森林破壊のない
資源をつくる
パーム油は、世界一生産量の多い植物油ですが、消費の拡大は森林破壊などの問題も引き起こしています。パルシステムは世界の森林を守るため、持続可能なパーム油への切り替えを進めています。
味やにおいがなく、使い勝手のよさから世界中で使用されるパーム油。日本でも菜種油に次いで消費されています。
その原料は、熱帯地域で作られるアブラヤシ[1]です。近年、急速に農園が拡大し、森林破壊が深刻化。先住民や労働者の人権問題にも及んでいます。
しかし、問題はアブラヤシそのものではなく、「どう生産するか」にあります。環境と社会に配慮した持続可能な生産方式が求められています。
アブラヤシは、赤道付近の熱帯地域という限られた地域でしか栽培ができません。そのため、熱帯雨林の伐採、森林火災、泥炭地開発などが拡大し、気候変動への影響が懸念されています。
資料=USDA「2024/2025 Palm Oil Production」より作成
2017年からパルシステムでは、段階的に持続可能なパーム油へと切り替えを進めてきました。2019年には、自社農園にて持続可能な生産方式を採用するコロンビアの「テケンダマ社」と国際産直提携を締結。既存商品の原料切り替えやオリジナル商品の開発に力を入れています。
パルシステムのパン工場「(株)パルブレッド」では、パンをテケンダマ社のパーム油を原料としたショートニング[2]へ切り替えました。2023年には人気商品「国産小麦もっちり食パン」のショートニングを食用パーム油に変更。そのほか、マフィンで使用するミックス粉などにも使用範囲を広げています。
2021年に開発。石けんの原料となる油脂には、産直原料であるコロンビア産パーム核油とスペイン産オリーブ油のみを使用しています。リサイクルできる紙パック容器なども評価され、2022年にグッドデザイン賞を受賞しました。
テケンダマ社では、持続可能な生産方式をスローガンに掲げ、品質と環境の保持に取り組んでいます。
新たに森を切り拓く開発をやめ、農地を再利用しながらパーム油を生産。また、栽培から精製までの一括管理によって労働環境を整え、地域社会や児童労働、移民の強制労働問題の解消にも貢献しています。
テケンダマ社は、環境負荷の少ない農園として動植物との共存もめざしています。第三者機関による調査では、鳥類65種、両生類・爬虫類26種、哺乳類14種、植物52種の計157種が確認されました。
Topic
パーム油の生産や使用が存続可能であることなど、7原則40項目で評価する国際的な認証制度です。生産者や小売業などからなる非営利組織によって運営され、持続可能なパーム油の指標になっています。
パルシステム、パルブレッド、テケンダマ社ともに認証を取得しています。
RSPO認証マーク