
多くの生産者に迎えられました(イリヤン地区) |
パルシステムは、産直4原則(※)に基づき、食の生産現場である産直産地の生産者との交流を大切にしながら、農産物の供給を行っています。
国内だけでなくタイやフィリピン、インドネシアなどの国際産直産地とも、公開確認会の開催や相互の視察研修などを通じて、生産者と消費者の信頼関係を築き、お互いの顔の見える産直を行っています。
特に1990年より開始されたネグロスとの交流とパルシステム初の国際産直品バランゴンバナナ(「エコ・バナナ(バランゴン)」は、パルシステムのフェアトレードの原点といえる商品です。
※パルシステムの産直4原則=(1)生産者・産地が明らかであること(2)生産方法や出荷基準が明らかで栽培の履歴がわかること(3)環境保全型・資源循環型農業を目指していること(4)生産者と組合員相互の交流ができること
■病害乗り越えた直後に台風被害

ATCにてパルシステムの説明を行いました |
パルシステムグループは、2月17日(月)から22日(土)までの6日間、バナナの産地のひとつフィリピンのネグロス島へ役職員7名を派遣し、視察交流を実施しました。パルシステム関わる職員として、民衆交易に取り組む意義やこれまでの歴史、現状を理解することなどを目的としたものです。
フィリピン首都のマニラを経由し、ネグロス島西州に位置するバコロド市へ到着した一行は、バナナの輸入を委託しているオルター・トレード・ジャパン(ATJ)の現地法人、オルター・トレード・コーポレーション(ATC)にて、ネグロス島と民衆交易についてあらためて学習しました。
民衆交易のきっかけとなった同島の飢餓問題や、マスコバド糖、バランゴンバナナなどの民衆交易の取り組みについて話を聞き、パルシステムからは、商品がどのように組合員のみなさんに紹介され、届けられているのかを説明しました。相互の意見交換を通して、それぞれの取り組みについて理解を深めました。
翌日は、イリヤン地区の生産者を訪ねました。この地域では、10年以上前からバンチトップ病という病害により長い間出荷ができない状態が続いていましたが、2012年に出荷再開が始まったところでした。しかし2013年フィリピンを襲った台風ヨランダの影響を受け、大きく成長したバナナの木はほとんど倒れてしまったとのことです。台風の通り道であるネグロス島でのバナナ栽培の厳しさを感じるとともに、被害の受けなかったバナナの生育状況について確認しました。
■教育費や生活費になり生活が変化
次は、東州へ移り、高地であるバイス市マンガナイ地区でバナナなどの栽培状況を視察し、生産者宅にて交流、宿泊しました。バイス地区までの道路はアップダウンが激しい山道で、かつ舗装されておらず、バナナの品質を管理ながら出荷する苦労がうかがえました。
生産者からは、バナナ栽培による生活の変化として、子どもの教育費や生活必需品を購入できるようになったとの話がありました。ただ、大学進学のような教育を子どもが受ける機会については、まだ十分ではないそうです。
■1カゴ50kg悪路の山道歩いて運ぶ

集荷作業を体験しました(マグナオ地区) |
さらに高地のマグナオ地区のバナナ圃場では、収穫作業を視察し、集荷場までバナナを運ぶ作業を体験しました。収穫したバナナはその場で房ごとに切り分けられ、カゴの中に入れます。収穫を終えるとバナナを入れたカゴは1つ50kg以上になります。徒歩で足場の悪い山道を上り下りしますが、同行した生産者は悠々とカゴを背負って運んでいます。参加者は、バナナの生産環境と出荷作業の大変さを身に染みて感じました。
その後、東州のドマゲッティ市に移動し、パッキングセンターにてバナナの洗浄から箱詰めまでの過程を視察しました。各地域から出荷されたバランゴンバナナはパッキングセンターにて、熟練されたスタッフの手によって選別され、傷のつかないよう大切に洗浄されている様子を確認しました。
バナナの産地以外にも、パルシステムでも取り扱っているマスコバド糖の工場や原料のさとうきび畑の視察、バコロド市内スラムに居住するATCスタッフの自宅訪問、次世代有機農業者育成のための研修施設の見学、島民の台所であるスーパーマーケットや市場の視察なども行いました。
【参考資料】
パルシステムのエコ・バナナ(バランゴン)については、以下をご覧ください。
エコ・バナナ(バランゴン)(パルシステムの商品)
ATJについては、以下をご覧ください
民衆交易バナナ バランゴンバナナ(ATJホームページ)

袋がけされたバナナ(マンガナイ地区) |

バナナ圃場はこの奥です(マグナオ地区) |

収穫作業の視察(マグナオ地区) |

バナナ箱詰め作業(ドマゲッティ) |
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