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拡大し続ける遺伝子組換え作物の問題とは

パルシステムでは、1人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと、「ほんもの実感!」くらしづくりアクションを呼びかけています。その一環として開催している連続講座の第1回は「遺伝子組換えの現状や非遺伝子組換え飼料を使った産地の取り組みを知る」をテーマに開催しました。

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先進国最低レベルの自給率である日本は、食料の6割以上を輸入に頼っており、その大半を遺伝子組換え大国であるアメリカの生産に依存しています。国内家畜飼料に至っては約9割が輸入され、非遺伝子組換えを選択することがますます難しくなっているのが現状です。講座には、パルシステムグループの組合員や役職員など、112名が参加しました。

パルシステムでは、遺伝子組換え技術で生産された作物およびそれを主原料として使用された食品は原則として取り扱わず、遺伝子組換え不分別の作物が使用されている食品は構成比に応じて3種類のマークを表示し、組合員が選択できるようにしています。一方で市販品では、原材料のなかで上位3品目かつ重量比5%以上のもののみが表示対象など、範囲が限られ消費者の知る権利が満たされていません。遺伝子組換え作物の安全性には科学的根拠がなく、一部の多国籍企業による経済的な食料支配につながることも懸念されています。また、家畜飼料においては、今後非遺伝子組換え飼料を手に入れることがさらに厳しくなり、生産者に多大な負荷がかかってしまう可能性が考えられます。

この日は、7割の食品に遺伝子組換え原料を含むといわれるアメリカで急増している健康被害の実態や、これらに対抗する人々の取り組みを描いたドキュメンタリー映画「遺伝子組換えルーレット」を上映し、課題を共有しました。

組合員など112人の参加者がありました

私たちの選択が未来を変える

「いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳」の生産者の1人である久保 敦さんからは、奥中山地域の概要や良質な生乳を生産するためのこだわりが語られました。

久保さんがかつて所属した青年海外協力隊で派遣された南米パラグアイでは、派遣2年目よりそこで栽培される大豆がほぼ100%遺伝子組換えに移行し、大量の農薬が使用されていたそうです。その光景に疑問と不安を感じ「消費者が安心して飲める牛乳を生産したい」との思いが確信に変わったそうです。

奥中山地域では41戸のうち非遺伝子組換え飼料で生産している酪農家は現在6戸のみとなり、高齢化も進んでいます。農作業や飼料コストを軽減し、また新規就農者を支援する施設を設置する予定など、今後の展望についても触れました。

「コア・フード平飼いたまご」の生産者である松崎 泰弘さんからは、JAやさと(茨城県)の取り組みやこだわり、市販品との飼い方や飼料の違いについて説明がありました。 JAやさとでは飼料米や近隣から出る米ぬか、大豆かす、キャベツの外葉などを用いて、できる限り輸入に頼らない自給飼料づくりに取り組んでいるとのことでした。

会の最後には、パルシステム商品委員会・野々山 理恵子委員長が「私たち1人ひとりが、子どもたちにどのような未来を残していくのかしっかり考えていく必要があります。パルシステムの組合員がタッグを組めば大きな力となり、世の中を変えていくことができます」と力強く、締めくくりました。

連続講座の開催に合わせ、フードドライブ(家庭で余っている食べ物を持ち寄り、地域のフードバンクなどに寄付する活動)を実施し、飲料や乾麺、缶詰など117点の食品が寄せられました。今回はパルシステム茨城内に事務所を構えるNPO法人フードバンク茨城へ寄付しました。

奥中山高原農協乳業・生産者久保さん

JAやさと・生産者松崎さん