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外国人にやさしく障がい者に親切なまちを

パルシステムでは、2016年4月に「地域連携研究会」(運動委員会主催)を設置しました。貧困格差が広がるなか、「食料支援」「子どもの貧困対策」などに対して、可能な連携と支援を行うとともに会員生協との情報連携、地域での解決を研究することを目的としています。

第2回となる今回は、神奈川県(川崎市・横浜市)を訪問し、川崎市桜本、横浜市寿における地域複合型コミュニティの現場を体験するツアーを企画しました。パルシステムグループの役職員や関係者など20名が参加しました。

川崎市青丘社(桜本ふれあい館)

川崎市桜本は在日韓国人、朝鮮人が多く住んでいる街として知られており、桜本ふれあい館は日本人と韓国・朝鮮人をはじめとする在日外国人が共にふれあう場を目指して活動しています。ここでは、障がい者就労支援、識字学級、子育て支援・学校連携事業、保育園運営の説明を受けました。原千代子施設長は事業について「常に社会的弱者(マイノリティ)の人びとに視点を置き、“地域のだれもが力いっぱい生きていくために”をスローガンに」取り組んでいると活動を紹介しました。その後、施設長の案内とともに地域を歩き、ふれあい館、障がい者就労支援事業である喫茶室、弁当・パン工房や桜本保育園などを見学しました。

青丘社の地域活動支援事業のひとつ

川崎協同病院の見学・たけのこ保育園

川崎協同病院の金津総務課長からは、生活困窮や国籍に関わらず誰もが安心して医療が受けられる、社会的援助を要する人に向けた「無料低額診療事業」の説明がありました。また清掃事業就労支援団体ワーカーズコープが受託している院内保育園では、就労に困難を抱える若者から高齢者まで、多様な人々と話し合うことを大事に、就労継続について課題化して取り組んでいるとの報告がありました。

川崎協同病院金津総務課長より説明

横浜市寿生活館(寿支援者交流会)

横浜・寿町は日本三台寄せ場(日雇い労働の求人業者と求職者が多数集まる場所のこと)の一つです。約120軒の簡易宿泊所が軒を連ねるこの街は「寿地区」と呼ばれ、わずか面積0.1 km2にも満たない狭い地域に6500人前後の方々が宿泊しています。

横浜市寿生活館(寿支援者交流会)の高沢幸男事務局長からは炊き出しや施設運営、「生活困窮者」の社会的背景と施設を利用される方の実態について聞き取りを行いました。

寿生活館手前の公園 炊き出し現場

多様性の認められる温もりある社会をめざして

野宿生活になってしまう理由の多くはリストラや失業、その後の再就職も困難な社会的背景と考えられています。なかでも年金受給前である50~60才代の男性比率が高く、全体の95%を占めるとも言われています。寿生活館前の公園ではボランティアの協力のもと週に1回、炊き出しが行われ、毎回約500~600食を求めて公園を囲むように行列ができます。

高沢事務局長は「寿支援者交流会は寿地区や野宿生活者と市民社会をつなぐゆるやかなネットワークなのです。まずは彼ら路上生活者を別世界の人として見るのではなく、存在を受けとめて認めていくことが大切だと思っています。私たちは働く場所や存在していいと思える地域のセーフティネットを完備する手伝いをしているつもりです」と話しました。

今後の生協に対しては「食材の支援、地域のメッセンジャーやコーディネーターとしての発信基地になってほしい」と期待しました。

高沢幸男事務局長