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全体像がいまだ不明瞭なTPP協定

日本政府は、昨年2015年10月にTPP(環太平洋連携協定)の大筋合意をし、暫定仮訳を公開していますが、そもそも協定文は本文と付属書だけでも膨大な量であり、関連文書すべてが公開・翻訳されているわけではありません。TPPの全体像を十分に把握し、私たちのくらしや日本社会にとっての問題や懸念を精査すべく、国会議員や市民団体が分析と問題提起を続けています。

5月10日(火)にたすけあい活動委員会(パルシステム共済連)主催の拡大学習会を開催しました。「TPPテキスト分析チーム」の中心人物であるアジア太平洋資料センター(PARC)理事・事務局長の内田聖子氏を招き「投資・金融サービス・越境サービス貿易・国有企業・医療分野」などを中心に、社会保障・共済への影響について学びました。パルシステムグループの役職員や関係者など、定員を超える65名の参加がありました。

定員を超える参加で会場は満員に

命とくらし、未来を守るために

内田事務局長は、メディアでも検証をされにくい共済、保険、投資、医療などの分野に焦点をあててTPP協定の問題点を説明し、「ISDS条項こそTPP協定の本質を示す条項であり、背後にいる各国(主にアメリカ)の企業家や投資家の利益が優先されているという認識をさらに広めるべきです。介護保険や医療などは、長期間をかけて解体が進むことにより、仕組み自体が危ぶまれていることを意識して考えていかねばなりません」と指摘しました。さらに、アメリカからの要求はTPP発効後にはより強まると考えられ、その前に「批准阻止の働きを強めていかなければ」と話しました。

質疑応答では、今後の活動について「マスメディアに対して、より力をいれた情報発信をします。海外メディアとも連携し、運動を広めていきます」と抱負を語りました。

アジア太平洋資料センター(PARC)理事・事務局長 内田聖子氏

ISDS条項とは

外国の投資家が投資した相手国側の措置によって損害を破った場合に、救済を求めて仲裁手続きを利用することができる制度。相手国の司法権を侵害し、規制を萎縮させる危険性も指摘されている。