学習会は、パルシステムグループ役職員など50名が参加し、開催されました。
国内には現在、人口の6%を占める787万人の障がい者が生活しています。これに要介護認定を受けた高齢者600万人を合わせると、1300万人以上の人々が心身になんらかの不自由を抱えています。さらに、社会からの偏見を避けるため家族に手帳を持たせなかったり、ニートや引きこもり、受刑者のなかにも知的もしくは精神的疾患を抱えたりしている人が相当数存在すると考えられ、総数は2千万人に達するともいわれています。
■地元有数の事業体へ成長した事例も

講演する濱田さん |
「障がい者のうち6割が就業できておらず、そのうち6割は就業意欲がありながら、仕事に就くことができていません。大きな労働力として期待できるのではないでしょうか」と濱田さんは提起し、事例を交えながら農業と障がい者就労支援、さらに地域の経済を巻き込んだ「農福工商連携」を紹介しました。
事例では、知的障がい者が農畜産物の生産から加工、販売までを行うことで、地元有数の事業体となった鹿児島県の連携や、農畜産物や加工品を生産・販売することで、地域の農家も販売所へ出荷するようになった福島県の取り組みなどが示されました。
なかには、全国平均で1万5千円ともいわれる障がい者の月収を、10万円まで増やすことができたところもあるそうです。そのほか、事業の発展によって健常者の雇用も促されたり、高齢で離農する農業者の受け皿となったりするなど、積極的な地域への関与が好循環を生んだ具体例も紹介されました。
濱田さんは「これまでの農福連携は、食材の寄付や農業体験の提供など、社会貢献的な役割にとどまっていました。今後は、農業従事者の高齢化や地域の空洞化など、地域が抱える問題を解決する連携へと発展する可能性を有しています」と話し、障がい者に対する認識について、サービスを「享受する側」から「提供する側」へ転換する必要性を説きました。
生協をはじめとする協同組合への役割については「生産、販売、流通など、現在ある事業に障がい者就労を積極的に組み入れてほしいと思います」と提案しました。「障がい者だけでなく生活困窮者や高齢者を取り込み、農業と福祉だけでなく地域全体の連携へと広げる核として、協同組合にはポテンシャルがあります」と述べ、今後の役割発揮に期待しました。
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