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掲載日:2013年11月1日

鹿児島県・大隅養まん漁協でうなぎの放流を実施
多角的、総合的な資源対策を一歩ずつ積み上げていきます
パルシステム連合会は10月25日(金)、鹿児島県のうなぎの産直産地である大隅地区養まん漁業協同組合を訪問し、汽水で育てたうなぎを含む5,145尾を放流しました。稚魚の不漁が続きうなぎの価格が高騰しているなか、パルシステムと大隅養まん漁協では、資源対策に取り組んでいます。

船上からうなぎ5,145尾を放流しました

■成体のうなぎ5,145尾を放流しました

 パルシステム連合会は2002年から、大隅地区養まん漁業協同組合(以下、大隅養まん漁協)とともに、親うなぎを放流する事業に取り組んでいます。今年も10月25日(金)、26日(土)の両日、パルシステムグループの役職員や関係者15人が大隅養まん漁協を訪問し、うなぎ5,145尾を放流しました。

 放流の前に、2010年にうなぎの完全養殖に成功した独立行政法人水産総合研究センターを訪問し、うなぎ養殖技術開発の現状と課題について学びました。今泉均主任研究員が「着実に進歩していますが、画期的なところにまでは到達していません」と話すように、量産にはまだ多くの課題が残されています。(※1)

 うなぎは6〜9月の新月の前夜に西マリアナ海嶺付近で産卵すると推定されているものの、仔魚(しぎょ※2)の時期に何を食べているのか、成熟の条件が不明(いくら大きくなり、年を取っても成熟しない)などその生態は未だ解明されていません。この日は自然界ではまず目にすることができない体長1〜6センチのレプトセファルス(仔魚)を見ることができ、参加者からは感嘆の声が上がりました。


木の葉形で半透明のレプトセファルス

(※1)なお、うなぎの蒲焼として販売されているものの大半は養殖されたものですが、養殖するのには、天然のシラスウナギ(稚魚)を用います。

(※2)生まれたばかりの魚は仔魚(しぎょ)と呼ばれ、親と同じ形になると稚魚と呼ばれます。

 国見山系を眺めつつ、うなぎの養殖池に近い志布志湾の柏原(かしわばる)漁港を訪れた一行は、大隅養まん漁協のみなさんに迎えられました。楠田茂男代表理事組合長は「シラスウナギが1匹でも多く日本に戻ってくるよう期待を込めて放流しましょう」とあいさつしました。

昨年度より目にマーカーを入れて放流

 その後、生産者が保有する船3隻に乗り込み、うなぎの放流を行いました。今回用意されたうなぎは、より天然に近いうなぎを養殖するために楠田組合長が建設した全国初の汽水養殖場で、約2年をかけて育てた成体の親うなぎを含む5,145尾です。地下水を約28℃に温めた通常の養殖池で成育したものでなく、塩分濃度1%の汽水で、かつ約20℃と海水に近い低温で放流用に育てたうなぎを放流する初めての試みです。パルシステムの役職員は、うなぎの入ったかごをそれぞれ手にし、肝属川(きもつきがわ)河口付近の汽水域へ放流しました。

 今回の放流には、パルシステム連合会と大隅養まん漁協で設立した「大隅地区うなぎ資源回復協議会」を通して、これまでにパルシステムの組合員から寄せられたカンパ金などの支援金から約250万円(=1,950尾分)が使用されています。5,145尾のうち900尾のうなぎの右目には赤いマーカーが入れられ、今後の研究に役立てられます。放流の締めくくりには、鹿児島県内水面漁業協同組合連合会の崎正風代表理事会長が、パルシステムの資源回復の取り組みに対して感謝の言葉を述べました。

シラスウナギが戻ってくるよう祈りをこめて

 鹿児島県内水面漁連へは、同支援金より約100万円(=780尾分)が協議会を通じて送られており、今後内水面漁協17団体へ振り分け、県内の各河川で放流が行われます。鹿児島県内では、シラスウナギの保護のため今シーズンから、漁の期間を20日間短くすることが決まっているほか、産卵のために海に下る親ウナギの捕獲を禁止する期間(2015年までの10月〜12月)が設けられるなどさまざまな対策が進められています。



【関連リンク】

うなぎ支援金533万円を「大隅うなぎ資源回復協議会」へ

うなぎの資源回復に、手を携えよう!


■東日本大震災の支援に感謝

 大隅養まん漁協は2011年の東日本大震災で、1万2千食分のうなぎ蒲焼を提供しました。蒲焼は、パルシステムが被災地で実施した炊き出しで提供されたほか、全国から派遣された警察や自衛隊にも差し入れされ、各地で「ここでうなぎが食べられるなんて」と、大いに喜ばれました。  懇親会の席で、パルシステム福島から参加した和田佳代子理事長は「産地に赴き、直接お礼が言いたいと願ってきました。2011年5月20日、福島にて6,600食をご提供いただき、本当にありがとうございました。今後も福島の現状を伝えながら、つながっていきたいです」と話しました。

【関連リンク】

大隅地区養まん漁業協同組合がうなぎ1万2千食を提供 「がんばっぺ・いわき・大隅うなぎデー」を開催しました

今後も資源循環に取り組んでいきます

 この日の夕方には大崎町にある大隅養まん漁協うなぎ生産者の養殖池で餌やりを、翌26日(土)は、鹿屋市の大隅養まん漁協工場と志布志湾近くの汽水養殖場(放流用ウナギ養殖専用池)を見学しました。季節による温度変化が少なく豊富に湧出する地下水を活用したうなぎ養殖の現場や、全工程において管理体制が徹底された蒲焼の加工場、そして何よりも生産者の熱意に触れ、資源対策の取り組みを地道に続けていくことの思いを新たにした2日間でした。


■組合員の利用とカンパが資源回復に

 パルシステム連合会では、うなぎの資源回復に向けて2013年7月の売り上げの一部を支援金とするほか、「ニホンウナギの資源回復のためのポイントカンパ」を2013年7月から2014年3月まで組合員より募集しています。7月月間の取り組みとして大隅産のうなぎを使った対象商品1パックにつき10円を設定し、組合員負担ではなく生協として336万140 円の支援金を積み立てました。また、組合員が商品利用でたまったポイントを1口100ポイント(=100円)の支援カンパとする取り組みでは、10月5回受注分までに総額271万4,100円が寄せられています。【商品番号190969:毎週受付】

 今回実施した放流だけでなく、うなぎのすみやすい河川の整備や、すみかとなる蛇篭(じゃかご)の設置、採補制限の呼びかけなど、多角的で総合的な資源回復活動に努めながら、より効果的な対策を地道に一歩ずつ検証・検討していきます。

【関連リンク】

「蛇篭」3基の引き揚げで13匹のうなぎを確認!生態解明、資源回復への新たな一歩

大隅産うなぎ蒲焼(パルシステムの商品)


手作業かつ24時間体制で仔魚を成育(水産総合研究センター)

放流用に育てた親うなぎを使用


加工場に併設、立て場(たてば)と呼ばれるうなぎ選別場

海水を引きこんだ汽水づくりの様子






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