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掲載日:2015年6月9日

韓国の協同組合と若者の貧困問題をテーマにシンポ
日韓に共通する社会変化と若者の貧困
パルシステム連合会は6月5日(金)、東京・新宿区の東新宿本部で韓国の協同組合と若者の貧困問題をテーマにしたシンポジウムを開催しました。韓国と日本で活動するみなさんを招き、共通点の多い両国の現状と課題を議論しました。

■韓国から3名を招き講演

 シンポジウムは6月5日(金)、「iCOOPコリアから学ぶ韓国の協同組合の実践と課題」「若者自身が取り組む若者の貧困問題――韓国と日本の実践から学ぶ」の2部構成で開催されました。会場には、パルシステムグループ役職員のほか、貧困問題などに取り組む市民団体などからも参加があり、のべ100名が出席しました。

 韓国と日本では近年、経済格差が広がっており、特に若者の間で就職できなかったり、生活に困窮したりする人が増えるなど、共通した社会課題を抱えています。韓国からは、チョン・テインさん(カールポランニー研究所所長)、キム・ミギョンさん(青年ハブ所長)、チョン・ウォンカクさん(iCOOPコリア協同組合支援センター代表)の3氏を招き講演してもらいました。

韓国と日本に共通する問題を探りました

■基本法制定で協同組合数は7千に

 韓国社会は、日本と同様、2000年代に入ってから所得の格差拡大が顕著となっています。青年層の雇用率は低くなっている一方、失業率も低く、ニートと呼ばれる就職しない若者が増加しているそうです。大学を卒業後の就職先で失敗すると高所得層に移行する可能性は低く、学生はさらに就職に有利なスキルを身につけようと、大学に長期間在籍することになります。それが、若年層の雇用率低下に拍車をかけ、結果として所得層が世襲化することにつながっています。

 こうした社会構造の変化に対し、若者層は個人の力で対応しなければなりません。親の援助に頼れない学生は、奨学金の借り入れを学費とし、卒業後はその負債によって信用力が低下、銀行から金を借りることができず、金利の高いノンバンクから借金せざるを得ないという負の連鎖に陥っています。

 こうした社会的な状況と市民社会からの要求を背景に政府は2012年、協同組合基本法を制定しました。雇用の拡充と安定を図り、新しい市場経済の構築を目的としています。これにより、韓国国内には政府の想定を大きく上回る7千以上の協同組合が存在するようになりました。勤務時間や離職率などの点で、雇用に大きな成果があったといわれています。

 一方で、社会制度や経済的問題を理由に、設立しても事業を開始できず、事業を開始しても、十分な売り上げが確保できない協同組合が数多くあります。これらの課題を解決するため、韓国の生協連合であるiCOOPでは2013年、「iCOOP協同組合支援センター」を設立し、コンサルティングや教育など、新設する協同組合を対象とした支援活動を実施しています。

チョン・テインさんは韓国の実情を報告

新設協同組合の支援を紹介するチョン・ウォンカクさん

■「なめくじ世代」の支援へ「青年ハブ」

 青年層の貧困問題では、ソウルを中心に「青年ハブ」と呼ばれる組織の活動があります。ソウル市が定めた「ソウル市青年基本条例」を基に、同市とヨンセ大学が2012年に設立しました。若年層が自ら動き、問題解決を図りながら社会進出を支援する組織です。

 ソウル市は、急激な家族構成の変化で単身者向けの住居が不足しています。単身者向けの集合住宅を建設しようとすると、地価の下落を恐れた地域住民から反対運動も起きることがあるそうです。そのため、高い住居費が負担できない若者はネットカフェのような住居に寝泊まりし、「なめくじ世代」と呼ばれる社会問題となっています。あわせて土地を持つ「親世代」との世代間対立につながっています。

 青年ハブでは、問題解決に自ら動く若者を情報提供や交流、支援制度の紹介などを通じて支援しています。市の協力を経て、協同組合が運営する住宅の設置や労働協同組合(ワーカーズコープ)による仕事おこしなどの事例も着実に増えており、今後は活動を継続できるための基盤整備に力を入れていく方針です。

「青年ハブ」を説明するキム・ミギョンさん

■失業でなく失望――希望ある社会に

 日本からの報告では、大西連さん(認定NPO自立生活サポートセンターもやい・理事長)と扶蘓(ふそ)文重(ふみえ)さん(日本労働者協同組合[ワーカーズコープ]連合会事業推進本部主任)が講演しました。

 日本では近年、ホームレスの数は減少していますが、若者を中心にネットカフェやファストフードで生活する人が増えています。それらのほとんどは非正規職員で賃金が上がらず、社会保障費の支払いが滞りがちなため、将来、生活が困窮する「日本社会の時限爆弾」とも呼ばれています。

 自立サポートセンターもやいでは、生活保護申請の同行やアパートなどへの入居にともなう連帯保証人提供などのほか、交流を進めることで「つながりの貧困」からの脱却を支援しています。ワーカーズコープでは、廃食油のリサイクル事業や、地域の事業所と協力した雇用創出などを行い、生活に困窮する人たちが参加できる社会づくりを目指しています。

 パルシステム連合会運動委員会の委員でパルシステム千葉組織運営本部長の中根裕さんは、まとめとして「日韓社会に顕出した社会問題が、多くの分野で共通していることが分かりました。なかでも『若者は失業でなく失望している』との言葉が印象的です。希望が持てる社会に向けて、互いに学び、成長していかなければなりません」と参加者へ呼びかけました。

自立サポートセンターもやいの大西さん

ワーカーズコープ連合会の扶蘓さん




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