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掲載日:2014年6月10日

「生活保護と住まいの貧困」学習会を開催
「家がない」と「働けない」の悪循環
パルシステム連合会は6月5日(木)、東京・新宿区の東新宿本部で「生活保護問題と住まいの貧困」学習会を開催しました。NPO自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長を招き、国内に広がる貧困生活者の現状と課題について学びました。


■「ダンボールハウス」から「脱法ハウス」へ

学習会のようす

 学習会には、パルシステムグループの役職員およそ40名が参加して開催されました。NPO自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は、今年でちょうど20年となる活動を振り返り、近年若者に増えている住まいの貧困について紹介しました。

 東京都内で野宿生活者の増加が目立つようになったのは、バブル経済が崩壊した1993年ごろです。もともと山谷地区などで日雇労働によって生活していた人々が仕事をなくし、各地へ分散するようになったといいます。新宿駅西口には、91年完成の東京都庁まで通じる地下通路に「ダンボール村」が形成されました。

 21世紀に入って間もなく、派遣労働法改正による非正規職員増加などから、若年層を中心とした「ネットカフェ難民」の存在が認知されるようになりました。2008年のリーマンショックが追い打ちをかけ、同年末の「年越し派遣村」では500人が集まりました。稲葉さんは「これを機に、ようやく社会が『国内にも貧困問題が存在する』と認知するようになりました」と分析します。

 2010年代に入り、東京都でインターネットカフェ利用に身分証明を義務付ける条例が施行されたことで、家を借りられない人は「脱法ハウス」で生活するようになっています。「利用者は、初期費用がなかったり、身分を証明できなかったりする人たちです。強制排除や業者への規制強化を行っても、追い出された人々の行き場がなくなっているだけになっています」と述べました。


■「水際作戦」や偏見で阻まれる生活保護

NPOもやい稲葉理事長

 インターネットカフェや脱法ハウスなどでくらす人の多くは、家がないので安定した仕事に就けず、仕事がないので住まいが確保できないという悪循環に陥っています。「路上生活者の数は減りましたが、こうした広義でのホームレスは、増加傾向にあります」と、稲葉さんは実感しているそうです。

 政府や自治体も、貧困生活者を自立させるための制度を整備していますが、手続きが煩雑で「生活保護が最初で最後のセーフティーネットとなっているのが実情です」といいます。さらに各地の福祉事務所における「水際作戦」や不正受給をめぐる社会的偏見、本人の負い目などから、生活保護を受けられない人が1千万人近く存在するとの推計も出ています。

 こうした現状に国連の社会権規約委員会からも、手続きの簡素化や生活保護に対する理解向上などの勧告を受けています。これに対し政府は、生活保護法を改正しました。運用によっては、基準の引き下げや、教育や医療などへの支援削減など、勧告と逆の姿になりかねない制度変更が懸念されています。

稲葉さんは「住まいの貧困は決して他人事ではなく、誰にでも起こりうる問題です。だからこそ、社会で『最低限の生活ラインとはどの程度か』をきちんと議論し、年金などを含めた全体で社会保障制度のあるべき姿を考えるべきではないでしょうか」と問題提起しました。




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