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掲載日:2014年1月14日

韓国で開催のフォーラム・シンポで発表
パルシステムの産直事例を紹介しました
パルシステム連合会は、2013年11月から12月に韓国で開催されたフォーラム・シンポジウムなどに参加し、新潟県のJAささかみなどとの取り組みを中心に産直事例を紹介しました。

■協同組合の役割があらためて注目

事例を発表する志波職員(左から3人目)

 2013年11月5日(火)から7日(木)に韓国ソウル市が主催した「グローバル社会的経済フォーラム」と、8日(金)のiCOOP生協主催の国際フォーラム、12月11日(水)尚志大学協同社会経済研究院セミナー、12日(木)韓国協同組合学会秋季学術大会に参加し、事例報告しました。

 パルシステムグループが新潟県のJAささかみなどと取り組む「ささかみモデル」を中心に産直活動を紹介し、都市型生協組合員の倫理的消費行動が地方経済を支え、地域の活性化につながる事例として関心を集めました。

※倫理的消費行動…生産から加工、流通まで、持続可能な社会や環境に配慮したモノを選ぶ消費行動。


 韓国ではIMF通貨危機を経て韓米FTAが締結されて以降、雇用不安や若者の失業、生活困窮者の増加などが大きな社会問題となっています。そのなかであらためて注目されているのが「協同組合」です。2012年12月には協同組合基本法が制定され、韓国では協同組合が急速に市民権を得ています。国内には7カ所の「協同組合支援センター」が設置され、協同組合の設立方法や運営の仕方、ネットワークづくりが進められています。

 特にソウル市では、市長がグローバリゼーションへの対抗として協同社会の実現のために「協同組合」の有効性に触れ、草の根の市民活動団体や地方自治体による国際的なネットワークづくりや情報交換、知恵の蓄積の必要性を訴えています。

 「グローバル社会的経済フォーラム」は、その一環として開催され、イタリア、カナダ、フィリピン、日本など地方自治体や市民団体も参加して「ソウル宣言」が採択されました。日本からは京都市、横浜市、K2インターナショナル・ジャパンなどが検討者として参加しています。

 発表でパルシステムは、新潟県ささかみとの30年に及ぶ交流の歴史を原点とした産直運動・事業が成長・発展し、現在の「100万人の食づくり」運動、「産直プロジェクト11」、生産者や地元自治体、生協などが共同で運営する地域協議会など、都市の住民であるパルシステム組合員の倫理的消費行動が農山漁村の地域経済を支える重要な力となっていることを話しました。

 派遣されたパルシステム連合会の志波早苗職員は「韓国の協同組合運動の故郷といわれる原州は、地域の中で協同組織(消費生協・信用生協・医療生協など)が連携して社会的経済ブロックを形成していました。特に有機農業の位置づけ、消費生協の購買力など、パルシステムの産直と通じる考え方が多く、互いに学べるところが多いのではないかと感じました」と話しています。


●グローバル社会的経済フォーラムで採択された「ソウル宣言」全文

2013年11月12日

―新たな協働の発見― において採択された
ソウル宣言

日本協同組合学会理事会

 2008年のアメリカ金融危機に端を発した危機が2011年のヨーロッパ財政危機へ、更に最近のアジア及び新興国経済の金融不安に繋がった。かような危機が市場原理主義への過度な傾斜と、ほとんど規制のない金融世界化の結果であるという事実を否定することは出来ない。
 経済危機は所得の両極化(富者と貧者の格差拡大)と社会的排除をもたらした。これによって経済危機は様々な社会的・政治的な危機へと発展していったのである。また化石燃料への過度な依存が、気候温暖化、生物多様性の破壊、そしてエネルギー・食糧危機など人類の生存自体を危険に陥れる生態系問題を生ぜしめている。
 かような危機に直面して我々は“多元的な経済”を模索する多様な動きに注目している。今、世界中で起こっている“社会的経済の運動”は、両極化(富者と貧者の格差拡大)、社会的不平等と社会的排除、そして生態系の破壊という諸問題を解決することができる新しい希望として浮上している。我々参加者たちは社会的経済が“さらに湧き出る希望の世界”“さらに湧き出る希望の暮らし”を人類にもたらす贈り物になると信じている。


社会的経済は なぜ重要であるか?

 社会的経済は信頼と協同を基礎にして効率性と平衡性そして持続可能性を同時に達成しようとする。協同組合、人々が住む地域の企業(マウル=村や町の企業)、社会的企業(営利本位の企業を除外)、信用組合とマイクロ金融、そして非営利諸団体などが社会的経済を構成している。勿論、慈善団体と社会的投資部門も非常に重要である。このような社会的経済こそが公共部門と市場経済との調和をつくりだし、現在のグローバルな危機を克服することが出来るのだ。社会的経済は地域と国家そしてグローバルな次元において、経済、社会、文化および生態系問題にたいして総合的に接近するという特徴を備えている。
 社会的経済は何よりも社会的に疎外された人々が仕事の場をつくること、尊厳性を回復する場合において必須的な存在である。特に教育と福祉、保健と介護サービスなどの関連材(relational goods)を供給する社会サービス部門において、社会的経済は驚くべき成果をあげている。また社会的経済は持続可能な共同体の形成と食料の安全保障において非常に重要である。社会的経済はこの間、充足することのできなかった必要(needs)を社会の構成員の協同によって解決するという点において社会革新(social innovation)の最も重要な土台なのである。
 地域共同体の持続可能なエネルギーの生産、ローカルフード運動、公正貿易(フェアトレード)などの多様な社会的経済は、我々が当面する生態系の危機を克服するのに効果的であることを立証してきた。生態系の問題を解決するためには、地域の社会的経済が国際的な協約へ加入すること、国家次元のエネルギー体制の転換を促すことなどを通じて、世界と国の多くの諸制度と結合しなければならない。
 社会的経済は、草の根の参加型民主主義(participatory democracy)と地域の社会的および経済的な再生を実現するための土台である。社会的経済に内在している民主的な意思決定と参加は、現在の危機を克服しようとする場合に必須である。また危機を克服し、社会的統合を成し遂げるうえで、連帯と持続可能性の精神を人々に教え悟らしめるという点において、社会的経済の重要性は大きな国際協約から個人の規範に至るまで、全ての次元において日々重要性を増している。


グローバル社会的経済のネットワークを目指そう

 今、人類が直面している問題はどんな国でも1国が単独でも解決することの出来ない問題である。我々が当面している問題を解決するためにグローバルな連帯を追求しなければならない第一の理由はここにある。他者とのネットワークを通じて我々は地域共同体と国家を包括するグローバルな社会的経済の連帯関係を構築しなければならない。
 2013年グローバル社会的経済フォーラム(GSEF)は、アイデアと経験を共有する回路として、全世界の我々は皆、未来をめざす新しい社会的経済のパラダイムを開くために積極的に協力する場である。
 このフォーラムは、世界共同体が社会的経済の運動の成長を支援することによって、未来の新しい議題を提示する重要な機会であると思う。我々は次のような進展を皆が共に到達するように努力することを誓う。


1.各地方政府は公共―民間―共同体のパートナーシップを通じて持続可能な社会的経済のネットワークを構築し、主要な社会的経済の諸主体の間の交流と協力を推進する。

2.我々は皆、市民の権限の重要性を認め、各社会的経済の多様で広範囲の共同体のリーダーシップを支持する。

3.我々は皆、社会的経済についての認識を高く揚げた、相異なる諸集団のための学習のプログラムを開発して、その成果を相互に共有する。

4.我々は皆、社会的経済を振興するために標準的な教科書と市民教育のプログラムを共同で開発することにした。かような努力は市民社会の影響力と力量を増進させるものである。

5.我々は皆、社会革新をするために我々の経験とビジョンを共有し、人的資源の育成のため、諸都市間の社会的経済の人的交流のプログラムを積極的に運営する。

6.我々は皆、リアルタイムで、インターネット及びその他の意思疎通手段を通じて社会的経済に関連した情報を交換し、社会的経済の新しい研究成果を討論し、共有する。各都市の政府はこのような情報に立脚し、政策を随時調整することが出来るように努力する。

7.我々は皆、社会的経済と市場経済及び公共経済とが調和をつくりあげることが出来る発展モデルを開発する。政府の公共政策は、かような目的を達成できるようにすることである。

8.我々は皆、社会的経済の連合体と社会的経済の支援組織を形成しようとする努力を積極的に支持しつつ、このような諸組織が社会的経済の活動方向を決定して共同プロジェクトを推進する場合に、決定的な役割を果たすという点を深く認識する。

9.我々は皆、深刻な低開発と貧困の問題を経験している開発途上国について責任意識を共感し、社会的経済を通じて貧困国家の経済、社会、文化、環境に対する統合的な接近を通ずる解決方法を模索する。

10.我々は皆、社会的経済のグローバルな共同行動を推進して、社会的経済を運営し発展させるためにグローバルな協議体の形成を支援することとした。女性団体、労働団体、環境団体など社会的経済の多様な諸運動もこのような過程に共に参加するであろう。


2013年国際社会的経済フォーラム

<参加都市>
ボローニャ市(イタリア)、エミーリア・ロマーニャ州(イタリア)、京都市(日本)、モントリオール市(カナダ)、ケベック州(カナダ)、ケソン市(フィリッピン)、ソウル市(韓国)、横浜市(日本)。
<参加団体>
アジア・ベンチャー・フィランソロフィー・ネットワーク(シンガポール)、シャンティエ(カナダ)、グループSOS、HKCSS(香港)、K2インターナショナル・グループ(日本)、レガ・コープ・ボローニャ(イタリア)、レガコープ・エミーリアロマーニャ(イタリア)、ローカリティ(英国)、ソーシャル・トレーダーズ(オーストラリア)、ソウル社会的経済センター(韓国)。


(仮訳・丸山茂樹、直訳すると分かりにくい箇所などを一部補った)






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