豊かな恵みを
分かち合う
森林に囲まれた日本は、山すそのくらし(里山)とともに発展してきました。くらしの変化に伴い里山は廃れはじめていますが、貴重な自然を保全するため、パルシステムは里山の再生に取り組んでいます。
私たちのくらしは、健全な里山に支えられています。農地は野菜や果物、水、木材の生産だけでなく、二酸化炭素を吸収し温暖化を防止する役割も。自然災害を未然に防ぐ森林。人々の心をつなぐ美しい景観。豊かな生態系。そのすべてが里山にあります。
しかし、里山は人の手が入らなければ荒れ果てます。高齢化や人口減少が進むなか、この恵みをどう守りつないでいくかが課題となっています。
Trivia
日本は国土の3分の2を森林が占める世界有数の森林大国。森林が放置され生い茂ったままでは地面に陽光が届きません。下草が生えず土壌が弱くなるため、土砂崩れなどの原因にも。
必要とされるのが森の木を間引く間伐ですが、海外の安価な木材が普及したことで、間伐材の使い道を担保するのがむずかしくなっています。
パルシステムは、2014年に生協で初めて「森の産直」をスタート。産地の間伐材を使った商品開発を進めてきました。また、組合員と産地の交流を通じて、里山のくらしを組合員に伝えています。
荒れた人工林の再生や森林での環境教育、グリーンツーリズムなど、未来につながる森作りを推進。間伐材を使ったプレート、おが粉を原料とした「しいたけ栽培セット」などの商品を開発し、売り上げの一部は森林の保全活動に役立てられています。
ダムがひとつもない清流、高津川流域で育まれたアユやわさびなどの産品を商品に。地域の自治体や森林組合、漁協、JAと協力し、持続可能な森づくりに取り組んでいます。川と共存する地域の取り組みを学ぶ産地ツアーを開催。
産直産地が30年以上取り組んできた、しいたけの原木栽培。荒廃する里山が増えるなか国産の原木を活用し、里山を守っています。2011年、福島県産の原木が利用できない事態に陥ったが、現在、福島県内の里山を植樹で再生する活動も始めています。
30年以上放置されていた東京の山林をパルシステム東京が買い取り、地域活性化と里山保全・活用のモデルとして構築。年間約3000人の組合員が、農作業や里山体験の企画をとおして、農業の大切さや環境保全について学んでいます。
里山の自然環境とともに失われる、地域に伝わる農村文化。トキとの共生を目指し環境保全型農業に取り組むJA佐渡では、「文弥人形」をはじめとする伝統芸能が継承されています。「トキと共生する佐渡の里山」は、日本初の世界農業遺産に認定。
2015年、パルシステムは「ウッドスタート宣言」に賛同。身近で木材に触れる機会を提供し、間伐材の利用推進や豊かな子育て環境づくりなどに取り組んでいます。