安、不信感はかつてなく高まっています。同時に日生協に寄せられるクレーム件数も増加し、2001年以降、年間2万件を超えているとのことでした。
これに対し日生協では、1.商品の製造委託先工場への点検強化(立ち入り調査など)、2.商品の定期的抜き取り検査、3.管理帳票チェックによる工場点検(原材料の保管・管理)の見直し、に取り組み、品質管理の改善・向上に努めている、とのお話でした。
■5T5Sで職場に安全と革新を
(株)おたべの元常務取締役製造部長の下原昌雄氏は「5Sの実践について〜(株)おたべの活動実践と成果」と題して講演されました。下原氏が推進している「5T5S」は(株)おたべで1995年に発生した毛髪混入事件を機に、“ミスは起きるが、速やかに発見し改善できる仕組みが必要”との考えから、食品工場での「5S活動」を(株)トヨタの生産管理方式を参考に考案・実践されたそうです。
下原氏の「5T5S」の定義は
- 整理 生・休・死に分ける:生品(4時間以内に使うもの)休品(3ヶ月以内に使うもの)
死品(捨てるもの)
- 整頓 5T(定位置・定量・定方向・表示・標識)すること:「定位置・定量・定方向」を決め作業手順を標準化する。物に「表示」をし、区域、場所の「標識」をして場所、物、情報、心を共有化する
- 清掃
- 清潔
- 躾
とのことでした。
特に2の整頓については、家庭と同じで、職場でも、何がどこにあるかを明確にし、新人が6秒以内に物を取り出せる様にすることが必要とのお話でした。
「みなさんの意識改革により、5T5Sが徹底されれば、低コストで改善がすすみクレームも減ります。5T5Sで職場に安全と革新をもたらして下さい」とのお話に参加者は熱心に聞き入っていました。

下原氏の事務所5S前

5S後
最後にパルシステム連合会の商品管理・情報システム統括本部スタッフの監物今朝雄氏は「パルシステムでも2005年に制定したTASIQAシステム(*2)で製造現場の衛生管理に努めていますが、月に900件程度だったクレームが、この間1200〜1300件と増加しています。今日の講演を参考に、また、秋の品質強化月間を機に商品クレーム月1000件以下をめざします」と閉会の辞を述べました。
|